睡眠不足が指摘される中、日中、居眠りする子どもは、友達を叩き、暴言や不登校の割合が高いなど、様々な問題を抱えていることが、『小中学校教員と保護者を対象とした子どもの睡眠に関する意識調査』で明らかになった。
この調査は、神経・精神疾患領域で治療薬開発に取り組むアキュレスファーマが、小学校、中学校、高校の教員1800名、小学校1年生から高校3年生までの各学年の保護者1200名を対象に実施(2023年8月2日〜7日)したもの。
同調査によれば、最近1か月の学校での子どもの様子について、「学校での居眠りを指摘される」と回答した保護者は7.5%(非常にあてはまる、あてあまる、どちらかというとあてはまる)存在し、学校で居眠りを指摘された子どもは、日中の行動や情緒の安定や学習態度に差があり、落ち着きがなく、友だちを叩く、暴言(衝動行動)や昼夜逆転、「学校に行きなくない」という不登校意向の割合が高い傾向にあり、眠気以外にも様々な問題を抱えている可能性が示された。
子どもの居眠りの理由は、教員、保護者ともに、テレビやスマートフォン、タブレット、ゲームなどで夜更かしをしているケースを挙げ、特に教員は「授業に対する関心や意欲が低い」としたのに対し、保護者は「勉強や宿題で寝るのが遅くなる」と回答し、両者の意識に差がみられた。
対策として教員は、「その都度、本人に注意」したり、「子どもと保護者に面談し注意を促す」割合は40%と、日中に居眠りをする子どもの実態が伝わっていないこと、さらに子どもの居眠りを指摘された保護者の4割が改善対策を講じていないことも明らかになる傍ら、家庭で何らかの対処をしたことで、「改善し、ほとんど学校での居眠りはない」との回答が2割。「改善したが元に戻った」と「何も改善しなかった」とを合わせると7割に達し、持続的に改善することの難しさが示唆されている。
居眠りが、子どもの抱える問題を察知するサインになりうる一方、授業中のウトウトを保護者に伝える教員は4割にとどまり、こうした状況を把握していない保護者も多く、しかも対策を講じていても問題の解消に至っておらず、家庭だけに解決を委ねる難しさが浮き彫りになった調査結果について、同調査を監修した日本睡眠学会理事長の内村直尚さん(久留米大学学長 医学部神経質な精神医学講座 名誉教授)は、睡眠実態調査から見える成長期の子どもの睡眠と関連疾患について次のようにコメントしている。
「発展途上にある子どもたちにとって睡眠は心身の成長に大きな影響を与えるため、早期に正しい睡眠習慣を支援することが重要。子どもは眠気の認識や眠気を訴えることが難しい場合が多く、学童期の睡眠関連疾患は大人よりも適切な診断が困難で、見過ごされるやすい。今回の調査結果は、子どもの日中の強い眠気や居眠りが、子どもが抱える様々な問題の早期発見や早期対策を助けるサインとなり得ることを示した点であり、大変重要な結果…」