マーケット調査会社の富士経済が、加工食品(27カテゴリー403品目)のうち、グミキャンディやポテトチップス、フリーズドライみそ汁、育児用液体ミルクを始めとする菓子、スナック菓子、スープ類、育児用食品の4カテゴリー56品目の市場を「2023年 食品マーケティング便覧 No.1」にまとめた。
富士経済グループサイト https://www.fuji-keizai.co.jp/
2021年は、新型コロナウイルス感染症の影響で通勤・通学時やオフィスにおける喫食シーンが減少したため、のど飴や口中清涼菓子が伸び悩んだことから、メーカーはこれらの影響が小規模であったグミキャンディへ注力した。この結果、売り場での取り扱いが増加し、需要を獲得した。また、輸入ブランド商品や国内メーカーの限定販売品がSNSで話題になるなど、グミキャンディへの注目が高まるとともに、CVSでの取り扱いも増加したことから、市場は急拡大した。
2022年は、前年からの伸長に加え、定番棚の拡大や子供から大人まで幅広い層が購入していることから、過去最高の市場規模が予想される。
食感や形状など豊富な展開に加え、機能性を訴求した商品の投入も可能であること、ガムやハードキャンディなどと比較すると食経験者が比較的少ないことやインバウンド需要が回復に向かうことから、今後も市場は拡大するとみられる。
2021年は、ジャガイモの主要産地である北海道が干ばつに見舞われ、原材料不足となったことを受け、大手メーカーが高単価の付加価値商品へ注力し、ボリュームゾーンの商品の販促量を抑制したため、市場は縮小した。
2022年は、大手メーカーが原材料費高騰などを背景とした価格や内容量の改定を行ったため、数量ベースでは縮小するものの、単価上昇に伴い市場は前年比1.2%増の1,130億円が見込まれる。
2023年は、引き続き、メーカーは高付加価値、高単価商品の拡販に注力することから、前年同様単価が上昇するとみられる。また、行動制限が解除された後も、家飲み志向が残り、おつまみ向け商品の好調維持によって、市場拡大が予想される。
東日本大震災後にストック需要が高まり、ユーザーの裾野を広げる形で市場は拡大してきた。賞味期限が長く、本格志向の食感がヘビーユーザーや新規ユーザーに支持され、市場はコロナ禍でも拡大している。
2022年は、食感に加え具材のバリエーションも増え、シニア層を中心に需要が高まっている。原材料費や物流費の高騰による大手メーカーの価格改定の影響もあり、市場は前年比8.5%増の308億円が見込まれる。
具材の豊富さや本格的な食感を訴求した商品バリエーションは今後も増加するとみられる。市場は拡大を続けると予想される。
2022年は、哺乳びん用乳首を容器に取り付けられるアタッチメント方式の商品が好調なほか、乳製品メーカーから新商品が発売されている。また、育児用調製粉乳に比べてECの割合が高く、巣ごもり需要の獲得も進んでいることから、市場は前年比10.0%増の22億円が見込まれる。
災害時や外出、夜間をはじめ、ミルクを作る手間が省ける利便性の高さなどからアタッチメント方式の商品は、今後も伸長するとみられる。
菓子は、在宅勤務中の間食需要が高く、リラックス訴求などを行った菓子が好調である。特に、グミキャンディは最も高い伸びを示しており、2022年は過去最高の市場規模が予想される。また、消費者の健康意識の高まりを背景に、幅広い品目で健康訴求商品の投入が進んでいる。しかし、加工食品全体の値上げで嗜好品の買い控えが起きていることなどから、2022年の市場は前年比微減が予想される。
今後も、価格改定による買い控えの影響は続き、2023年の市場も縮小するとみられる。
スナック菓子は、ポテトチップスは高付加価値、高単価商品の投入で単価が上昇しているほか、ポテトチップスから需要移行がみられるコーン系スナックも伸びており、2022年の市場は前年比2.2%増が見込まれる。
今後も、ポテトチップスでは、単価が上昇するほか、コロナ禍以降おつまみ需要を獲得しているため、2023年も市場拡大が予想される。
スープ類は、インスタントスープが食事のほか、在宅勤務中の間食需要が高まっている。また、家庭内飲用需要を獲得している即席みそ汁や、オフィス出勤者の増加を背景としたカップ入りスープ、フリーズドライみそ汁などが好調であり、2022年は前年比1.6%増が見込まれる。
インスタントスープの飲用シーンが広がることや、今後も、簡便ニーズを背景とした即席みそ汁、電子レンジ対応商品の需要は高く、2023年の市場は拡大が予測される。
育児用食品は、外出先での利用増加でスティックやキューブ状の需要が高まっており、育児用調製粉乳が微増となったものの、ベビーフードが前年を下回ったため、2022年の市場は前年比微減になるとみられる。
2023年の市場は、ベビーフードが共働き世代の簡便、時短ニーズを獲得するものの、出生数の減少などで規模の大きい育児用調製粉乳が伸び悩み、前年比微増にとどまるとみられる。
<調査方法>
富士経済専門調査員による参入企業および関連企業・団体などへのヒアリングおよび関連文献調査、社内データベースを併用
<調査期間>
2022年7月~9月