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【JACDS】「紅麹問題」小林製薬から事前連絡なく、店頭は混乱

「紅麹コレステヘルプ」1万7千店で販売

日本チェーンドラッグストア協会(JACDS)は都内で第190回定例合同記者会を開催した。記者会では3月22日(金)に公表された小林製薬による紅麹問題について各方面から質問が飛んだ。JACDSが把握している情報によると、回収対象となった「紅麹コレステヘルプ」を取り扱っていた加盟企業は87社、販売していた店舗は17,163店だった。(取材・記事=中西陽治)

池野会長「不安広がり、健食の売上減との報告ある」

 記者会の冒頭あいさつでJACDS会長の池野隆光氏(ウエルシアHD会長)は「ドラッグストアの現場では小林製薬の紅麹を原料とした健康食品の問題による影響が最も大きい。店頭では『問題の紅麹はどの商品に入っているのか』『食品添加物の紅麹は大丈夫なのか』といった問い合わせが多く、想像以上に不安が広がっている」とし「いわゆる健康食品カテゴリーの売上が下がっている、という報告も受けている」と事態を重くとらえている。

池野会長

JACDSとしては小林製薬と情報共有しながら、厚生労働省からの指導もあり、該当商品の回収を急いでいるという。

 回収対象となっている3品「紅麹コレステヘルプ」「ナイシヘルプ+コレステロール」「ナットウキナーゼさらさら粒GOLD」の店頭在庫の返品依頼は、4月1日より小林製薬のリリースが主となっている。小林製薬からはJACDS加盟企業および、中間流通への返品協力依頼が発布され、中間流通業者では納品と逆流する形で回収を行った。ドラッグストア企業も商品回収を急いでいた中で、追って厚生労働省からも早急な自主回収の要請があり「ドラッグストアそれぞれから小林製薬に着払いで送ってくれ」との性急さで現場は混乱を極めたという。

 回収対象となっている3品のうち「ナイシヘルプ+コレステロール」「ナットウキナーゼさらさら粒GOLD」の2品は量販店ではテスト販売中だったこともあり、JACDS加盟企業で取り扱う量は、総数で100個にも満たなかった。

 ただ一方で「紅麹コレステヘルプ」はほとんどの加盟企業と店舗で取り扱いがあり、4月9日に確認したところ、その数87社、17,163店舗だった。

田中事務総長「回収要請に協力する」

1万7千店で販売された「紅麹コレステヘルプ」

 現時点で該当商品の回収はほぼ完了したとのことだが、返品データの入力が追い付かず、全商品の回収完了にはまだ時間がかかる模様。

 JACDS事務総長の田中浩幸氏は「小林製薬と厚労省による原因究明が続いているが、あくまで我々は速やかな自主回収に協力するというスタンスである」と話した。

 3月22日の5時に小林製薬の発表と、同日5時30分に開かれた記者会見で明るみに出た紅麹問題。「この問題をJACDSはいつ把握したのか」という質問について、田中事務総長は「事前に小林製薬から連絡はなく、皆さんと同じ3月22日の報道で知った。その後、商品回収依頼が加盟企業各社に要請された、という流れだ」と説明した。

 回収対象にあたる1商品がほとんどの店舗で販売されていた事実により、今後店頭の役割はより重要になると予想される。

DgS業界の「食と健康」市場創造にも課題残す

 特にJACDSは2022年10月に、ドラッグストアが健康プラットフォームになるべく「健康生活拠点(健活ステーション)化推進計画」を立ち上げ、その中で「食と健康アドバイザー」の育成を図り、2030年までに10万人の研修受講者を目標としている。

田中事務総長

機能性を訴求する食品については、関係省庁や消費者団体から、インターネット販売などによる無秩序な広告表現の乱立や情報のあいまいさが指摘されており、JACDSはアドバイザーを育成することで適切な情報提供と専門家によるアドバイスが行えるとして、消費者の健康リテラシー向上を含めた商品提供の役割を担っていく方針を固めている。

店頭における「食と健康アドバイザー」育成をこれから行っていくうえで、機能性表示食品を含む食品から健康被害が起こった紅麹問題を、今後どのように生かしていくかについての質問について、田中事務総長は「問題の全容はまだわかっていないものの、機能性表示食品で重篤な健康被害が疑われる事態となったことを、我々も重く受け止めている」としながら「ただ今回のような問題を店頭にいるアドバイザーや専門家が未然に防げたか、という点では疑問が残る。例えば購入者から相談があった場合にはアドバイザーの職能が生かされるが、特に食品の購入を未然に防ぐということは難しいだろう」とした。

そして「これは機能性表示食品が届出制である以上、情報提供の方法にも限界がある」とし、「我々もアドバイザー育成の前段階として『食と健康』の市場創造に取り組んできたが、機能性表示食品制度については、消費者庁の効能効果の表示や表現といった点で指摘を受けたことがある」と、あくまで〝食品〟である健康食品の販売方法と情報提供の難しさを滲ませた。

樋口会長「登販も健康食品の情報提供がおこなえるよう、研修進める」

 また、「食と健康アドバイザー」の担い手として期待されるのが医薬品登録販売者。OTC医薬品の知識と、機能性表示食品といった健康食品を兼ね合わせた、専門家の誕生に期待がかかっている。

樋口会長

 記者会に登壇した日本医薬品登録販売者協会(日登協)の会長である樋口俊一氏(ファーマライズ顧問)にも質問が及んだ。樋口会長は「『食と健康アドバイザー』という役割を医薬品登録販売者の皆さんにも担っていただきたい、と思っている。第二類・第三類のOTC医薬品の販売資格だけでなく、健康という切り口から健康食品の情報提供が行えるようになる。健康食品はCVSやSMでも販売しているが、やはり資格者がいるのはドラッグストアならではのことであり、医薬品登録販売者が活躍できるフィールドが広がると考えている」としながら「今回の紅麹問題で、現場の医薬品登録販売者も大変困っている。日登協はこの4月から継続的研修がスタートした。日本薬業研修センターからも情報提供を受け、医薬品を含めた成分の知識習得、職能拡大を図っていきたい」とコメントした。

 記者会では紅麹問題への質問が多く飛び、小売り業界とりわけドラッグストアにおける影響の大きさを感じさせた。