ヘルスケア情報サイト「Hoitto! ヘルスケアビジネス」(ヘルスケアワークスデザイン株式会社)

医療の世界へLet’s Go!!!
新人薬剤師・チルロッチの連載「とある薬剤師の日常」⑥

第6回:「新社会人編」

~薬剤師としての第一歩~


こんにちは!季節の変わり目となり、暖かい日が続いております。今月から一人暮らしを始め、移り住んだ家からもきれいな桜が咲いており、心身ともに新たに頑張っていければと内に秘めているような今日この頃です。さて、以前までは薬学生としての日常を書かせてもらっていましたが、4月を迎え、無事に病院薬剤師としての1年目をスタートすることとなりました。もちろん、国家試験についても無事受かりましたので、安心してお読みください(笑)。



ピカピカの1年生


まず、新社会人としてスタートを切る前に私が直面したのは、引っ越しでした。今まで実家でのんびり過ごしていた私にとっては、初めての一人暮らしとなり、色々な期待もありながらもその大部分は不安が占めていました。また、家具や雑貨のほとんどを買う必要があったため、思っていたよりも出費してしまいました。これも近年の物価高騰が原因なのでしょうか、、、(部屋のインテリアを意識しすぎた事は内緒でお願いします)。

そんなこともありいきなり出鼻をくじかれたような感じでしたが、意外にも入社式や研修は楽しく行えました。表面的なものかもしれませんが、病院長や薬局長も優しく、私自身あまりストレスなく過ごせているのではないかと思います。その一方で、「本当に私は社会人になったのかな?」という気持ちもあり、あまり社会の責任を感じずに病院での勤務へとシフトしていくこととなりました。


始まった調剤業務


研修も終え、いよいよ病院内の薬剤部で業務を行うこととなりました。大きな調剤薬局のグループだと、会社内の研修を1カ月程度行うこともあるそうですが、病院勤務の場合はあまり研修を多く行わないことが多いです。これはあくまで私の考えですが、病院の薬剤部で働く場合はどれだけ早く調剤業務を習得し、その後に待ち構える病棟業務を行えるかという点が重要となるため、まずは実地という考え方が根強いのだと思います。もちろん保険薬局ではないため、保険を詳しく学ぶ必要が無くいきなり調剤を行えるという点もあるのでしょうが、正直かなり早くから調剤を行うのだなと少し驚きました(笑)。

調剤そのものは基本どこの病院でも同じパターンであり、錠剤・注射剤などの計数調剤、散剤・水剤等の計量調剤、それらの再確認を行う鑑査、注射剤の混合を行う無菌調整などに分けられます。これらは薬剤師の基礎となる部分であるため、習得が出来ないと病棟業務には移れません。そのため、今の私は病院薬剤師として活躍するという以前に、薬剤師としてひとり立ちするための訓練を行っているというような感覚でしょうか。

日本のどこの組織においても当たり前ではあるのでしょうが、1年目の社会人は会社に貢献するための準備を行う期間であり、自ら主体的に行動を移すには時期尚早です。もちろん積極性や思考力が求められる部分もあるとは思いますが、個人で結果を残すというよりもまずは、社会に適応していかなければなりません。こういった苦悩はどの新社会人の方も抱えていると思うので、少しでもこの気持ちを共有できたらうれしい限りです(笑)。


これからの希望と不安


次は、社会で働きだした身ではあるものの、これからどのように活躍していきたいかという未来予想図と、現実とのギャップに触れていければと思います。まだ少しの期間ではありますが、慢性期病院で働き始めてから感じた体験談もお話できればと思います!

以前に連載でも書いたように「私にとっての病院薬剤師の理想」は、毎日患者さんの病室に訪れ、体調から薬の適否を評価出来るような人です。しかし、それを行えるようになるのは経験を積み始めた2年目からであることが多く、経験を積んだとしても調剤に追われる合間に行わなければなりません。また私の周囲の先輩方を見ると、病棟業務を行ってはいるものの毎日のようにそれを続けられる時間は無く、あくまで認定薬剤師を取得するために患者さんという症例に触れていると感じてしまうこともありました。(※認定とは、循環器や糖尿病などのどれかの領域を一定レベルまでフォローできるという資格みたいなもの)。

最近よく、薬剤師の人数が増え、近い将来に飽和してしまうと言われることが多く、国家試験においても完全相対基準で薬剤師の合格者人数を絞っている現状があります。でも、「本当の現状」はどうなのでしょうか? ひとりひとりの患者さんを見るための薬剤師の時間と人数は、全国どこの環境でもあるのでしょうか? 現実を知れば知るほど、理想とのギャップが生まれるばかりな気がします、、、

もちろん、悲観的な未来だけが待ち受けているわけではありません。去年の出来事ではありますが、1つの例として日本でもリフィル処方箋という海外の制度が導入され始めました。私もその制度導入後の現状は詳しくは追えていませんが、こういった新しい制度の導入は少なくとも我々薬剤師の意識を変えてくれるものではないかと感じます。まだまだ若輩者ではありますが、他の薬剤師の方には無い独創的な発想が、私自身も発信できればと思います!

4月は怒涛のように1日が過ぎていきましたが、その中でもこの連載を書くことが、私の気持ちをリセットしてくれているような気がしています(笑)。なにげない日常ではありますが、その中に隠れている思考を皆様と共有できることを嬉しく思っております。

次回の内容も特に考えてはいませんが、楽しい話題をお届ければと思っています!お楽しみに!

最後までお読みいただき、ありがとうございました。