ヘルスケア情報サイト「Hoitto! ヘルスケアビジネス」(ヘルスケアワークスデザイン株式会社)

【キリン】ファンケルの完全子会社化を目的とした公開買付け開始

アジア・パシフィック最大級のヘルスサイエンス企業を目指す

 キリンホールディングスは6月14日(金)にグループ会社のファンケルに対し、完全子会社化を目的とした株式の公開買付(TOB)を行うことを明らかにした。キリンHDはファンケルの株式を7月29日までに全株取得する方針で、全株取得に至らずとも議決権比率に応じた株式を取得し10月下旬には、完全子会社化を果たす予定。取得後、ファンケルは上場廃止となる。

 キリンHDは6月14日にファンケルの株式を追加取得し、完全子会社化するための株式公開買付を行うとした。
買付機関は6月17日より7月29日までで、結果は7月30日に公表され、全株取得した場合、ファンケルの完全子会社化が完了する。TOB価格は1株当たり2,690円で、買付総額は約2,200億円となる。

全株取得に至らなかった場合、議決権比率に応じた手続きに移行する予定で、議決権が90%以上ならば株式売渡請求手続きを踏み、9月上旬に株式取得。また議決権が90%未満の場合は株式合併手続きを踏み、ファンケルの臨時株主総会を開き10月下旬に株式取得となる。

近年キリンは豪州サプリ企業やトクホの買収などヘルスケア領域を強化

両社で「カロリミット」ブランドの新商品を7月にリリースするなど協業が目立つ(画像クリックで関連記事)

 キリンHDは2019年にファンケルの株式を取得し、約33%を出資。グループ会社として、研究開発を始め、両社の持ちうる技術を掛け合わせた化粧品、ファンケルの「カロリミット」ブランドの飲料を販売するなど、協業が活発になっていいた。

 キリンHDは今回の株式公開買付(TOB)について「R&D(研究開発)の強みを活用し、ブランドビジネスであるBtoC事業に機能性素材の開発・展開を加えた独自のビジネスモデル構築を実現し、アジア・パシフィック最大級のヘルスサイエンス・カンパニーとなる」と同社のヘルスサイエンス事業の強化を目的としている。

その足掛かりとして、キリンは2023年にオーストラリアのサプリメント企業であるブラックモアズを買収。2024年2月には花王のトクホ「ヘルシア」ブランドの買収を行っており、ヘルスケア領域の強化を行ってきた。

ここに今後ファンケルを加えることで、更なるシナジーを創出する。この完全子会社化が実現すると、キリンHDにはファンケルが持つ健康食品事業(サプリメント等)と化粧品事業を獲得することになり、キリンの食品による内側のケアにファンケルの持つ外側(スキンケア等)のケアが加わり、ヘルスサイエンス事業の基盤がより強固なものとなる。