次世代型食物繊維「グァー豆食物繊維」を製造・販売する太陽化学株式会社が、日本人の腸を健康にするヒントを得るために「食物繊維の摂取における意識調査」を実施した。その上で同社は、2月20日に日本最大級の腸活アプリ「ウンログ」を運営するウンログ株式会社の協力のもとで「腸活トピックス2024」発表会を開催した。この発表会には、腸内環境研究の第一人者である京都医科大・内藤裕二教授も登場し、食物繊維の種類選択の重要性と最新知見が述べられた。(取材と記事=中西陽治、写真=佐藤健太)
発表会の冒頭に立った太陽化学のメディケア事業執行役員・山崎長宣氏は「太陽化学は創業以来、研究開発に最も力をいれており、社員の4人に1人が研究者としての知見を持った研究開発型の企業であり、1980年頃より植物由来の天然素材から健康成分を取り出すことに着手し、人の生理機能の効果実証を含めた研究を重ねて参りました」と紹介した。
その上で「『腸活』が一般化し、食物繊維の摂取に関する注目度が高まる一方で、日本人の食物繊維の摂取量は減少傾向にあるというギャップが生まれています。そこで次世代型の食物繊維『グァー豆食物繊維』などの研究・開発・販売を基軸に日本人の腸内環境の健全化を目指す太陽化学は『食物繊維の摂取に関する意識調査』を実施しました」(山崎氏)と調査の目的について説明した。
「食物繊維の摂取に関する意識調査」では、食物繊維摂取を意識しているかについての質問に「すこし意識している」(47.2%)「かなり意識している」(14.8%)と回答し、合わせると6割以上の人が食物繊維摂取を意識している結果となった(図表1)。
食事の中で積極的に摂取している栄養素についての質問では「食物繊維」(53.8%)はトップの「たんぱく質」(61.3%)に次ぐ2位で、『腸活』のイメージが強い「乳酸菌やビフィズス菌」(44.5%)やメジャーな栄養素「ビタミンC」(31%)よりも摂取意向が大幅に高かった(図表2)。
意識的に食物繊維を摂取している理由については、「腸内環境を整えるため」が76.1%と、2位の「便秘解消のため」(52.2%)よりもずば抜けて高い数字をマークした(図表3)。
また、食物繊維摂取を意識している6割の人を対象に、摂取する際に意識していることを聞くと「継続的に摂取すること」(60.8%)、「摂取のしやすさ」(45.4%)、「摂取する量」(31.5%)がトップ3で、継続性や摂取量を意識している一方で、「食物繊維の種類」を意識している人は10.2%と低い数値を示した(図表4)。
食物繊維の摂取による効果を感じているかについて、食物繊維摂取を意識しつつ「種類選択は意識していない」群と「種類選択を意識している」群に分けて聞いたところ、効果を感じている人は「種類選択を意識していない」が55%、「種類選択を意識している」が74%と、実感に差があることが明らかとなった。また「種類選択を意識している」群は効果を〝まったく感じない人〟が0%に上るなど、食物繊維摂取による効果の実感は、食物繊維の種類選択も重要であることが示唆された(図表5.6)。
山崎氏は「いわゆる『腸活』に興味関心が深い人は食物繊維を摂取する際にその種類にもこだわり、体感を得ている。一方で、種類にこだわらない人はしっかりとした体感を得にくい現状があり、食物繊維の種類・質の訴求が今後の腸活市場において重要となってくる」と分析した。
■食物繊維の摂取に関する意識調査
調査方法:20~60代の男女を対象にWEBアンケート方式
有効回答数:600人(20代~60代の男女60ずつ)
調査実施日:2024年1月16日~2024年1月22日
調査主体:太陽化学株式会社
調査の詳細は以下URLを参照
https://www.atpress.ne.jp/news/385531
続いてウンログの代表取締役・田口敬氏が「最新腸活トピックス2024!」を解説し、ダウンロード100万件突破の観便・腸活アプリ「ウンログ」のユーザー3,155人に対して行った調査から、今年注目される腸活トピックスが発表された。調査は「菌の摂取」「食物繊維の摂取」「新習慣」の3つの部門に分かれ、それぞれ〝大事にしたいこと〟をアンケート調査。「菌の摂取」部門の順位は「生きて腸に届く菌をとる」、「摂取量(菌の量)」、「自分の腸内フローラにあう菌」がトップ3となった。
田口氏は「腸内フローラが一人一人違うことが認知されつつあり、『生きて腸に届く』や『自分の腸内フローラにあう菌』など菌の種類も個人の体質に合わせた〝パーソナライズド・プロバイオティクス〟が注目を集めている。また『摂取量(菌の量)』においても、ここ数年で求める菌数が〝~億個〟から〝~兆個〟へと増える傾向にある」と説明した。
「食物繊維の摂取」部門では、「摂取量を増やす」、「摂取時の種類選択」、「いろんな種類の野菜」がトップ3に並び、「菌と同じく食物繊維についても種類選択の意向が高まっている。またトライアルである関心層は摂取の量から始まり、質の追求に至る傾向にある」(田口氏)という。
「新習慣」部門では2024年に注目している菌に関するトピックを紹介。「発酵食品」「プロバイオティクス」「腸内環境と免疫力」などが挙がる中、4位以降に「腸内フローラ検査」「腸内環境とメンタル」「パーソナライズ」といったより具体的な腸活メソッドが並んだ。
田口氏は「『腸内フローラ検査』や『パーソナライズ』が新習慣のカギを握る。今後は自分の腸内細菌叢を知り、パーソナライズされた自身の腸内細菌に愛着を持って腸活に臨む〝my腸活〟が広がるだろう」と展望した。
「食物繊維は機能で選ぶ〝種類選択〟が新常識に!注目は〝高発酵性〟食物繊維」をテーマに京都府立医科大学大学院の医学研究科教授の内藤裕二氏が登壇した。内藤氏は冒頭で「近年、腸内環境の改善が腸だけでなく全身に好影響を与えることが明らかになったこともあり、腸内環境の改善に役立つ食物繊維は5大栄養素に加わる6つめの栄養素として重要視されるようになりました」と経緯を説明した。
「これまで、食物繊維は摂取量について言及されることが多く、今回発表された調査でも、食物繊維の摂取量や継続的な摂取などを意識する人が多いという結果でした」(内藤氏)。だが、食物繊維と一括りにしても種類は多種多様であり、それぞれ身体への効果や機能が異なる。「最近の研究では、食物繊維は摂取量だけでなく、食物繊維の種類を選択することも重要だということが分かってきました」(内藤氏)
さらに内藤氏は「特に私が注目しているのは〝高発酵性〟の食物繊維」と強調した。高発酵性の食物繊維は腸内細菌の餌になりやすく、短鎖脂肪酸を多くつくる特徴を持つ。短鎖脂肪酸は便通改善だけではなく、「腸内の悪玉菌の活動抑制」や「腸管バリア機能を高める」「抗炎症作用」など、全身にポジティブな影響を与えることから、「腸内環境を基軸として健康を実現するならば、食物繊維は摂取量だけでなく種類を意識することが重要です」(内藤氏)と語った。
加えて、発酵スピードが緩やかな発酵性食物繊維を選択することで、膨満感が少なく(腸の中にガスが発生しにくく)、「過敏性腸症候群といったおなかが弱い人でも腸内環境を改善できます」と述べた。
【内藤裕二氏 プロフィール】
腸内環境研究の第一人者。消化器内科医として臨床に携わる傍ら、腸内細菌、食物繊維と健康長寿の関係などの研究をはじめ、長年腸内細菌を研究し続けている。2023年にはガット(胃腸)フレイル(虚弱)という概念を提唱し、日本ガットフレイル会議を設立。著書に、『消化管(おなか)は泣いています』、『すべての臨床医が知っておきたい腸内細菌叢~基本知識から疾患研究、治療まで』『すごい腸とざんねんな脳』など多数。
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