大木ヘルスケアホールディングスは2月25日~26日の2日間、東京都大田区の東京流通センターで「2026年春夏用カテゴリー提案商談会」を開催した。会場にはドラッグストアを中心に、スーパー、ホームセンター、コンビニなど多様な小売業のバイヤーや関係者が来場。各メーカーのブースでは担当者が商品特徴や売場提案を説明し、来場者が実際に商品を手に取りながら意見を交わす姿が随所で見られ、次シーズンの売場づくりを模索する小売関係者で会場は熱気に包まれていた。

カテゴリー提案コーナーでは、人口減少社会を見据えた売場戦略や商品展開が紹介され、来場者が展示パネルを熱心に読み込む様子も目立った。会場内の通路では次の商談ブースへ向かう来場者の姿が絶えず、終日活発な情報交換が行われていた。

同商談会には約236社のメーカーが出展し、全76テーマのカテゴリー提案を展開。来場予定者は約2,000人にのぼる。特徴は、来場者1組あたり平均約4時間をかけて売場戦略を提案する「フルアテンド型」の商談スタイルだ。小売業の業態や客層、地域特性に応じて最適な商品構成や売場づくりを提示することで、単なる商品展示ではなく実践的な小売戦略を提案する場となっている。会場で提示された大きなテーマは「人口減少時代におけるヘルスケア流通の再設計」である。
同社は市場環境の変化として
・高齢化の進行
・労働人口の減少
・消費市場の縮小
という3つの構造変化を提示。人口減少が進む一方で医療費は増加し続けている現状を踏まえ、セルフメディケーションの推進や健康寿命延伸を軸とした商品・売場提案を展開した。
今回の商談会では、ヘルスケア市場の変化に対応する売場提案として、「快適生活」「医薬品」「健康食品」「園芸・ペット」「コンタクト&補聴器」「フェムケア」「コスメ&バラエティー」の7カテゴリーが展開された。なかでも医薬品カテゴリーでは、本人が自覚しにくい体調変化を周囲の人が気づく「思いやりきっかけ」に対応した商品提案が紹介された。

例えば、「顔色が悪い」「耳が遠くなった」「食欲が落ちている」といった日常の変化に家族や周囲が気づき、OTC医薬品や健康食品の利用につなげるという考え方だ。こうした視点は、セルフメディケーションを生活の中に自然に取り入れる新しいアプローチとして注目を集めていた。また、健康状態を気軽に確認できる「セルフチェック」の提案も行われ、ドラッグストアや薬局の店頭に健康測定機器を設置することで、来店客の健康意識を高める取り組みが紹介された。サプリメントやOTC医薬品は単なる商品ではなく、生活習慣改善の「入口」として位置づけられた。来店客が「学ぶ」「見る」「触れる」「楽しむ」といった体験を通じて健康行動を変えていく売場づくりの重要性も示された。
同商談会では「75歳まで働ける体と社会づくり」をキーワードにした商品提案も目立った。例えば、聴力低下による離職を防ぐための集音器などの補聴関連商品は、働く高齢者を支えるアイテムとして紹介された。高齢者の就労が進む中で、こうした健康サポート商品は今後さらに需要が高まると見られている。さらに、園芸やペット関連カテゴリーでは、犬猫用医薬品や害虫対策商品、家庭菜園用品なども提案され、健康や生活の質(QOL)向上をテーマに、生活全体を支えるカテゴリーとして売場展開が紹介されていた。
会場では健康寿命延伸を支える商品カテゴリーも数多く紹介された。

オーラルケア分野では、大木ヘルスケアが展開する歯ブラシブランド「モブラシ」のブースが設けられ、歯面を包み込む大型ヘッドを採用した歯ブラシなど機能性を訴求する商品が展示された。さらに舌クリーナーや歯ブラシ除菌剤など関連商品も並び、口腔ケアをトータルで提案する売場づくりが紹介された。口腔ケアは誤嚥性肺炎予防など高齢者の健康維持にも関わる重要な分野であり、ドラッグストアにおける重点カテゴリーとして提案されていた。
栄養分野では、高齢者の栄養補給をサポートする高カロリーゼリーなどの食品が展示された。嚥下機能が低下した人でも食べやすく、手軽にエネルギー補給ができる商品として注目されていた。

また、レトルト食品や栄養ゼリーなど、日常の食事をサポートする商品群も紹介され、健康食品と食事サポートを組み合わせた提案が展開された。
美容カテゴリーでは、韓国発のスキンケアブランドを中心としたK-beautyコーナーが設けられたほか、男性向けスキンケア商品やシャンプーなどのメンズコスメ関連商品も展示されていた。さらにサプリメントコーナーも充実し、健康維持や美容、体調管理を目的とした各種商品が並び、健康食品市場の拡大を反映した展示となっていた。さらに市場縮小への対応として、インバウンド需要の取り込みや、高価格帯商品の導入といった戦略も提示された。
今回の商談会では、人口減少時代におけるヘルスケア流通の新たな方向性が提示された。従来の「安くて良い商品」だけでなく、高付加価値商品の導入やセルフメディケーションを軸とした売場づくりが、小売業にとって重要な戦略となることが改めて示された形だ。ドラッグストアをはじめとする小売業が地域の健康拠点としてどのような役割を担うのか。ヘルスケア流通の再設計は、今後の小売業界における大きなテーマとなりそうだ。
