大木ヘルスケアホールディングスの2023年3月期連結業績は、売上高が初の3,000億円越えとなり、営業利益も3倍超に増加している。コロナ禍でニーズが高まった医薬品が利益に貢献し、インバウンド需要の回復などで健康食品や化粧品も堅調だった。松井秀正社長は、「卸事業に内包したメーカー(サポート)機能が小売業に支持されてきた。引き続き小売業・メーカーとともに付加価値型の商品開発をすすめ、ヘルスケアを志向するあらゆるチャネルの売場づくりに貢献していきたい」と語っている。
連結の売上高は前期比9.4%増の3,044億4,500万円、営業利益は225.9%増の20億5,900万円、経常利益は99.1%増の31億5,300万円、当期利益は124.4%増の21億8,200万円となった。2021年3月期に収益認識に関する会計基準を変更して同年度の売上高に谷ができたが、実質20年以上の連続増収である。
事業の中核商材である医薬品は、コロナ禍でニーズが高まった風邪薬の寄与等で2ケタ増となり、マスクや消毒剤の減少分を吸収した。健康食品や化粧品も2ケタで伸長し、ヘルスケア領域を網羅した同社の強みが出ている。
NBあるいは同社がSPB(Store philosophy brand)と称する小売業のPBや専売品も順調に伸ばした。「小売業がPB開発を強化する中、当社はストアロイヤリティの向上を念頭にした高付加価値型のSPBを提案してきた。小売業の開発リスクも共有して売場活性化を追求する姿勢が、徐々に評価されつつある」(松井社長)という。
2024年3月期は、コロナ後の環境や不透明なインバウンドの状況を踏まえ業績予想を開示していない。小売業による値上げ圧力やセンターフィーの増加などの懸念材料もあるが、「当社の根底にある社会貢献の姿勢を貫き、ヘルスケア市場の拡大を通じて良い業績をつくっていきたい」(同)としている。