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「第23回JAPANドラッグストアショー」副実行委員長 佐藤文則氏 独占インタビュー

「ドラッグストアが「食と健康」担い 〝永いマーケット〟を作り上げる」

 2023年8月18日から20日まで3日間にわたり開催された「第23回JAPANドラッグストアショー」。感染症対策が緩和され、リアルでのショー開催に期待が高まる中、3日間を通じて58,872人が会場に足を運んだ。今回、「食と健康ゾーン」では、〝ドラッグストアでこそ売るべき、売れている食〟が数多く披露され、サンプリングが解禁されたこともあり、ビジネス・一般来場の両方から好評を得ている。ショー会場では、この〝ドラッグストアで売るべき、売れている食〟にスポットを当て、健康促進に役立つ「食と健康」の市場創造を推進する「食と健康アワード2023」が開催された。 「食と健康」に関わる全ての食品のうち、2022年~2023年春夏の新商品と、同年に特筆すべき動きのあった既存品を対象に、来場者の投票をもとに審査委員による選考会を経て受賞商品を決定。ショーのステージで表彰式が行われた。このほど「第23回JAPANドラッグストアショー」副実行委員長を務め、「食と健康アワード」分科会リーダーでもある佐藤文則氏(よどや代表取締役社長)にインタビューを実施。「食と健康」に込めた思いと市場創造への未来を語っていただいた。

――「第23回JAPANドラッグストアショー」を振り返っていかがでしょうか。

佐藤文則氏

 2023年のドラッグストアショーは昨年に比べ来場者が多く盛り上がっていた、と感じており、個人的にお客様に喜んでいただき安堵しています。

 昨年より、会場をビッグサイトに移し、時期も夏休みとしたことで、家族連れやお子さんが来てもらえるイベントになりました。お子さん向けの夏休みイベントのような側面もあり、実行委員としても思い描いていたショーに近づいたと実感しています。

 ただ、「ドラッグストアショー」=幕張メッセのイメージがまだ残っている印象も持っています。そこは今後、広報活動でイメージの刷新をしていきたいと思います。

――ドラッグストアにおける「食」の役割とは。

 日本全体の課題として少子高齢化、社会保障における医療費の上昇があります。

 国全体としても「食」を通じた予防やケアが重要になってくるでしょう。

 今回の「食と健康アワード2023」のエントリー商品にも表れていますが、特定保健食品や機能性表示食品といった、ヘルスケアを軸にした食品が増えています。おやつ感覚で栄養がとれたり、食品で睡眠の質を向上することができるようになりました。  

今後ますます「食」の需要が拡大すると思いますし、ドラッグストアが医薬品、化粧品、日用品を通じて提供している「健康的な生活」に直結するカテゴリーだと捉えています。

――「食と健康アワード2023」を振り返って。

 今回はビジネス来場者と一般来場者に投票していただく形で受賞を決定しました。

 投票結果を振り返ると、やはりお客様(一般来場者)の健康意識が変化していることが印象に残りました。外出自粛の反動で、運動やダイエットに意識が集中したり、睡眠の質に注目が集まる、といった健康ニーズが顕在化しているように感じます。生活者は「食」に対する付加価値を求めている、ということです。

 ですから単なる食事やおやつではなく、付加価値が加わった食品に注目が集まったのでしょう。

大賞を受賞したキリンホールディングスさんの「プラズマ乳酸菌」は需要の変化を表した商品だと思います。これはビジネス来場者も一般来場者も同等に高い支持を集めています。ペットボトル飲料をはじめ日常使いしやすい点や、商品数が幅広く様々なシーンで「免疫ケア」ができることが響いたのではないでしょうか。

 同じように「腸活」などのキーワードを活用した商品は、生活者にとって身近な訴求として印象に残ったと思います。今岡製菓さんの「腸活レモンジンジャー」や味の素AGFさんの「ブレンディ スティックブラック毎日の腸活コーヒー14本」が各賞を受賞しているのはその結果の現れでしょう。

 生活者が持つ日常意識をとらえてネーミングや訴求に落とし込んだ商品が支持を集めたように感じています。

大賞受賞の盾の授与でキリンHDに表敬訪問する佐藤氏(左から2)

――今年のアワードを踏まえて、今後どのような食品が増えていくと思われますか。

 機能性表示食品に期待しています。今年に入り、届け出受理数が6,000品目を突破するなど、勢いを感じています。これらの差別化食品はスタンダードになっていくと思います。

 いかに商品・サービスに付加価値を与えていくかは企業にとって大きな課題です。そこで単に味や価格を追い求めるお菓子ばかりではなく、同じ120円の商品ならば、機能性表示食品のような健康価値を付与して差別化を図る商品は大きな武器になるでしょう。

 健康軸として「低糖質」「高タンパク」、あるいは訴求別で「睡眠の質」「免疫の維持」といったアプローチの細分化がより進んでいくのだと考えています。これらのアプローチをきっかけにして、「食と健康」市場は、健康寿命への意識へとつながり「少し運動してみようか」「寝具を変えてみよう」などの行動変容へとつながるでしょう。

 壮大な話ですが、ドラッグストアがその導入である「食と健康」市場を担うことで、永いマーケットを構築できると考えています。

 今後はエントリーしていただくメーカーさんに「食と健康アワード」の価値を知っていただき、積極的に活用してほしいですね。アワードをドラッグストアショーの認知度とともに上げていくことで、来場者をはじめとしたお客様に知っていただく良いイベントにしたいと思っています。

 もちろん、エントリーしていただくメーカーさんにとって、ビジネスに役立つような価値あるイベントにしたいと思います。

 ドラッグストアにおける食の市場拡大とメーカーさんにとってビジネスを促進する、その可能性が「食と健康アワード」にあると感じています。

――ありがとうございました。

大賞受賞の盾を持って記念写真