マーケット調査会社の富士経済が、豊富な品揃え、宅配という利便性などが支持され拡大しているペット関連製品の国内EC市場を調査し、その結果を「販売チャネルのプレゼンスが高まるペットEC市場」にまとめた。この調査では、ペット関連製品12品目を対象に、ECチャネルを9つに区分(事業分野別)して市場を分析。また、参入企業の動向などを明らかにした。なお、市場規模は小売ベースとする。
豊富な品揃え、宅配という利便性、低価格販売などが支持され、ペット関連製品のEC市場は拡大している。ECチャネルでのペット関連製品の販売に消極的だったホームセンターやペットショップ、また、ペット用品卸業者でも近年は、消費者へのダイレクトプロモーションが可能なことや、購買情報を得られることから、戦略的にECチャネルを活用する企業が増えている。
2022年の市場は1,872億円が見込まれる。中でも大手ECモールの規模が最も大きく、533億円が見込まれる。
2027年は、大手ECモールに加え、総合ペット用品系EC、メーカー直販ECなどが大きく伸びるとみられ、市場は2,463億円まで成長すると予測される。
ペットフードはペット関連製品のEC市場において規模がもっとも大きい品目で、2022年は532億円が見込まれる。内訳は大手ECモールが141億円と最も大きく、リピート需要を獲得しているメーカー直販ECが93億円と続く。2027年の市場は700億円が予測される。
療法食は、獣医師による診断・指導を経由しない非正規ルートへの流出抑制や、メーカーの収益性改善のための販売ルート見直しが強まっている。メーカーはペットオーナーがかかりつけの動物病院コードを入力すると商品を購入することができるメーカー直販ECサイトを構築している。コード入力のあった動物病院はメーカーから直接マージンを受け取る。
2022年の市場は299億円が見込まれる。動物病院を経由したメーカー直販ECが伸びるほか、高付加価値商品カテゴリーの強化により療法食の取り扱いが増えることから、大手ECモール、総合ペット用品系EC、家電量販系EC、動物病院関連ECなどが伸びるとみられ、2027年は412億円が予想される。
市場はEC購入における割安感が支持され、2022年に54億円が見込まれる。大手ECモールの規模が最も大きい。
今後は、大手ECモール、総合ペット用品系ECがリピート需要獲得で伸長すると予想される。また、療法食などでみられる、動物病院コードを入力してメーカーがペットオーナーにダイレクト販売する方法が増えていくと予想される。
<調査方法>
富士経済専門調査員による参入企業および関連企業・団体などへのヒアリングおよび関連文献調査、社内データベースを併用
<調査期間>
2022年12月