株式会社ROUTE06が、ホワイトヘルスケア株式会社による健康保険組合(以下健保)向けのOTC医薬品・常備薬販売サイト「あなたの薬箱」の事業立ち上げを支援したことを発表した。
ホワイトヘルスケアが健保向けに展開する「あなたの薬箱」は、専門的知見を有する薬剤師が監修した健保加入者(以下、組合員)向けのOTC医薬品(※1)・常備薬販売サイト。組合員は、所属する健保を通してOTC医薬品をインターネットで簡単に購入することができる。
「あなたの薬箱」は、健保と共同で実施する保健事業として健保の保有するレセプトデータを活用し、保険証を使った通院歴・服薬歴に応じて組合員それぞれに合ったお薬の飲み方を提案することに加え、組合員自身が普段何気なく飲んでいる薬について、理解を深めるための様々な情報を提供する。
「あなたの薬箱」を通じて軽度な身体の不調は自身でケアするセルフメディケーション(※2)を推進することにより、組合員が自らの健康意識を高め、自身の健康に責任を持って行動を起こす機会を増やすとともに、健保の医療費の適正化に貢献することを目指す事業。
近年、医療費の高騰により、財政が悪化し解散する健保が増加していることが課題となっている。企業保険組合の約4割が協会けんぽの保険料率10%を上回っており、「解散予備軍」と呼ばれている。組合員の医療費は保険料率に応じた健保の拠出金によって支えられているため、医療費負担が増加すれば健保の収支を保つためには保険料率の引き上げが必要になる。2008~2021年度の間に111組合の健保が解散しており(※3)、解散した健保の協会けんぽ移行によって国費負担は年120億円増加する可能性があるという試算もある(※4)。
健全な健保運営のために、医療費をいかに適正化していくかが重要なポイントとなる。健保は、これまで保健事業として、従来も特定健診・特定保健指導の実施による生活習慣病予防や、ジェネリック医薬品の利用促進により、医療費適正化に取り組んできた。
今回、「あなたの薬箱」を通して目指すOTC医薬品の活用によるセルフメディケーションの推進も、近年注目を集める医療費適正化施策の一つ。医療用医薬品を処方されている患者が同一有効成分のOTC医薬品に切り替えた場合、約3,200億円の医療費適正化効果があるとの試算もあります(※5)。厚生労働省も2021年4月にセルフケア・セルフメディケーション推進室を立ち上げ、普及に力を入れている。
ホワイトヘルスケアは、健保がセルフメディケーションの保健事業を実施するための支援サービスとして、健保が保有するレセプトデータを活用しながら、組合員が安心してセルフメディケーションを実践できる仕組み作りにパイオニアとして取り組んでおり、同社の取り組みは、厚生労働省からも薬剤給付適正化に向けた先進事例として紹介されている。
「あなたの薬箱」は、最短翌日にお薬が自宅に届き、365日いつでも利用できる。薬を購入するだけでなく、薬剤師へのLINE相談、”お薬ナビ”で問診票に答えることで自分に合った薬を見つけたり、”レッドフラグチェック”で重篤な疾患の兆候を確認したりすることができる。
・OTC医薬品の購入
・症状や体質などからおすすめのお薬を提案する「お薬ナビ」
・重篤な疾患を疑うサインに該当するかをチェックする「レッドフラグチェック」
・LINEによる薬剤師への相談窓口提供
・薬剤師監修のお薬に関するコンテンツ掲載
・セルフメディケーション税制控除額が試算できるシミュレーター
「あなたの薬箱」のサービス提供に加えて、健保のレセプトデータを活用し、セルフメディケーションの活用余地のある組合員に対して行動変容を促す取り組みや、保健事業の成果となる医療費適正化の効果を検証する取り組みも行っている。
本プロジェクトにおいて、ROUTE06は以下の領域で支援を行った。
・OTC医薬品ECプラットフォームにおける事業戦略の検討支援
・「あなたの薬箱」のサービス及び業務設計支援
・UI/UXデザイン設計及びシステム構築
・エンタープライズ向けAPIプラットフォーム「Plain」によるデータ基盤及びレポートの提供
・サービスグロース及び業務改善支援