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2030年オーラルケア関連市場予測 4,408億円(22年比17.1%増)
付加価値商品の需要増加、+αのケア商品の使用率上昇、歯周病へのケア意識の向上

総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済が、今後「国民皆歯科健診制度」が導入される方向にあることから、注目度の高まりが期待されるオーラルケア関連の国内市場を調査した。その結果を「国民皆歯科健診制度により変貌するオーラルケア市場~制度義務化に向けて創出される新規需要の可能性~」にまとめた。この調査では、虫歯、歯周病、知覚過敏、ホワイトニング、口臭、喉の炎症など口腔および喉のケアを訴求した化粧品、トイレタリー用品、食品、一般用医薬品・医薬部外品、計28品目の市場を捉えた。



高機能商品の需要増加によって市場は伸びていたが、2020年は外出自粛によってガムなどオーラルケア食品が減少したため、市場縮小した。2021年も縮小が続いたが、2022年は外出機会の回復などから、不調が続いていた品目でも需要の下げ止まりや復調がみられ、市場が拡大した。2023年は、脱マスクによる需要活性化やインバウンド需要の回復などが期待され、市場は引き続き拡大するとみられる。

将来的には、国民皆歯科健診制度導入による情報発信・啓発活動によりオーラルケアの重要性が注目されることで、需要喚起が期待され、2030年の市場は2022年比17.1%増の4,408億円が予測される。

定期健診による歯科医師からのアドバイスを受けることで歯ブラシや歯磨など基本的なケア商品は機能性の高い付加価値商品に需要がシフトするとみられ、デンタルフロスや歯間ブラシなど+αのケア商品の使用率上昇も予想される。また、洗口剤についても、すすぐだけという手軽さからトライアルを獲得しやすく、歯周病ケアや虫歯ケア、口臭ケア、美白など機能展開を生かして幅広い層の需要を獲得するとみられる。

また、初期症状がわかりづらく、罹患者の数に対して自覚率の低い歯周病では健診を通して理解が深まるとみられ、特に症状の実感が薄い30~40代のケア意識が高まると予想される。
主要企業は、オーラルケアによる未病ケアや健康寿命延伸という広い健康訴求を行っており、新商品の投入のほか、健康経営の観点から企業向けサービスの展開なども進んでいくとみられる。



中高年層を中心とした高付加価値商品へのシフトによって市場拡大が続いている。コロナ禍の外出自粛によって義歯洗浄剤・安定剤などは減少したものの、感染予防として口腔内の衛生にも注目が集まったことでそれ以外の品目は伸びている。

歯磨や洗口剤は商品投入やプロモーションも活発であり、歯磨は高付加価値商品の好調、洗口剤は若年層開拓により、今後も伸びが続くとみられる。

機能別では、歯周病ケアが約3割を占めており、歯磨をメインとして殺菌力などを訴求した商品が数多く展開されている。このほか、虫歯ケア、知覚過敏ケア、口臭ケアといったコンセプトの商品が展開されており、高機能さを訴求した商品が市場をけん引している。また、美白は若年女性を中心に需要を獲得しており、高付加価値商品の投入により伸長するなど、オーラルケア意識の向上や人流増加を背景に、様々な機能で需要活性化がみられる。



基本的なケア用品は人口減少による総需要の低下が長期的な課題である。しかし、歯ブラシの高機能化による単価アップに加え、デンタルフロスや歯間ブラシでは若年層へのアプローチなど新規開拓に向けた動きがみられ、新型コロナによる落ち込みから、2021年以降再び市場は拡大している。

今後もオーラルケア意識の高まりを背景に、単価アップと若年層の需要開拓によって市場は拡大が続くと予想される。特に、歯間ブラシとデンタルフロスは、歯間ケアの指導が増加することで+αのケア用具として、使用率が上昇し、大きく伸びるとみられる。