ヘルスケア情報サイト「Hoitto! ヘルスケアビジネス」(ヘルスケアワークスデザイン株式会社)

国際福祉機器機展に登場した1000を超す商品やサービスの中で注目を集めていた健聴者と聴覚障がい者との会話がスムーズになるアプリ【ヘルスケアレポート】

■15年連続のアイリスオーヤマチトセは福祉家具を出品


多くの来場者で賑わう福祉機器展

総人口に占める65歳以上人口の割合が27.3%を占有し、特に75歳以上人口の後期高齢者が1,691万人、総人口に占める割合は13.3%となり、福祉・介護市場の拡大が予想される中、1000を超す福祉機器製品情報を紹介する国際服機器機展&フォーラムが、9月27日から3日間、東京ビッグサイトで開催され、連日、関連企業や在宅医療・施設関係者や従事者、高齢者や身障者や患者をケアする家族などが来場し賑わった。

今年の開催は50回目。海外を含め379企業・団体が参加。ベッド、移動機器、入浴用品、センサー・見守り機器、リハビリ・介護予防機器、福祉施設環境設備用品、衣類・着脱衣補助用品、感染予防用品、車椅子、福祉車両、義肢・装具、日常生活支援用品、トイレ等々が数多く出品され来場者にアピールした。
福祉機器展に出展し15年連続になるアイリスオーヤマチトセが訴求したのは、車椅子への移乗の介助を楽にしてくれるイス、デイサービスや食堂兼機能訓練室に活用できるテーブルなどの福祉家具。2005年に福祉家具事業に本格参入し、2015年には福祉事業部を新設し普及に取り組んできたという。

近年では、特別養護老人ホームやショートステイにおける多床室のプライバシー保護のための改修にも乗り出す同社は、1971年にプラスチックメーカーとして創業し、園芸用品、ペット用品、健康食品、米、さらに現在では家電用品を相次いで開発する成長企業のアイリスオーヤマグループの一員。


福祉家具を出品したアイリスチトセのコーナ


■障害のある子供たちのための関連機器もお目見え


使用体験の希望者が相次いだ「見える補聴器」コーナー

オランダ、デンマーク、アメリカと共に日本の福祉機器開発の現状やトレンドをテーマとした国際シンポジウムや出展者によるプレゼンテーション、多世代交流・コミュニティケアを通じた住民共創のまちづくりをテーマとした50周年を記念プレミアムセミナーが行われたほか、福祉機器開発最前線コーナーでは、相手が話した会話内容を即文字起こしし、装着したARグラスに表示されることで耳の聞こえない人でも会話ができる「見える補聴器」、歩く方向が違うと振動で正しい方向を知らせてくれる視覚障がい者のために開発された歩行ナビゲーションが注目を集めていた。

歩く方向を間違えると振動で正しい方向を知らせる歩行ナビゲーション

一方、障害のある子供のための福祉機器の開発・普及を目的として様々な関連機器を展示した「こどものひろば」には、子供用の車椅子、歩行器、食事用具、食器、衣類、訓練機器などと共に、福祉用品悩み相談コーナーを開設。専門家による療育、リハビリ相談、保育士、作業療法士などが常駐。問いわせに対応していたが、作業療法士から音声と筆談で会話がスムーズになるアプリを紹介された。

話した声がそのまま文字になり、画面に指で文字を書けば会話ができるアプリ(スピーチキャンバス)で、タブレットにインプットすれば健聴者は普通に言葉を交わし、聴覚障がい者は筆談で答えられ、より自然で円滑なコミュニケーションができる仕組み。ドラッグストアや調剤薬局店頭で薬剤師が、このアプリを使用することによって、手話ができるスタッフが不在でも、聴覚障がいのある人や耳の聞こえにくい人たちが処方箋を持参しても、服薬や生活指導等々にも活用できるので、このアプリの需要は増えてくるに違いないだろう。


音声と筆談で会話がスームーズになるアプリが展示された「伝える・伝わるコーナー」