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夏太りの分かれ目「安静時エネルギー消費」

最高気温 40℃以上を指す「酷暑日」という新たな名称が決定・即日運用開始されるなど、一層厳しさを増している近年の夏。気象庁の暖候期予報も、2026年の夏は平年より猛暑となる可能性が高いと見見込んでいる。また、昨年同様に梅雨入り・梅雨明けが平年より早まり、暑さの到来も早まると予想されている。

こうした中、暑さによる外出控えや運動不足によって活動量が低下する一方、食生活を大きく変えることは難しく、「夏太り」を気にする方も多いだろう。

そこで江崎グリコは、気温が上がる時期における“太りにくいカラダづくり”の新たな視点として、日常生活の中で自然に消費される「安静時エネルギー消費」に着目。その重要性とともに、毎日の生活の中で無理なく取り入れられる、エネルギーを消費しやすい習慣づくりを、以下の情報を添えて提案している。

2026年の夏は、平年以上の気温が見込まれ、早い段階から厳しい暑さとなる可能性が指摘されている。
こうした気候条件のもとでは、私たちのカラダに生じる変化がある。

まずひとつは、暑さによる体内の熱産生の低下だ。気温が高い環境では、体温を維持するために新たに熱を生み出す必要が少なくなるため、カラダは熱産生を抑える方向に働く。その結果、呼吸や内臓の働きなどに関わる「安静時エネルギー消費」が低下しやすくなる。

もうひとつの要因として、暑さによる外出控えや運動機会の減少が挙げられる。高温環境下では熱中症リスクへの配慮からも活動量が減少傾向となり、日常の歩行や運動によるエネルギー消費が落ち込みやすくなる。

このように夏は、「安静時エネルギー消費の低下(体内の熱産生の低下)」「身体活動によるエネルギー消費の低下(運動不足)」という 2つの側面から、1日の総エネルギー消費量が減少しやすく、カラダがいわば“省エネ状態”に傾きやすい季節といえる。

その結果、エネルギー摂取量が大きく変わらない場合でも、消費とのバランスが崩れやすくなり、「夏太り」につながるリスクが高まると考えられている。日常の中でエネルギー消費をどう維持していくかが、この季節のカラダづくりにおいて重要な視点になる。

私たちのカラダが消費するエネルギーは、運動だけで成り立っているわけではない。呼吸や体温維持、内臓の働きなど、じっとしている間にも使われているエネルギーが存在する。こうした日常のあらゆる生命活動を支える“ベースの消費”が、「安静時エネルギー消費」となる。

この「安静時エネルギー消費」は、1日の総エネルギー消費の中で約 6 割を占める(※1)とされ、運動や家事などの身体活動と共に、日常的なエネルギー消費に大きく関わる重要な要素のひとつである。

また、日々のエネルギー収支が、長期的には大きな影響を及ぼすとされている(※2)。例えば、1日あたり数十〜100kcal 程度の差であっても、その積み重ねが体型変化の分岐点となる可能性がある。

こうした背景から、運動の有無だけでなく、日常生活全体の中でエネルギー消費をどう維持・向上させるかが、これからのカラダづくりにおいて重要な鍵になる。

※1:Horton ES. Am J Clin Nutr. 1983, 38, 972-977.
※2:Hill JO et al. Science. 2003, 299(5608), 853-855.

日常生活の中で安静時エネルギー消費量を高める鍵となる3つの“キン”、「筋肉」「シャキン!」「腸内細菌」を紹介しよう。

1つ目は「筋肉」。筋肉は、安静時にもエネルギーを消費する内臓のはたらきを支える、重要な組織のひとつだ。筋肉量を維持・向上させることは、消費しやすいカラダづくりの土台になる。(※3)

2つ目は、「シャキン!」で、座る姿勢を整えることや、長時間同じ姿勢を避けてこまめにカラダを動かすことを指す。背筋を伸ばして座る、立ち上がって軽くストレッチをするなど、日常の小さな動きの積み重ねが、エネルギーを消費しやすい工夫につながると考える。(※4)

そして 3つ目が「腸内細菌」だ。腸内細菌が食物繊維などをもとに生み出す「短鎖脂肪酸」は、エネルギー代謝への関与が研究されている。腸内環境を整え、短鎖脂肪酸を生み出しやすい食生活を意識することも、安静時エネルギー消費を支えるひとつのアプローチと考えられる。(※5)

このように、「筋肉」「シャキン!」「腸内細菌」という 3つの“キン”を意識することで、日常生活の中で無理なくエネルギーを消費しやすい習慣づくりにつなげることが期待できる。

※3:厚生労働省:健康日本 21 アクション支援システム「加齢とエネルギー代謝」より
※4:Levine, Am J Physiol Endocrinol Metab, 2004、Levine, Proc Nutr Soc, 2003
※5:Canfora EE et al. Sci Rep. 2017;7(1):2360.

Glico は、「腸からの健康寿命延伸」をテーマに、独自のビフィズス菌 BifiX(Bifidobacterium animalissubsp. lactis GCL2505株)の研究を進めている。その成果のひとつとして、ビフィズス菌 BifiX と食物繊維の一種であるイヌリンを4週間以上継続摂取することで、「安静時エネルギー消費量の向上」が認められている(※6)。

BMI が高めの成人男女を対象としたヒト試験では、継続摂取により腸内のビフィズス菌が増加し、安静時エネルギー消費量の増加が確認された。2週目で約101.8kcal/day、4週目で約 84.4kcal/day の向上が見られ、これは日常の活動量に換算すると約 1,800〜3,300 歩に相当する(※7)。

さらに別の研究では、同様の摂取により内臓脂肪および体脂肪の低減も確認されており(※8)、エネルギー消費と体脂肪の両面からのアプローチが示唆されている。

これらの働きは、ビフィズス菌と食物繊維の組み合わせにより腸内で産生される「タンサ脂肪酸」によるものと考えられている。タンサ脂肪酸は、腸内細菌が食物繊維やオリゴ糖などをもとに生み出す代謝物質で、腸内環境の変化を通じて産生が促進されることが確認されている(※9)。

※6:Baba Y et al. Nutrients. 2024, 16, 2345.
※7:健康日本 21(第 2 次)の推進に関する参考資料より
※8:Baba Y et al. Nutrients. 2023, 15, 5025.
※9:Baba Y et al. Biosci Biotechnol Biochem. 2025, 89, 1191-1202.