公益財団法人日本ヘルスケア協会(JAHI) は6月11日に都内で定期記者会見を開催。この度、「乳酸菌・ビフィズス菌理解促進プロジェクト」を発足するに伴い、新たな部会「乳酸菌・ビフィズス菌部会」を立ち上げたことを発表した。同部会は乳酸菌とビフィズス菌の理解促進と関連産業の育成を目的とし、これら成分を含む商品を取り扱う小売チャネルに対応した情報ツールの配布を行っていく。(取材・記事=中西陽治)
会見に登壇したJAHI会長の今西信幸氏は「現在多くの乳酸菌・ビフィズス菌製品が市場に存在していますが、機能性乳酸菌・ビフィズス菌に対してまとまった情報が公的に提供されていません。このため、適切な選択できなかったことによって健康寿命の延伸への機会の損失が発生していることは、当協会として課題に感じています」と現状を告げ、「この課題解決に向け、機能性乳酸菌・ビフィズス菌の機能・商品等に関する適切な情報を提供し、一般消費者が自主的で合理的な選択が行えるようにするため、公平な立場から『機能性乳酸菌・ビフィズス菌の比較情報』の発信が必要です」と示した。
こうした情報を発信できるWebサイト等の構築・運用を当初の活動とし、機能性乳酸菌・ビフィズス菌の理解促進と関連産業の育成を目的とした「乳酸菌・ビフィズス菌部会」が設立することとなった。部会では今後、JAHIの情報発信サイト「ヘルスケア広場」を活用した、公益性に資する情報や店頭での正しい情報提供を目的としたPOPの配布を行っていく予定。
続いてスピーカーに「乳酸菌・ビフィズス菌部会」部会長の平田啓一氏(キリンホールディングス)が登壇し、コンテンツ開発および配信の方向性を説明した。
同部会は今西会長が述べた部会設立の目的に沿ってまずは「乳酸菌・ビフィズス菌の理解促進プロジェクト」を開始。そして「ヘルスケア広場」のプラットフォームを活用して、乳酸菌・ビフィズス菌の知識、機能の違いについての情報発信を行う「正しく知ろう!乳酸菌・ビフィズス菌」のコンテンツ配信をスタートした。
平田部会長は、「現在はテスト運用中ですが、随時内容の充実を図っていきます。またこのコンテンツを基に、販売現場の専門家(薬剤師・医薬品登録販売者・栄養士)の皆さんが生活者に情報提供しやすくするPOPや冊子の配布も行っていく予定で、今年度中には販売現場で活用されることを目指します」と先を見据えた。
これら情報発信の対象者は「機能性乳酸菌やビフィズス菌を推奨したいヘルスケアの専門家」や「健康意識が高く、積極的に摂取したいと考える生活者」などを想定している。そのため「乳酸菌とは」「ビフィズス菌とは」といった前提の説明や機能性別の選択など平易な紹介から、より詳しい菌株ごとの学術情報の提供など、階層別に分かれた豊富なコンテンツを付与していく方針だ。
平田部会長は「ドラッグストア・調剤薬局はもちろん、スーパーマーケット、コンビニエンスストア、専門店など様々な小売チャネルに対応した情報ツールを準備していきます。国民の皆さんの『乳酸菌・ビフィズス菌』への正しい理解と商品選択を促し、健康長寿延伸のお手伝いと、ヘルスケア市場の活性化を図っていきたい」と語った。
会見には、新たな部会設立とあって会場・WEB参加を合わせて30名以上が参加。「菌株は多種多様にあり、どれだけの情報を発信できるか。大変だと思うが画期的な取り組みなので注目したい」や、小売関係者からは「店頭では乳酸菌などの情報提供手段が混在しており、なかなかお勧めしきれていない現状がある。公益性のある情報を集約して、ツールとして提供してくれればもっと伝達しやすくなり、“売りやすく、買いやすい”お店になると思います」といった期待の声が上がった。