矢澤一良博士(早稲田大学 ナノ・ライフ創新研究機構 規範科学総合研究所ヘルスフード科学部門 部門長)が「ウェルネスフードのこれから」を探る対談企画「矢澤一良博士が行く!ウェルネスフード・キャラバン」第6回は、2024年10月に開催された食品開発展に出向いての出張版となる。約4万人が詰めかける会場で、米油をはじめ機能性食品・化粧品素材事業を展示するオリザ油化のブースはひときわ賑わっていた。そのオリザ油化の陣頭指揮を執る代表取締役社長の村井弘道氏は、原料メーカーとしての矜持から、まだ見ぬ素材への探求心、そして注目の最新素材まで幅広く語ってくれた。エビデンスが付与された原料・素材の価値とは、機能性表示食品が担うべき役割とは。同じ地平を目指す矢澤博士がそのフィロソフィーに迫る。 【記事=中西陽治】
矢澤一良博士(以下・矢澤博士):本日の「ウェルネスフード・キャラバン」は食品開発展にお邪魔しております。
ここでは出展されているオリザ油化の代表取締役社長である村井弘道さんに健康食品原料についての研究開発、また素材探索から開発に関しての発想や経験談を語っていただきます。
先ほどオリザ油化さんの出展ブースを拝見しましたが、非常に多岐にわたる素材をお持ちで、さらに新規素材も展開しており、毎回その領域の広さに感動しています。
オリザ油化さんの原料・素材は、ひとつひとつエビデンスに裏付けられています。これは機能性表示食品の制度化前から取り組まれていますよね。
そこで、まずオリザ油化の創業についてお伺いします。
オリザ油化株式会社 代表取締役社長 村井弘道氏(以下・村井氏):この度はブースにも足をお運びいただきましてありがとうございます。
オリザ油化は2024年に85年を迎え、社長は私で3代目になります。
私の祖父が創業者にあたり、創業当時は国策事業の「米油」から始まりました。さらにさかのぼると、岐阜県の木曽川の川岸に私の実家があり、創業前にはその川を使った物流を行っていました。米や肥料を運び、物資供給に役立てていたと聞いております。
矢澤博士:油糧穀物には「米油」はもちろん、様々な成分が関係してきます。社名の「オリザ」は稲種の学術名にもありますし、米ぬかなどに含まれる「γ-オリザノール」で知られる言葉です。このγ-オリザノールの開発研究はいつ頃始められたのでしょうか。
村井氏:私が入社する10年前、1980年にオリザ油化でγ-オリザノールを作り始めました。それ以前、私の学生時代に、米油の精製工程でパイプ内に結晶物が詰まっていることが発見され、それがγ-オリザノールだった。オリザ油化の製法が、γ-オリザノールの結晶化に影響する濃度の高いものだったのです。
そこで新たに導入した製法が蒸留脱酸法(NRM)です。NRMは高真空下で油脂を生成する方法で、従来の精製に使用する化学物質を大幅に削減できるようになったのです。
矢澤博士:製法を改良してγ-オリザノールの製品化となったわけですね。
γ-オリザノールが持つ機能性は計り知れません。当時は健康に寄与する可能性についてどのように捉えていらっしゃいましたか。
村井氏:現在でもγ-オリザノールは医薬品成分の区分ですので日本では健康食品には使えません。食品添加物と医薬品、化粧品(※化粧品の場合、表示名は「オリザノール」)に限られます。
そこで私たちは純度98%のγ-オリザノールを創り上げることに集中し、生理活性については製薬会社が担っていた、という役割分担ができていました。
矢澤博士:医薬品成分としてスタートしたγ-オリザノールの高純度の精製に集中してきた。これはある意味ではオリザ油化さん発展の礎と言えますね。
村井氏:そう言いたいところなのですが、私が入社したころにはγ-オリザノールが倉庫に山積みになっていたのです。γ-オリザノールを高純度に精製していっても売れなかった。
これは医薬品として処方され生産されるというインフラストラクチャーが出来ていなかったからです。
矢澤博士:私からはγ-オリザノールは機能性素材として知名度があるように感じますが。日本人にとってお米はもちろん玄米、米ぬかも身近なものです。その中に多くのγ-オリザノールが含まれていますよね。にもかかわらず日本では医薬品原料でしか使えない、というのはとても残念なことだと思います。
村井氏:私もそう思います。日本では何十年にもわたり食薬区分改訂において「γ-オリザノールが食品に使えるようになるかもしれない」という期待がありました。
一方では一般用医薬品のビタミン剤にも使われていますから、いきなり食品区分が認められると〝二足の草鞋〟になりかねない。どう住み分けるべきかの課題をクリアしなければなりません。
そこで、われわれは海外に健康食品や化粧品の原料として供給を始めました。
矢澤博士:γ-オリザノールを海外展開するために食品加工技術に研鑽を重ねた結果、食品に用いられる原料を作るうえで役に立った、ということはありますか。
村井氏:米油を極限まで精製すると、添加物としての生理活性成分がゼロになってしまいます。それを逆手にとって〝生理活性物質が含まれる米油〟として「油の摂りすぎはよくない」という考えへのアンサーとしました。
生理活性物質をある程度残した状態の米油を作る方向へとシフトしていったのです。
米油は他の油と比べてたくさんの体にいい成分がふくまれています、その一つにγ-オリザノールがある、という価値を与えることができたのです。
矢澤博士:さて村井さんは原料・素材を求めて世界中を駆け回り、そのうえで機能性という付加価値をいつも意識しておられます。
産学連携を含めて情報を集め興味のある情報があればご自身で話を聞きに行く、そのフットワークの軽さは素質ですか。
村井氏:オリザ油化では、創業時より日本の米に関わり、今では様々な原料・素材を取り扱っています。
日本から一歩外に出た時に「世界にはいろんな宝が眠っている」と感じたことが原点になっていると思います。
もう一つは、日本人は食べないけれど、例えばある民族は食べ続けているものがある、と素材に惹かれます。
医薬品開発には、「サルの動向を見ればわかる」という言葉があります。サルが健康を害した時にある特定の木の実を食べるということを、新薬開発の研究者は調査します。
私の思いはそこに通じるものがあります。そして、せっかくそんな良いものがあるのならば、日本人を含めた食経験のない方々にお届けしたい、という思いが根本にあります。
矢澤博士:僭越ながら私との共通点を感じました。それは〝好奇心〟です。自然界を見て「どうなっているのか」と疑問に思う気持ちです。同じ現象を見ても、ただ綺麗と感じる人と「なぜ綺麗なのか」と考える人がいます。好奇心は研究者が持つべき素質だと思います。
村井氏:ありがとうございます。
米の胚芽は種にあたり、胚芽の方が栄養価は高いですよね。食用として食べられる種子=「エディブルシード」を見つけていこう、と柚子をはじめイチゴやキウイの種の原料としての応用に取り組んだことがあります。
その種に関して、一つ面白い視点があります。
ふつうキウイの種は取り除いて食べませんよね。ある研究でキウイの種の油を分析したところオメガ3が豊富に含まれていたのです。シソの種子に含まれるオメガ3より多いことにびっくり仰天しました。その分析を基にオリザ油化では「キウイフルーツ油」として原料を規格化しました。
種は時間が経っても芽を出しますし、生命の源を抱えた時限爆弾のような存在でもあると思っています。
矢澤博士: 種は生命の起源です。そう考えると、種の可能性はまだまだ広がりますね。
矢澤博士:探求心や好奇心をもって、まだ知られていない原料を探り当てるという姿勢に感銘を受けます。
今まで、原料メーカーあるいはサプライヤーにエビデンスを求める製品メーカーはあまり多くなかったと感じています。最終を作る製品メーカーが原料導入後に自社でエビデンスを加えていく、といった構造でした。
機能性表示食品制度が施行されてから、「原料の時点でエビデンスが付与されている方が有利」という考えにシフトしていくのは自然な流れだと思います。
機能性表示食品制度によって「エビデンスを持った原料」がスタンダードになったという潮目のようなものがあったのでしょうか。
村井氏:私たちは原料メーカーとして「従前からあったin vitroやin vivoの試験に加えて、臨床データのエビデンスを担保する。ここまでしなければお客様に失礼にあたる」という思想が根付いています。
原料の安全性とデータに自信をもってご提案とPRをしているわけですから、そこはインフラとして非常に重要だと考えます。
矢澤博士:クライアントである製品メーカーとうまく連携をとるために、安全性試験とエビデンスデータは必須である、という考えをもともと持たれていたということですか。
機能性表示食品制度以前からその考えを持った原料メーカーさんはそう多くありませんでした。
村井氏:化粧品の原料メーカーさんはその思想が強かったですね。われわれも影響を多少受けていると感じます。
「塗ってよし」「食べてよし」で考えると、塗布のために先行したデータを持っている企業、つまり化粧品原料メーカーの姿勢から学ぶことがありました。
矢澤博士:導入前に原料にエビデンスを付与してくれるおかげで、製品化がスピードアップしました。オリザ油化さんが機能性表示食品制度の施工より前にその思想で臨まれていたことは大変立派なことだと思います。
なるほどオリザ油化さんはクライアントとの連携がうまい、と他社さんがならうようになったのも納得です。
矢澤博士:それまでの健康食品素材から機能性表示食品素材へと変わりゆく中で素材への考え方も変化してきた。さらに新型コロナウイルス流行などで、食による予防すなわち健康意識も高まった。
そんな健康意識が高まる中で、「なんとなく良い食品」より「健康に対するエビデンスのある食品」の方が信頼度をもって提供しやすいですよね。
その点に関して、リーディングカンパニーとしての自負心はありますか。
村井氏:どうでしょう。
産学官の取り組みを振り返りますと、今ほど健康食品に収益力が無かった時代、どこに予算を振り分けるべきかを考える必要がありました。エビデンスを図柄で説明できるかとなるとレギュレーション上では難しい、という時代があったのです。
そんな中、補助金事業をいただきながら研究していた時に出会ったのがGABAでした。米ぬかや胚芽を水浸しておくとグルタミン酸が急速に脱炭酸されGABAになります。これを当時の農林水産省中国農業試験場との共同研究により、GABA富化米胚芽の量産技術を確立しました。
これは私共にとってオリザ油化と農水省との産学官による特許の第1号となっています。
それまでGABA茶(ギャバロン茶)しかなかった時代に、お米からGABAの成分を解析し、認知度を引き上げたという自負はありますね。
矢澤博士:今日のGABAがあるのは、村井さんのお米からの研究が始まりなのですね。商売上手に加えて研究熱心だと感じます。
産学官の連携もクライアントさんへの信頼を勝ち取るため、連携を深める根拠ですね。
村井氏:世界中の誰もがその名を知るリーディングカンパニーに、オリザ油化の原料が使われているという事実は誇りに感じます。
そのためには原料のデータが十二分になければならない。
製品メーカーさんも「もっとデータがほしい」と次から次へとご要望を投げかけてくださっています。
それに応えられるための体力、そして技術がなければならない。ビジネスを進めるうえで心・技・体が備わっていなければならないと思います。
矢澤博士:原料のデータに対するニーズがそれだけ高いということでしょう。
矢澤博士:それでは世界をフィールドに原料探索しておられるオリザ油化さんのプロダクトについてお伺いします。
まず一つ目ですが「シーベリーエキス/果実油」についてです。「シーベリー」は寒冷地に生える植物素材で、漢方に用いられる「クコ」の仲間ですよね。このシーベリーとはどのように出会ったのでしょうか。
村井氏:シーベリーは寒くてカラカラに乾燥した地域、砂漠のような土地で自生、生産されています。これは先ほどの話にもつながるのですが、種に注目しました。
シーベリーの種子を分析するとパルミトレイン酸(オメガ7)が含まれていることが分かりました。他の原料でオメガ3、6、9を含むものはあるのですが「オメガ7」が無かった。ですからバリエーションを増やす意味でも「シーベリーエキス」を開発しました。
また、オリザ油化には素材を使いつくす「もったいない思想」があります。
シーベリーを油だけの素材とするのはもったいないと思い、油を搾ったあとのシーベリーの核の中からウルソール酸などを抽出しました。
矢澤博士:通常ならばシーベリーのジュースから油を抽出するところですが、種を含めた成分の臨床データから、エビデンスを構築するところまで突き詰めていますよね。
村井氏:研究している間に、種より果肉の中にこそオメガ7が多く含まれていることが分かりました。
北欧のフィンランドでは、シーベリーをホールフードで搾ります。するとオイルが浮いたジュースが出来上がり、みんなそれを飲んでいる。その姿を見た時に「これは何かある」と感じたのです。
寒冷地にも驚きの素材があります、ですから自分自身の足で現場に赴き、素材を見つけることを社員にも伝えています。
矢澤博士:オリザ油化さんは多くの展示会に出展しブースで資料を配られていますが、私はこの分厚い資料をいつも感動して拝見しています。原料・素材はもちろんその価値を支えるエビデンスを網羅した内容で「ここまで披露していいものか」と驚きます。
先ほど紹介いただきました「シーベリーエキス」について、脂質栄養学に通じる私たちでも「オメガ7」はそこまで詳しくはない。ただ「パルミトレイン酸」と聞くと「ああなるほど」となるわけです。
前立腺肥大という、ほとんどの男性が気になる分野への応用が利く。夜間頻尿などへのアプローチを新たに見出した、ということですが。
村井氏:隠すことがない会社ですので、膨大な資料は大判振る舞いです(笑)。
脂質ではノコギリヤシなどにあるステロールが含まれています。それが何か影響を与えているのでは、と考えました。
われわれのデータではシーベリーのオイルは前立腺肥大を抑制することが示唆されていますが、まだ確証にまでは至っていません。ですが「シーベリーエキス」の活性中心成分であるウルソール酸が関わっていることを突き止めました。現在、機能性表示食品の届出受理に向けさらなる研究を進めています。
今回2回目の臨床を終え、論文を提出し届出を行っています。
今日まで種々な素材を通して、こういった研究ノウハウと技術が積みあがってきています。論文を書くことを前向きにとらえている人材が育っていますから助かっていますね。
矢澤博士:次に「さくら乳酸菌」についてです。「菊の花エキス」のように最近、オリザ油化さんは果実や花にこだわっている印象です。
村井氏:桜の花由来乳酸菌の「さくら乳酸菌」の原料ソースでもある桜花はエディブルフラワー(食用花)の一つとして採用しています。
「桜の花エキス」をしわやたるみの原因への抗糖化作用などとして成功事例を作りました。それを踏まえ、桜を極めていく過程で「さくら乳酸菌」を開発しました。
矢澤博士:乳酸菌すなわちラクチカゼイバチルスですが、桜の花にも分離源としてあるのでしょうか。
村井氏:まず桜の花にいろんな種類の乳酸菌が潜んでいることが分かりました。その中で、世界に向けた素材として、中国ほか、海外でも使える乳酸菌の種を選びました。
もう一つは、桜に棲む乳酸菌を100種類ほどスクリーニングしました。指標として免疫に関わるサイトカインの一種であるIL-10、IL-12への活性を比較しました。
桜の品種ごとの比較も行い「しだれ桜」の乳酸菌(Lacticaseibacillus paracasei shidare株)が最も適していることを見出したのです。
矢澤博士:「Lacticaseibacillus paracasei」まではお馴染みの乳酸菌ですが「shidare」が特徴的です。新しい菌の発見者には命名権がありますが「shidare」すなわち「しだれ桜」ということですね。
村井氏:はい。八重桜でも試験をしましたが、しだれ桜が最も適していました。
「さくら乳酸菌」はとても好評で、ニュースリリースをしたとたんに連絡をいただき「すぐ採用したい」というお声をいただいています。
おそらく〝桜〟という情緒的な価値も影響しているのではないでしょうか。
開発の際、「素材の持つ力は大切だ」ということをいつも感じます。これは理屈ではなく人間だれしもが持つイメージがあります。「さくら乳酸菌」は素材の力でもって好印象のイメージをクリアしているのでしょう。
スタートダッシュは好調ですし、これからどう育てていくか。乳酸菌であるため、腸にどのような好影響を与えるのか、をさらに研究していきたいですね。
その他にも女性特有の悩みを解決する機能の研究を進めています。フェムケアによる経済損失の救済といった面でも利用の幅は広いと思います。
矢澤博士:もう一つはオリザ油化さんが「ノビレチン・PMF研究会」で発表された「黒ショウガエキス」についてです。
シークワーサーなどに含まれる「ノビレチン」すなわちノビレチン等ポリメトキシフラボノイドの研究をするべく「ノビレチン・PMF研究会」が立ち上がり、初のシンポジウムが開催されました。
そのシンポジウムでオリザ油化さんは「黒ショウガエキス」について実用化研究を発表されましたが、導入したきっかけについて。
村井氏:黒ショウガはタイ王国のラオスで長年食べられている精力剤であることから〝これは何かある〟と思いました。オリザ油化では「赤ショウガエキス」を関節に資する原料として研究結果を示していましたので、次を探していたら黒ショウガに出会いました。
タイの〝1村1品運動〟にならう形で研究を進めたのです。
矢澤博士:「黒ショウガエキス」のヘルスクレームとして考えられるのが「筋肉細胞におけるエネルギー代謝活性化」つまり体力・筋力になると思われます。これは今でいうフレイルにも対応する研究でしょう。
またスポーツ関連食品として応用が可能であるならばアンチドーピング認証もクリアしなければならない。
このあたりについてお伺いします。
村井氏:血中のテストステロン活性を上げる。まずはAMP活性が見られたことが一つのポイントです。その研究で特許を取得しました。
その後、運動機能へと発展させるべく「握る力」「立ち上がる力」や「自転車をこぐ力」への応用研究、さらに血管内皮細胞におけるNO産生促進のデータも見出しました。アメリカはスポーツ大国ということもあり引き合いが増えています。
日本でのフレイルやサルコペニアではなく、アメリカではプロテインと組み合わせるなど積極的にスポーツに取り入れる素材として開花しました。
スポーツ人口が違うこともありますが、どちらかというと日本は動かずに痩せたいという人が多い風に感じます。
それを踏まえ、日本では高齢者やメタボに向けたデータを集めることが重要だと考えています。
矢澤博士:抗加齢学会でも筋力低下を調べるためにまず握力を調査しますね。非常に直感的に分かりやすいデータだと思います。
海外ではスポーツ素材、日本ではアンチエイジングに近い機能性を研究されているということですね。
矢澤博士:オリザ油化さんのイチオシの3原料についてお話を伺いました。
最後になりますが、今後、業界のリーダーとして目指すもの。私としては食による予防医学、あるいは健康寿命延伸に貢献するお考えにつきまして。
村井氏:〝医食同源〟の考え方を今日まで変わらず持ち続けています。食によってプリベンション(防止・予防)していくということです。
また、今若い国であっても日本のように高齢化へと進んでいくでしょう。
例えば現在ベトナムは平均年齢が31歳で、〝サルコペニア〟と言ってもピンとこないかもしれません。しかしいずれ高齢者が増えていきます。その時に日本発の医食同源に基づいた機能性表示食品がある、ということを発信すべきです。
これは機能性表示食品が制度として立ち上がったときの目的の一つです。それを踏まえて私は機能性表示食品を日本のスタンダードとして諸外国へ輸出し、いずれ世界のスタンダードにしていきたいと思います。そのため、私は海外に行く時に日本の機能性表示食品制度の良さを伝えています。
矢澤博士:例えば中国は人口増加が頭打ちになり、高齢社会に突入すると言われています。日本はその数十年先を行っている。
高齢者への向けては健康寿命延伸つまり〝ピンピンコロリ〟を支えていかなければならない。これは医薬品ではなく食の役割ですね。
村井氏:おっしゃる通りです。お医者さんにかかって薬をたくさんもらうのではなく、その前に食による予防が大切だと思います。私もつねづね〝ピンピンコロリ〟が一番いいと感じています。
――ありがとうございました。