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Hoitto!’s EYE PMSのケアから始めませんか?

「女性の権利」を語ると、それが男性・女性のどちらが発信した場合でも、一定数のアンチが男女それぞれに湧く。極めて個人的な印象だが、多様性の時代になってなお、性差が大きな障壁となり、ジェンダーの議論が前に進まないように感じる。

女性の健康課題に重ねて論じる場面が増えたフェムケアやフェムテックも、言葉の定義で揚げ足をとる方がいる。「メンズケアはどこにいった?」「ITにあらずんばテックにあらず」「喫緊の課題は他にある」「女性をビジネスの道具にしないで」…と言った具合である。

アンチが湧く要因は往々にして、性差の知識と性差別に関する歴史認識の不足だ。判りやすい事例が女性の月経で、そのメカニズムを頭で理解しても実感できない男性は、長くこの生理現象に目を背けてきた。

日本で生理用ナプキンが発売されたのは、アメリカから遅れること40年後の1961年。「女性の月経は恥ずかしいもの、隠すものといった常識を打ち砕いた」(日衛連HPより)というその名は「アンネ」。生理を“甘美な秘密”と表現した「アンネの日記」にインスパイアされた商品である。

DgSはフェムケアの前線基地であったはず

今では“甘美な秘密”もどうかと思うが、当時は「アンネ」が生理の代名詞となってナプキンの普及を後押しした。70年代には量販店のセルフサービスが定着し対面で購入する煩わしさも減った。さらに90年代に台頭したドラッグストアは、生理用品の販売を通じ女性の社会進出を応援した。いわばこの30年間は、ドラッグストアがフェムケアの前線基地であった。

しかし現状のドラッグストアは、フェムケア売場の構築に消極的な企業が多い。その理由は、「対象カテゴリーが広過ぎて商品を絞りきれない」「アパレルの開発が難しい」のほか、真意は知らんが「フェムケアの定義に縛られるのは危険」というものまである。何やら、先ほどの揚げ足とりに通じるではないか。

女性の生理に伴う症状にPMS(月経症候群前)というものがある。排卵を境に変動する女性ホルモン(エストロゲンとプロゲステロン)が影響し、乳房のハリ、下腹部痛や頭痛のほか、うつ症状やネガティブ思考など精神的な症状が出る。

症状を重くする要因はストレスや体力の低下、酒やタバコ、カフェインの摂取、バランスの悪い食事におよぶ。つまり、男女問わず一般的な健康維持・増進の提案が、女性の特定の症状(PMS)を緩和する。PMSの緩和がダイエット効果を高めるとの報告もある。

対処療法の鎮痛剤や精神安定剤、睡眠導入剤といった医薬品ほか、ストレスケア、睡眠ケアなどの保健能食品群の活用も予防に有効である。既存の商品群を括り直すだけでPMSケアを提案できるのは、ドラッグストアの優位性だ。

フェムケアを月経期だけで語るのも的外れらしいが、千里の道も一歩からである。我が国には中等症以上のPMS人口が180万人いる。そのケアをできずしてジェンダー議論の前進もないと言ったら、言い過ぎだろうか。(八島)