株式会社メタジェンと株式会社サイキンソーが、腸内環境検査業界の発展と信頼性の向上を目的とする業界団体「腸内環境ヘルスケア協会」の設立、および自主規制ガイドラインの策定を目指し、6月5日付けで業界団体設立準備室を発足し、24年中の団体設立に向けた活動が本格始動した。
メタジェンの代表取締役社長CEO・福田真嗣氏は「これまで腸内環境研究領域を中心に事業を展開し、学術的な側面から様々な腸内環境に関する事象・エビデンスを見出してきた。一方、学術的な腸内環境のエビデンスや一個人の腸内環境に関する情報等を、生活者に適切に届けるには、本取り組みの背景に記載のとおり、業界全体として課題がある状況だ。弊社のミッションである『腸内環境に合ったヘルスケアをあたりまえにする』ことを目指し、本活動に取り組んでいく」と表明した。
サイキンソーの代表取締役CEO・沢井悠氏は「課題先進国である我が国において、国民の健康維持・増進による健康寿命の延伸が重要なテーマであり、それには個人レベルで生活習慣を改善することが求められている。行動変容を促すには、個人に最適化されたサービスの提供が必要。業界で先駆けて腸内細菌叢検査を提供している自負があるからこそ、サイキンソーが率先して業界の信頼性向上に努めていく使命を感じている。『細菌叢で人々を健康に』という企業理念の実現に向けて、誰もが安心して自身の腸内環境を把握できるような社会を目指」と今後の方針を明らかにした。
近年、腸活を取り入れるライフスタイルが普及し、腸内環境と心身の健康との関連について消費者の関心が高まっている。腸内環境の学術的エビデンスも増加しており、腸内細菌が食物繊維などをエサにしてつくりだす短鎖脂肪酸などの代謝物質の健康効果も注目され、機能性表示食品などの腸活関連市場も拡大している。多くの消費者にとって腸内細菌の存在が身近になったことで、自身の腸内環境を評価して生活習慣改善のヒントが得られる一つの方法として腸内細菌叢検査のニーズも高まる。
メタジェンは「一方で、腸内細菌叢検査には検査フローや品質に関する規格が存在せず、各々の検査事業者の自助努力に委ねられているのが現状。また、細菌叢検査を含む腸内環境検査全般は、一般消費者にとって結果の理解と解釈が難解であるという指摘もある。さらに、複数の検査手法があるため、同一検体の検査であっても検査手法によっては結果が一致しない場合もあり、消費者が理解し得る正しい情報を届けることには細心の注意と丁寧な説明が必要になると考えている」としている。
また、腸内環境検査の結果から、自身の生活習慣改善へのアドバイスを求める消費者ニーズも高まっているが、腸内環境は一人ひとり異なることから、画一的なアドバイスだけでは十分とは言えず、個々人の腸内環境に合わせて層別化したアドバイスが求められている。そこで、メタジェンとサイキンソーは、腸内環境検査の精度管理および一般消費者保護の観点から、業界として一定の指針・ルール作りが必要であると考えている。業界標準の開発によって、業界の信頼性向上、並びに新規事業者にとっても安心して参入できる土台を築くことで、業界全体の発展にも貢献できるものとし、さらに、海外でも同一の指摘がされていることから、将来的には国際標準の開発によって日本の検査事業者からグローバルスタンダードを生み出し、国際的に展開していくことを見据える。