インテージが、全国約6,000店舗より収集している小売店販売データ、SRI+®(全国小売店パネル調査)をもとに、食品・日用雑貨など主な消費財を対象として店頭販売価格の値上げについて調査しました。
[ポイント]
・食品は高騰続くも上げ幅縮小。それでも3月は広範商品で本格値上げ前の2020年より1、2割高
・キャノーラ油2倍弱、サラダ油1.5倍と食用油は高止まり。3月はケチャップ、ソースが値上げ目立つ
・値上げが話題になった小麦粉関連は落ち着きを見せるも、米食への回帰の兆しが
・日用雑貨は紙関連で値上げの動き。ティッシュ、トイレットペーパーなどは年明けから値上がり
値上げの話題が続いた2022年の日本。人々の生活や企業活動にも大きな影響が出ましたが、2023年に入ってどのように変化したのでしょうか。実際に生活者が物を購入する店頭価格の変化で見ていきましょう。食品は一時期ほどの大きな上がり幅はなくなってきたものの、相変わらず多くの商品で本格的な値上げが始まる前の1割、2割高という高止まり状態が続いています。その中で値上げの代表格ともいえるキャノーラ油は2020年平均と比べて188%、サラダ油は3月に入って148%と1.5倍超えも見えてきました。マヨネーズ(135%)、マーガリン(119%)なども高止まりの様相を見せる中、3月に大きな変化があったのがケチャップ(119%)、ソース(117%)。大手メーカーの価格改定の影響などがありそうです。
調味料で値上げの更なる動きも見える中、少し落ち着きを見せているのが小麦粉関連。昨年後半頃から価格上昇が止まり始め、今年に入っても食パンや小麦粉、スパゲッティなどはほぼ横ばいが続いています。ただ本格値上げ前に比べると1~2割程度高くなっているため、その影響が食卓にも出ているようです。主に家事をする女性がいる世帯を対象に行う調理・食卓調査の「キッチンダイアリー」によると、食卓にパン系のメニューが登場する割合が、本格値上げ前の2021、2022年と連続して落ちていました。一方で増えていたのが、ごはん系のメニューで2022年だけで3.8ポイント増えていました。キッチンダイアリーの調査開始の2015年から6年連続で減り続けていただけに、この一連の値上げ局面で主食の動きに変化が見えてきました。
食品に比べて大きな値上げの動きが見えにくかった日用雑貨ですが、2023年に入り紙製品に大きな動きが出てきました。昨年末まで2020年に比べてもやや安かったティッシュペーパーが113%、トイレットペーパーも急伸して113%になりました。生理用品も今年の3か月で9ポイント増の115%と軒並み数字を伸ばしています。昨年中頃から大きな動きを見せてきたアルミホイルは3月には146%にまで到達し、ラッピングフィルムも昨年10月から高くなり2割高あたりを推移しています。他にも洗濯用洗剤が3月に6ポイント増えて116%になるなど、見逃せない動きも出ています。