創業から200年以上の歴史を持つ和菓子屋・榮太樓總本鋪が、2024年10月に「とろみ梅ぼ志飴」「とろみしょうが蜂蜜飴」を発売した。同品はとろみが付いた蜜状の飴であり、長年親しまれてきた「榮太樓飴」の味を再現した商品となる。飲み込む力が弱まり喫食に不安を感じている人にも、美味しく楽しめるというのが何よりの特徴だ。
この商品は、単に「榮太樓飴」を蜜状にしたものではない。同社・細田将己社長は「もちろん味には徹底的にこだわりました。可能な限り梅ぼ志飴に味を近づけるために、梅ぼ志飴を作る職人による製法、手作りで『とろみ梅ぼ志飴』を作っています。『とろみしょうが蜂蜜飴』も同様です」と、これまで長年にわたって紡がれてきた味についてのこだわりを話した。
さらに、「ベストなとろみを見極めるのが大変難しい商品になります。煮詰めていくと普通の飴になってしまいますから、煮詰める飴が固まる直前のところで火から下ろします。あまり火を入れていないとさらさらになってしまい、逆に火を入れすぎると冷えたときに固まってしまう。もちろん糖度計という目安はあるのですが、熟練した職人が培ってきた“勘”というのが重要になってきます」と、とろみを付ける工夫にも細田社長は明かした。
ベストなとろみが得られる糖度に至るまでの時間は、日によって多少ずれが生じる。製造する日の気温や湿度、季節によって作業場の気温が違うため、職人がきちんと管理していなければ実現は難しい。しかし、その難しさを乗り越えてでも製品化を目指したのには、大きな理由があった。
「榮太樓飴を食べたいけれど、硬い飴が食べられなくなってしまったというご高齢のお客さまの声が当社に寄せられました。せっかく当社の味を気に入ってくださっているのに、嚥下機能の低下によって食べられないということでした。どうにかして、この悩みに応えたいというのが製品化の第一歩でした。
当社はリップグロスの容器にみつの飴を入れた『あめやえいたろう スイートリップ』という女性向けの商品があります。ある介護施設に勤務している方が、それを利用者の方に差し上げているという話を聞きました。それまでは飴を砕いて召しあがっていたようです。そうしたことを知った私たちは、何ヶ所かの介護施設に『スイートリップ』をご提供したところ、『食べやすくて美味しい!』という声をいただきました。嚥下機能に不安をお持ちの方で、普段飴が舐めづらい方にも当社商品を楽しんでいただけたことに喜びを感じ、さらに需要があることを実感したので開発に至りました。
榮太樓飴はもともと江戸時代から続く飴であり、昔からご愛顧いただいている方は多くいらっしゃいます。また、現在4人に1人が高齢者という超高齢社会にあり、今後もその傾向が顕著化していきます。このような社会で『とろみ梅ぼ志飴』『とろみしょうが蜂蜜飴』を開発し、昔から慣れ親しんだ飴を違う形でご提供することで、昔の記憶を想起させながら美味しく召しあがっていただくことは大きな意義があると考えています」(細田社長)
こちらのURLで同品に関する動画を閲覧できます
https://www.eitarosouhonpo.co.jp/SHOP/KE5-85-001.html