ビールを中心とした酒類、飲料、食品で多様なブランドを展開するアサヒグループ。1889年に創業して以来、世界中の有力ブランドを結集し、国内外の生活者に寄り添った商品とサービスを提供してきた。2021年には、新設したアサヒグループジャパンに国内事業会社を統合し、グループのシナジー創出に全力で取り組んでいる。その一環として昨年は、「L−92乳酸菌」を関与成分とする機能性表示食品の商品群を発売。「免疫」市場の開拓を通じ、「みんなにピース」な社会の実現を目指す考えである。グループの食品事業を担うアサヒグループ食品に、今後の展望を聞いた(取材と文=八島充)
アサヒグループ食品は、その名の通りグループにおける食品の開発と販売を一手に担う会社である。2016年に和光堂、アマノ実業(アマノフーズ)と統合、2021年にカルピスウェルネスと合併し 、事業領域は食品・菓子からベビー、 ヘルスケアまでと幅広い。
2021年3月に同社社長に就任した川原浩氏は、自社の強みを「二刀流」ならぬ「多刀流」と表現する。食の領域の全ての刀(=ブランド)を研ぎ澄まし、トータルな提案を通じて世の中に貢献する、という思いが込められている。
「多刀流」を支えるのが、同社の研究開発力である。アサヒグループの研究開発で培われた素材を用いた唯一無二の商品群が、私たちの生活に長く、深く浸透しているはご存知の通り。
代表的な素材の1つが「酵母」。ビール醸造の過程で産生されたビール酵母を原料とする「エビオス錠」(指定医薬部外品)は、弱った胃腸にも効果のある胃腸・栄養補給薬で、来年に発売から95年を迎える。もう一つはカルピスブランドが持つ「乳酸菌」などの菌類。こちらも100年以上にわたる研究の積み上げがあり、グループの飲料や健康食品などの素材として用いられている。
国内有数の研究力と独自素材は、「人々の心と身体の健康」を願い、「食を通じて社会に貢献したい」という「Asahi」の創業精神を今に伝えており、同社グループのモノづくりを支えている。
昨年末、日経新聞朝刊に「Asahi」のロゴを配した全面広告が掲出された。「わたしにピースな免疫ケア」というコピーのもと、2022年に機能性表示食品として届出が受理された「L−92乳酸菌」を用いた商品群を紹介する内容である。
紹介されたのは、アサヒビールの「アサヒスタイルバランスプラス期間限定ヨーグルトサワーテイスト」、アサヒ飲料の「守る働く乳酸菌W」、アサヒグループ食品の「ディアナチュラゴールド L-92乳酸菌&食物繊維」、カルピス健康通販の「免疫ピース+」と「からだ想いの青汁」の5アイテム。
機能性関与成分の「L−92乳酸菌」は、もともとカルピス社が2001年に「カルピス」に由来する長年の乳酸菌研究により選び抜いた素材で、以来20年以上におよぶ研究で様々なエビデンスを解明してきた。届出表示は「健康な人の免疫機能の維持」で、コロナ禍で低下した免疫にアプローチするものとして注目を集めている。
また、「守る働く乳酸菌W」、「免疫ピース+」、「からだ想いの青汁」については、「免疫」とともに、「ホコリ・ハウスダストなどによる鼻の不快感に軽減」という届出も受理されている。こちらも、鼻の不快感等で日々のパフォーマンスが下がった生活者の味方になる商品として期待されている。
国内事業会社の集合体であるアサヒグループジャパンは現在、事業のシナジー創出に向け、新たな成長領域を生み出す専門部署「Future Creation Headquarters(FCH)」のもとで、事業会社や部門を横断したプロジェクトを遂行している。
これまでも、グループが保有する素材は各ブランドに活用されてきたが、今回の全面広告のように、事業会社の壁を超えて共同プロモーションを展開するは初めてという。それだけに、「L−92乳酸菌」という素材に対する自信と、グループ全体の意義込みが感じられる。
また、先の全面広告の上段には、「この冬、みんなみーんな ピースでありますように!」というメッセージが掲げられている。このメッセージは、アサヒグループが創業時より貫いてきた志を具現化したもので、引き続き生活者に寄り添った事業を展開していくという決意を表している。
「L―92乳酸菌」のプロジェクトメンバーの1人で、アサヒグループ食品コンシューマー事業本部ダイレクトマーケティング部部長の岩崎琢也氏は、「私たち食品メーカーは、お客様が健康でいて初めて事業が成り立ちます。生活者の心と体を健康に、well-beingに導くことで、“みんなにピース”な社会を作っていきたい。そうした想いをメッセージに込めました」という。
2024年のアサヒグループ食品は、「L―92乳酸菌」のほか、同じく独自素材の「CP2305ガセリ菌」を用いた商品群を強力に推していく計画である。
「CP2305ガセリ菌」は、脳腸相関を介して女性ホルモンの分泌量に作用し、月経前の精神面における症状を改善すると考えられている素材。今年1月25日には、これを関与成分として日本初となる月経訴求の機能性表示食品「わたしプロローグ」を、通販限定で新発売したばかりである。
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岩崎氏は、「私たちには長年の研究で発見した独自素材がまだまだあります。今後も“菌のちから”を信じて、人々を幸せにする活動を、グループをあげて推進してまいります」と語っている。2024年は、同社商品とそこに込められたメッセージが、一層世の中に広まっていく年となりそうだ。