2022年に入り、パン・食用油・ティッシュなどの商品から、光熱費・輸送費といったサービスまで、ありとあらゆるものが続々と値上げされています。原材料の高騰、円安、そしてウクライナ危機などが影響し、春に続きこの夏にも3000品目以上の値上げが予定されている。そこで、日本インフォメーション株式会社(以下、日本インフォメーション)が、今年4月に値上げに関する意識調査を行った反響の大きさから、今回は品目ごとの消費者の態度変容について更に詳しく把握するため、本調査を実施した。
日本インフォメーション公式サイト:https://www.n-info.co.jp/
■主な調査結果
1.値上げの実感
2022年7月はTOPBOXで5割強が「値上げを実感する」と回答。4月実施時と比べて1割程度上昇した。またTOP2では83.8%と4.4pts上昇。特に女性30代は95.2%と全性年代で最も高く、4月より+14.2pts。次いで女性60代が92.4%で続く。
値上げの実感するか確認した結果では、男性では50代を頂点として年代が上がるにつれて実感すると回答する傾向が見られます。男性10代を除き、ほとんどの性年代で7月の方が「値上げ実感」が高まっており、消費者心理の悪化が窺える結果となりました。
2.値上げを実感する品目
食品関連の値上げに実感が集中。特に「生鮮食品」が74.8%と突出、次いで「インスタント麺」46.3%、「菓子・スイーツ・デザート類」39.4%と続く。男女とも40代以上で実感する品目が全体より多い。また、日用品関連は、女性での実感が高い。
続いて、値上げを実感しているか各品目別に聴取しました。男性40代以上で「インスタント麺」「レトルト食品」「冷凍食品」(+6.2~14.6pts)、女性40代以上で「基礎調味料」(+5.4~32.4pts)、「ティッシュ類」(+8.2~15.4pts)の実感が高いようです。
3.値上げに対する品目ごとの態度変容
値上げを実感すると答えたそれぞれの品目について、購買行動がどう変化するのか確認をしました。その回答ごとに挙げられた上位の品目を確認します。
■値上げに対する品目ごとの態度変容(ブランドスイッチなし)
「値上げされても今と同じブランドを買い続ける」回答が最も多いカテゴリーは「コーヒー、紅茶、お茶類」で39.2%。次いで「菓子・スイーツ・デザート類」「インスタント麺」「スキンケアアイテム」「基礎調味料」と続く。アルコール類では、ビールは3割を超えた一方でRTDやウイスキー、ワインは2割強に留まった。
■値上げに対する品目ごとの態度変容(他のナショナルブランドへブランドスイッチ)
「値上げされたら、同じ品目でより安く異なる銘柄(メーカーのブランド)に変更する」回答が最も多いカテゴリーは「衛生・入浴用品」で47.7%と半数弱。次いで「メーキャップアイテム」「住宅用洗剤、掃除用品」と続く。メーキャップアイテムは、スキンケアアイテムに比べて、価格が他ブランドへのスイッチ要因になりやすい様子が窺える。
■値上げに対する品目ごとの態度変容(PBへブランドスイッチ)
「値上げされたら、同じ品目でも異なる銘柄(プライベートブランド)に変更する」回答が最も多いカテゴリーは「ティッシュ類」で32.5%。次いで「衣類用洗剤、柔軟剤」「住宅用洗剤、掃除用品」「基礎調味料」の順。日用品関連がPBスイッチの上位に挙がりやすい傾向がみられる。
■値上げに対する品目ごとの態度変容(購入を止める)
「値上げされたら、その品目自体買うのを止める」回答が最も多いカテゴリーは「栄養ドリンク・栄養補助飲料」で22.7%。次いで「お酒、アルコール類(ウイスキー、ワイン、RTD)」「機能性乳飲料」と続く。飲み物関連が上位に目立ち、他の品目と比べて価格の上昇が購入を止めることに繋がりやすい傾向。
4.値上げに関してメーカー側にとってほしくない対応
「原材料などを変えて品質を下げること」が45.3%と半数近く挙がる。「品質を下げること」は、「原価上昇分を価格に転嫁すること」29.1%よりも+16.2pts多く、価格より品質維持を重視する人が多い傾向。
最近の円安・物価上昇を受けて、メーカー側にとってほしくないと思う対応を聴取しました。「原材料などを変えて品質を下げること」は、女性10代がやや高い数値ですが、男女とも年代が上がるにつれて増加する傾向が見られます。また、「容量を減らすこと」では、男性Z世代で全体より+5.4~5.7pts、女性30代で+14.8ptsと特に高い結果となりました。全体的に60代の反応が高い様子が窺えます。
5.節約意識の変化
TOP2が63.1%、半数以上が「節約意識が高まった」と回答。男女とも子育て世代の30代、および女性50代の7割が意識が高まったと回答。
最近の円安・物価上昇を受けて、生活者の節約意識に変化があるのか確認しました。結果をみると、男女とも10代のTOP2は49.4~50.8%と全体より▲12.3~13.7pts、各世代で最も節約意識が低いようです。また全体的に、男性よりも女性に節約意識が高まった人が多い傾向が見られました。
今回の調査では、値上げの影響が生活者のブランドスイッチにどう影響するのかを確認しました。その結果、品目別に影響の受けやすさに差がでていることがわかりました。買い物の品目別に値上げへの対策は異なっており、影響が大きそうな商品については、ブランド価値を高めていくなど、対策を講じないと生活者が離れていくきっかけとなる恐れがありそうです。当社では、様々値上げがもたらす生活者の意識と行動の変化がどういったものなのか、今後もウォッチしてまいりたいと思います。
以上、値上げラッシュの夏、消費者はどう行動する? 値上げに関する意識・行動調査<2022夏>の結果を抜粋してお伝えしました。
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詳細な調査結果資料(その他の質問/属性別分析を含めたクロス集計データ/報告書)を無料にて配布しております。
ご希望の方はお問い合わせフォームからお気軽に問い合わせください。
https://www.n-info.co.jp/inquiry/report/
■調査概要
調査地域:日本全国
調査対象:16~69歳 男女
調査実施期間:2022年7月1日~2日
サンプルサイズ:有効回収計 984サンプル
レポートの著作権は、日本インフォメーション株式会社が保有します。
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■会社概要
会社名:日本インフォメーション株式会社
所在地:東京都中央区銀座3丁目15-10 JRE銀座三丁目ビル4F
代表取締役社長:斎藤啓太
資本金:5,500万円
設立:1969年12月1日
URL:https://www.n-info.co.jp/
事業内容:マーケティング・リサーチ事業、マーケティングコンサルティング 他