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東邦HD最高顧問の濱田矩男さんとの思い出
「話が尽きなかった在宅医療と管理栄養士のこと、そして優しい笑顔」

ありし日の濱田矩男さん(2019年11月、決算会見にて)


東邦ホールディングス最高顧問の濱田矩男さんが、11月24日午前2時50分に急性白血病で逝去された。享年83歳。

濱田さんは1966年10月、東邦薬品(現東邦HD)に入社し取締役、常務取締役、代表取締役専務、同副社長を経て2005年6月に代表取締役社長、2009年4月には代表取締役会長及び東邦HDの代表取締役社長に就任。2010年6月に東邦薬品取締役会長、2017年5月に東邦HD代表取締役会長CEO、2020年に代表取締役会長、2021年に取締役最高顧問、2022年から最高顧問と、それぞれ歴任された。

東邦生活57年の濱田さんとの出会いは、東邦薬品会長時代の2009年に初めて取材をさせていただいてから、コロナ禍を除けば、かれこれ10年余り前になる。在宅医療分野にとても造詣が深く、私は決算発表の際に必ず毎回、濱田会長の目の前、最前席に座り質問をさせていただいていた。

私からの質問は、第二次医療法の改正で医療を提供する場に“居宅”の二文字が盛り込まれ、病院、外来に続く“第三の医療”としてクローズ・アップされた在宅医療だったが、いつもていねいにお答えいただいた。

東邦HDには、傘下の調剤薬局が146店舗とファーマクラスター傘下の調剤薬局621店舗とを合わせて767店舗(2023年3月末時点)が調剤業務を中心として地域で活躍しているが、濱田さんは「処方箋調剤業務だけでなく、薬剤師は調剤室から地域への訪問活動にも力を入れるべきだ」と日頃からいわれていた。

こうしたきっかけで、急なアポイントにもかかわらず取材を受けていただき、JR東京駅八重洲口から2分の地にある本社を訪ねてインタビューさせていただいたことは再三。そして、「調剤薬局では食の指導も重要だ」として管理栄養士を積極的に採用されていたことも思い出す。

コロナ禍も重なりお会いすることはなくなってしまったが、決算発表会、インタビューでお会いさせていただいた際に、「これからの時代は…」と調剤薬局の行末を話されていた時の優しい笑顔は今もって忘れられない。合掌。(流通ジャーナリスト・山本武道)