3月17日・18日の両日 、公益財団法人日本ヘルスケア協会主催による、第4回日本ヘルスケア学会年次大会・日本ヘルスケア協会活動発表会が、明治大学駿河台キャンパス・アカデミーコモンビルにて執り行われた。コロナ禍を経て3年ぶりのリアル開催となった今回は、協会の公益財団法人認定を祝した記念大会となった。
大会で注目されたのは「プラネタリーヘルス」という概念である。
これは人と地球の全てのシステムは相互に依存し合い、密接に繋がっているという考え方を前提に、人を含む地球の全体最適化を目指す最も統合的なヘルスケア概念であり、時に利害がぶつかりがちな「持続可能な開発目標 (SDGs)」の各項目を有機的に繋げ、SDGs の全体的な推進にも繋がる考え方となる。
ロックフェラー財団と世界的な医学誌 「ランセット」が「地球全体の健康」に関する共同委員会の報告書として2015 年7 月に発表して以来、国際的な研究や実装が進められ、世界的な潮流となっている。
本年次大会の基調講演では 、光文社新書『腸(ちょう)と森の 「土」を育てる』で話題を集める気鋭の内科医で、 認定産業医でもある桐村里紗医師から、「ヒューマンヘルスからプラネタリーヘルスへ」が提唱された。
危機的状況にある人の健康と地球の健康の現状認識と、その原因を作ったのは無自覚な人類の経済活動によるものであるとの指摘をもとに、 人を部分最適化するヘルスケアではなく、人類の健康を実現しながら、同時に社会、生態系、 地球システムの健全性を実現するプラネタリーヘルスへの具体的なアクションのヒントの提示や、桐村医師が鳥取県江府町に移住して町とともに取り組んでいる「鳥取江府モデル」等が紹介された。
基調講演に引き続くパネルディスカッション「プラネタリーヘル スにつながる食と農」(同会:(生科研 ・中嶋常務)では 、JAHI 野菜部会・丹羽部会長、お米部会・柏原部会長を交え、食習慣による生活習慣病の増加、農法の変化による地球環境の悪化、 現代人のカロリー摂取の量的不足 ・質的不足、世界で最も持続可能な水田農業、世界人類に提案された食事法「プラネタリーヘルス ・ダイエット」等が論じられた。
さらに教育講演では、早い時期から土壌を形づくる腐植物質の働きに注目し、腐植物質が植物が必要とする養分に変わるプロセスを研究してきた青山正和・弘前大学名誉教授が、「土壌と作物の健康を支える腐植物質」を講じるなど、「ヒトの健康は安心安全な食べ物によって支えられ、安心安全な食べ物は健全な土壌によって作られる」という近年の協会の主張と同方向の講演が並んだ。
このほか、ペットケア、在宅歯科診療 、管理栄養士の活躍、ファーストエイド、フェムテック、 セルフチェック、健康経営、アルツハイマー病対応等、それぞれ現代的で喫緊のテーマを取り扱った他の教育講演も目白押しで、小規模ながら重要な年次大会であった。
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