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ウエルシアとイオン九州、新業態開発で合弁会社設立

ウエルシアとイオン九州、新業態開発で合弁会社設立

Well–beingで九州オンリーワンdrug目指す

 イオン子会社のイオン九州(柴田祐司社長)とウエルシアホールディングス(松本忠久社長)は1日、双方のノウハウを融合した新業態の開発・出店を九州地方でおこなうことを目的に、合弁会社「イオンウエルシア九州」(安倍俊也社長)を設立した。出資比率はイオン九州51%、ウエルシアHD 49%、本部は福岡市博多区に置く。

グータッチするイオン九州・柴田社長(左)とウエルシア・松本社長

 イオン九州は旧イオン九州、イオンストア九州およびマックスバリュ九州が2020年9月に統合して誕生した会社。2021年度を初年度とする中期経営計画で、「食の強化(SM 改革)」「非食品分野の 専門化(GMS 改革)」「DX 推進」「環境・地域社会への貢献」の取り組みを進めている。九州全域にGMSやSM、DS、HC等の業態を計 330 店舗(2022年6月1日現在)展開し、前期売上高は4,609億円の規模。

 一方のウエルシアは「調剤」「カウンセリング」「深夜営業」および「介護」を中心としたビジネスモデルを追求し、北海道から九州地方まで国内 2,675 店舗(2022年6月1日現在)を展開。前期売上高は国内ドラッグストアとして初の1兆円突破を達成している。昨年9月の大分を皮切りに九州地方に地盤を構築している最中である。

 毎日立ち寄る「かかりつけの店」を志向

 合弁会社「イオンウエルシア九州」は、ウエルシアの併設調剤を含めたドラッグストア運営の知見と、イオン九州の生鮮・日配を含むSM運営の知見の融合による新業態を開発し、九州一円に店舗網を広げていく方針である。

 新業態は「Well–being」をキーワードに「ハーフマイル」「ワンストップ」「ショートタイム」を提供し、毎日立ち寄る「かかりつけの店」を目指す。4月21日にはその雛形となる「ウエルシア熊本麻生田店」を開設。ウエルシアの調剤併設350坪店舗にイオン九州がコンセとして入店し、生鮮・日配を含む食品強化型の売場づくりをおこなっている。

 九州地方はコスモス薬品などの食品強化型のドラッグストアが存在するが、郊外で調剤を標準装備する同業態は少なく、「これまでのドラッグストアとは全く違う業態ができる」(イオン九州・柴田社長)と、その優位性を指摘している。

 まず新業態となる食品強化型のドラッグストアを、福岡県内に先行出店し、順次九州全域に広げていく。2030年までに200店、事業規模1800億円を目標に掲げている。物件は郊外大型店に照準を絞り、都市型店舗等の開発はウエルシア単独でおこなうことを想定している。

 既存業態では「生き残れない」

 イオングループ企業間でも業態を超えた本格協業は珍しいが、背景には、SM・ドラッグストアともに「既存業態のままでは生き残れない」という共通の危機感がある。その中でウエルシアは昨年から食品強化型として千葉・幕張に自前出店したほか、北陸でマックスバリュとの共同開発もすすめている。一方のイオン九州も、「新業態の開発はSMを変えるための実験にもなる。将来的に既存店の業態転換もあり得る」(柴田社長)と語る。

 ウエルシアは直営出店とM&Aを両睨みに各地に地盤を築いており、今回の合弁会社設立は九州地方におけるM&Aの布石と見る向きもある。新業態の出店が同地方における業界再編の引き金となる可能性がある。(八島)