
一般社団法人日本チェーンドラッグストア協会(JACDS)は1月21日に都内で記者会見を開き、2月2日から始まる緊急避妊薬のOTC医薬品提供についてコメントした。JACDSの関口周吉副会長は「薬剤師の職能を拡大させる分野として歓迎」としつつも、本格的な運用体制には薬局ごと、地域ごとに差がある、と指摘する。緊急避妊薬の販売可能薬局は制度開始直前で約7,000店舗まで拡大しているが、運用につながらず削除された店舗も存在する。関口副会長は「産婦人科との連携など、新規参入した薬局にはそれらのノウハウが欠けている現状がある」とし、今後運用体制の適正化に向け、厚生労働省に課題のフィードバックを行っていくことを示した。(取材=中西陽治)
約7,000店が販売可能薬局に手を上げる一方で200店の登録削除も

1月21日の記者会見でJACDSの関口周吉副会長(龍生堂本店代表取締役社長)は「緊急避妊薬のOTC化に当たって、販売の可否を薬剤師が判断できるという点が非常に重要だ。これは薬剤師の職能の拡大と捉えており、JACDSとして歓迎している」と評価する一方で、「しかしながらOTC化に至る研究事業を通して多くの問題点が浮き彫りとなっており、これらを解決していくことも重要だと考えている」と、緊急避妊薬のOTC化という初めての試みに対し、慎重な姿勢を示した。
厚生労働省の「要指導医薬品である緊急避妊薬の販売が可能な薬局・店舗販売業の店舗一覧」において約5,500店舗が登録されている。(注:2026年1月21日時点。1月31日付の更新資料では7,019店舗に拡大)
関口副会長は「今までの研究事業に手を上げてきた薬局数とは比較にならないほど、多くの店舗が登録を行っている。緊急避妊薬の販売に登録することは可能だが、真に安全に運用していくことが重要であり、JACDSとしても適切な運用を検討していく必要がある」と、今後の適切な提供体制の整備に向け、引き続き注視していくとした。
「要指導医薬品である緊急避妊薬の販売が可能な薬局・店舗販売業の店舗一覧」に登録された店舗は理論上、緊急避妊薬の販売が可能となる。ただし、7,019店舗が登録する一方で、登録が削除された店舗も212店ある(1月31日時点)。販売に手を上げたものの、実際の運用につなげられていない現状が少なからず存在している。
関口副会長「新規参入薬局にとって『リスト交換』がネックに」
これらの課題について関口副会長は「販売する薬局が近隣の産婦人科医等との連携体制を構築していること(個別文書交換)、または都道府県薬剤師会・都道府県医師会との間で構築される連携体制への参加(リスト交換)が非常に大きな問題となっている。研究事業で行っていた場合、個々の薬局が産婦人科との協力体制のもとリスト交換が行われていたが、新しく参入する薬局においては、この連携が難しいのではないか」と指摘する。

こういった現場の整備の遅れや諸問題の洗い出しが必要として、JACDSの委員会では全都道府県の状況を確認し、リスト交換がうまくいっていない状況や何等かの問題がある、という実例を一覧にし、現場の声として厚生労働省にフィードバックしている。
また、これらリスト交換を含む、緊急避妊薬の薬局販売における体制整備に差異はあるのか、という質問について「細かな分析は何とも言えないが、(地域性を含め)進んでいるところとそうでないところの差は大きいと感じている」と関口理事はコメントしている。
店頭販売がスタートする緊急避妊薬は、調剤併設のドラッグストア店舗が大きな受け皿になることは登録店舗一覧を見ても明らかだ。日本初の試みであり、使用にあたっての生活者への情報提供およびリテラシー向上などまだ課題は残っている。これら課題を集約し、よりよい運用につなげていくためには、全国を網羅する店舗網を有するJACDSが担う役割は大きいとみられる。