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その商品は価値=価格が適正と認められているか?

その商品は価値=価格が適正と認められているか? =Hoitto‘s eye= 

長引くコロナ禍にウクライナ問題と、日本経済に影響を及ぼす外的事象が相次いでいる。特に後者は急激な原材料価格の高騰と円安をもたらし、あらゆるカテゴリーで商品の価格が上昇している。いわゆるインフレ状態に突入した訳だ。

政府はデフレからの脱却と物価上昇をベースに消費の底上げを狙ってきたが、物価の上昇以上に収入が上がらず、将来不安も相まって消費が鈍っている現状は、あまり健全な状況とは言えない。

コロナ禍においても、ドラッグストアはヘルスケアニーズを汲み取り堅調に推移してきた。しかし最近は利益率の高い医薬品や化粧品の販売が振るわず収益性が低下している企業も増えた。医薬品や化粧品に並ぶ売上の柱である雑貨や食品も、価格競争の中で売上や荒利額が伸び悩んでいる。そこに、原材料の高騰が直撃した格好だ。

本来は、高騰する原価を価格に反映すべきだが、安さを売りとしてきたドラッグストアには、商品の値上げに対する抵抗感がある。しかし、優越的地位の濫用とは言わないが、目減りする利益をメーカーに補填させる商慣習も限界にきている。

結果的にメーカーが体力を失い、商品開発という本来の機能が弱体化すれば、それを販売するドラッグストアの競争力の低下に繋がりかねない。経済及びサプライチェーンの持続性を考えれば、商品の持つ適正な価値を原価に乗せ、製配販で適正な利潤を分配する仕組みが必要である。

商品の適正な価値とは何か?この問いに対し某ヘルスケア卸のトップは、以下のような考えを述べている。

「原料高が高騰する以前、長らく商品の単価が下がり続けていました。これは、お客様がその商品に価格以上の価値を見いだせず、売り手と買い手の価値=価格が乖離していたことに他ならず、その乖離を無くすことが、単価上昇の鍵であると考えます。今こそ、目前にいる買い手のニーズに合致した商品の開発を、本気で進めなければなりません」

供給量を需要量が下回れば価格は下がり、その逆をいけば価格は上がる。中学の授業で習ったシンプルな法則の中に、今日の課題は内包されている。その状態が20年以上続いているようなら、旧態依然の業態や商慣習の再構築が必要かも知れない。国の目指す“健全な”物価の上昇に向け、サプライチェーンの試行錯誤は続く。(八島)