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夏のダメージ肌対策は「腸内環境を整える」のもカギ!〜カルビーNEWSLETTERより

雨が明けると本格的な夏が訪れます。梅雨時期と比較すると日照時間が長く、日差しも強くなり、紫外線が気になる季節になります。夏は肌ダメージを感じやすくなるため、日焼け・紫外線対策を入念に行う方も多いのではないでしょうか。対策グッズやアイテムを活用する他、最近では、腸内環境を整えることが肌ケアにつながることもわかってきています。 今回は、肌と腸内環境の関係や、腸活のトレンドワードである“短鎖脂肪酸”、一人ひとりに合った腸活の重要性などを含め、暑い夏を迎える前に必見の最新の腸活情報をお届けします。

紫外線(UV)は波長の長いほうからUV-A、UV-B、UV-Cと大別されています。波長が短くなるにつれ生体に対する影響が強くなります。(UV-Cはオゾン層で吸収されるため地表には到達しません)。

UV-Bは全紫外線の約5%を占め、波長が短く表皮※1に届きます。屋外での日焼けの主な原因といわれており、大量に浴びると赤く炎症を起こすといわれています。これからの季節、その量がピークを迎えます。(グラフ参照)

UV-AはUV-Bよりも危険性は小さいですが真皮※2に達するため、コラーゲンなどにダメージを与え、皮膚の老化に影響を及ぼすといわれています。シミなどの症状が出始め、年齢が進むとシワが目立つようになるのもその影響と考えられます。これからの季節、夏の肌ダメージを抑える対策が必要になってきます。

※1 皮膚の一番外側にある層
※2 表皮の内側にあり皮膚組織の大部分を占めている層

日焼け止めを塗ったり、日傘や帽子を活用するなど、外側の紫外線対策により肌を守る方は多いと思いますが、近年、体の内側である腸内環境を整えることも肌を守ることにつながることがわかってきています。人の腸内にはおよそ1,000種類、約40兆個の腸内細菌がいるといわれています。

腸内環境を整えることで、腸内細菌が代謝物質の一つである「短鎖脂肪酸」を作ります。それらが血中に移行して、肌の細胞に作用すると、肌のバリア機能が保たれ、結果的に肌荒れしにくくなることが動物実験で報告されています※3。

※3 Trompette et al. , Mucosal Immunol., 15: 908, 2022.

老化には炎症反応が関わっていることが近年の研究でわかってきました。加齢に伴って認知機能の低下が起きたり、視力が弱くなったりすることがありますが、これも炎症反応が関わっているとされています。

腸内環境を整えることで、肌のアンチエイジングや脳機能の改善、視力の維持にも効果が期待できる可能性が動物実験で示唆されています。老齢マウスに、若齢マウスの腸内フローラを移植すると、その炎症反応が抑制されることで認知機能や眼の炎症が改善されることがわかってきました。逆に、若齢マウスに老齢マウスの腸内フローラを移植すると、認知機能の低下や眼の炎症反応が促進されることも報告されています※4。

腸内細菌が作る代謝物質である「短鎖脂肪酸」には炎症抑制効果が報告されているため ※5 、加齢対策のひとつとして、腸内環境を整えることも重要なポイント になるかもしれません。

※4 Parker et al ., Microbiome, 10: 68, 2022.
※5 Furusawa et al ., Nature, 504: 446, 2013.

腸内細菌に 適切なエサが届くことで短鎖脂肪酸の産生が促され、結果的に肌のバリア機能が向上することが最新の研究でわかってきました 。肌ケアは身体の外側からのみならず内側(腸内環境)からも行うことで肌質のベースアップが期待できるかもしれません。

また、腸内フローラは老化に伴う炎症反応とも関連していることから、「生まれてからの時間的な年齢(暦年齢)」は変わらなくても、腸内フローラの活用によって「身体の細胞や組織の状態に基づく年齢(生物学年齢)」を巻き戻すことが可能になる時が来るかもしれません。

同じものを食べたり同じ行動をしても、人によってその効果が十分にあったりなかったりしますが、それは腸内フローラが人によって異なるために起こることが最新の研究でわかってきました。腸内で短鎖脂肪酸をつくるメインプレイヤーが好む食材を積極的に取り入れることで、さまざまな健康効果があることがわかっています。 ご自身の腸内フローラはどのような菌が多いのか、その菌がどのような食材を好むのか。そのためにまずは「自分の腸内フローラのタイプを知る」ということから始めてみることをおすすめ します。自分の腸内フローラのタイプを理解したうえで、皆さんの腸内環境に合った食生活・ライフスタイルで、自分に合ったヘルスケアを行っていきましょう。

■福田 真嗣 (ふくだ しんじ)プロフィール

株式会社メタジェン 代表取締役社長CEO
慶應義塾大学先端生命科学研究所 特任教授/一般社団法人腸内デザイン学会代表理事
腸内細菌研究一筋25年。腸内環境を適切にデザインすることで『病気ゼロ』社会を実現するため、2015年にメタジェン社を設立。

短鎖脂肪酸は、大腸内の腸内細菌が、食物の中に含まれる腸内細菌の“エサ”となる成分を取り込み分解し、代謝することでつくられる代謝物質の代表で、最新の腸内環境研究で注目されています。腸内細菌のエサとなるのは、主に食物繊維やオリゴ糖などを含む食材であることがわかっています。また、短鎖脂肪酸を産み出すメインプレイヤーとなる菌としては、 バクテロイデス 、 ルミノコッカス 、 プレボテラ 、 ビフィドバクテリウム 、 フィーカリバクテリウム 、 ブラウティア の6種類が日本人の腸内には多く棲んでいる傾向にあることがわかっています。効率よく短鎖脂肪酸を増やすためには、まずは 自身の腸内フローラを調べ、自分のメインプレイヤー菌を知り、その結果に合わせた食事を意識 することで、腸内細菌に最大限活躍してもらうことが重要です。

<短鎖脂肪酸の健康効果>
短鎖脂肪酸には、肌に関わる炎症抑制をはじめ、持久力の向上、太りにくい体質になる、疲れにくい体になる、花粉症などのアレルギー症状を抑えるなど、さまざまな健康効果が報告されています。