サラヤは11月13日、都内に小売・卸の幹部・バイヤーなど172人を集め、「2026年方針説明会・新製品発表会」を催した。更家悠介社長の挨拶に続き、取締役コンシューマー事業本部本部長の山田哲氏が事業方針を、同事業本部ブランド統括部統括部長の水越由利子氏が新商品と注力商品を発表した。今年度の事業テーマは「「衛生・環境・健康に関する課題を革新的な商品とサービスで解決し社会に貢献する」。それを体現する活動がいよいよ来春に稼働する(取材と文=八島 充)

更家悠介社長は日本の精神性に触れ、「我が国は神仏習合によって平和を維持し、インクルーシブ(包摂性)とダイバーシティ(多様性)を育んできた。我々もこうした背景を踏まえながら創造的破壊と価値創造を繰り返し、ビジネスを発展させていくべきである」との思いを語っていた。
また先の大阪・関西万博で「海洋にまつわる世界的な課題の解決」を提言してきたが、その活動に終わりがないことも強調している。2030年のSDGsのゴールに向け、来年以降も新たなアクションを次々と起こしていくことを宣言している。

続いて山田本部長は、2026年の事業テーマ「衛生・環境・健康に関する課題を革新的な商品とサービスで解決し社会に貢献する」を発表するとともに、基本方針「お客様に安心と感動をお届けする」に基づく各領域の活動内容を説明した。
「衛生」は、プロの現場で培われた「エビデンスベースの感染対策」を強みに、界面活性剤と除菌の両カテゴリーに新製品を投入する。またフレイル予防・スキンケア・オーラルケアの観点から、健康寿命延伸をサポートする商品群も強化する。「(感染)予防意識の高い方、基礎疾患がある方、さらに後期高齢者をターゲットに効果が立証された商品の提供に努める」(山田哲本部長)としている。

「環境」では、「地球と人に優しい自然派商品」のラインアップを強化する。今年のヘアケア・ボディケアカテゴリーに続き、来年はベビー用ブランド「アラウ.ベビー」に新商品を追加する。また、「ヤシノミ洗剤」「ハッピーエレファント」「アラウ.ベビー」のそれぞれに紙パックを投入し、プラスチックの削減に貢献する。

同社独自のバイオバイオサーファクタント(微生物由来の天然界面活性剤)「ソホロ」を用いた商品開発も促進する。「生分解性、洗浄とすすぎの能力、さらに安全性が高いというソホロの特徴を活かし、環境成分関心層・自然派オーガニック志向層・バイオ成分関心層の期待に応える商品開発を進めていく」(同)という。
このほか「健康」では、植物生まれのカロリーゼロの甘味料「ラカントS」のブランド力を生かした派生商品のほか、熱中症予防を目的に今年に発売した2品の配荷拡大に努める、としていた。

山田本部長の後を受け登壇した水越統括部長は、「衛生」では「手洗文化の浸透と拡大」、「環境」では「バイオ発酵技術による次世代界面活性剤『ソホロ』の活用」、「健康」では「社会解決型商品群の拡大」といったテーマを設け、具体的な商品を紹介している。
「衛生」では、コロナ禍以降右肩上がりを続ける「ディスペンサー」市場に「サラヤ ノータッチハンドソープディスペンサー」を投入する。中国での自社生産を実現し、「耐久性」「電池寿命」「誤作動」など、市場にある既存品の不満を解消する商品を目指したという。

「環境」では、「ソホロ」の強みを活かしたラインアップを強化する。「今世界はあらゆる分野にバイオ発想を広げ、産業や社会を根本から変革するというBX=バイオトランスフォーメーションの概念が根付いている。当社もソホロを介してこの流れに乗っていく」とした。また、ソホロの説明で登壇した商品開発本部の平田善彦本部長は「2050年までにすべての洗浄成分のソホロへの変更を目指す」と意気込みを語っていた。
このほか同じ「環境」から、品質重視志向が強まるベビー市場に、ストローマグの洗浄に特化した「アラウ.ベビー泡ストローマグ洗い」も発売。既発売品の「アラウ.ベビー衣類のラク洗いスプレー」と合わせ、ベビー市場の活性化を図る考えである。

「健康」では、基幹商品「ラカントS」のパッケージをリニューアルすると同時に、「ラカント」ブランドから発生した、「低糖質グミMOGYUiT」と「カロリーゼロのど飴BLACKメンソール」を新発売する。「第3次健康日本21においても糖尿病は大きな社会課題。おいしく簡単に糖質やカロリーをコントロールできる『ラカント』ブランドを用いて、その課題解決に役立っていきたい」(水越統括部長)という。

最後に登壇したコンシューマー事業本部営業統括部の龍神啓二統括部長は、今回の方針説明会の振り返りを、以下のように語っていた。
「営業の役割は主に数字を用いて取引先に納得していただくことだが、当社は売上やシェア率の増加よりも感染者や患者の減少を使命と心得て活動している。そしてこの方針説明会は、開催側の一方的な情報提供ではなく、あるべき姿を『共創』し、変化を起こすことへの『共感と共鳴』をもたらし、当社の宣言そのものを『共有』していただく場と捉えている。当社活動に引き続きご理解を賜り期待していただきたい」
なお記事中で紹介した製品はいずれも来春に発売するため、詳細はニュースリリース発表後にお伝えする。