
「あら、山本さん。久しぶりね〜」―お会いするたびに、いつも笑顔でお話していただいていた堀美智子さんが亡くなられたことを、お嬢様の三浦紗耶華さん(堀紗耶華さん)から届いたFACEBOOKで知りました。失礼してお嬢様の投稿文章を、一部ご紹介させていただきます。
「大好きな大好きな、大切な大切なたった一人の私のママ、堀美智子が11月30日の午後、家族みんなに見守られながら、永遠の眠りにつきました」
三浦さんのFACEBOOKには、堀さんが残されたこんなメッセージが添えられていました。
「私、堀 美智子は幸せな人生でした」から始まる堀さんのメッセージからは、とても温かく、誰でも優しく接してこられた堀さんの笑顔が、浮かんできます。メッセージは、次のように綴られていました。
「一生懸命 頑張って頑張って生きてきました 色々なことがあったけれど たくさんの人に助けられた人生でした。『いい人生だった』と思って逝けることを嬉しく思います 本当に本当に本当に幸せでした 皆さんに感謝します」
堀さんは気配りの方でした。薬剤師会のセミナーやテレビラジオ、新聞や雑誌などのメディア・・・それこそ、いつ休みを取られるのか。日々大変な忙しさの中、私からの原稿執筆にも快く受けていただき、約束の期日をきちっと守っていただきました。
私がお願いした原稿は、薬剤師の立場からサプリメントとの相互作用や相性等々、何回かに分けて連載をしていただきましたが、薬だけでなくサプリメントについても造詣が深く、いつも学ぶことの多い取材をさせていただいていたことが思い出されます。
堀さんと私の出会いは、いつ頃だったか失念してしまいましたが、八王子の店舗も取材させていただきましたが、その一方では、女性薬剤師会主催の海外への視察にも何度かご一緒させていただきました。その一つにイタリアのシチリア島があります。「医薬分業を提唱されたフリードリッヒⅡ世に会いに行きましょう」ということで、「せっかく現地に行くのならば世界最古の薬局も訪問しましょう」ということになりました。
もちろんフリードリッヒⅡ世に会えるはずはありませんが、「せめて歩かれたであろう同じ道を歩き、空気を吸おう」―そんなことでイタリア視察は、2019年5月に実現しました。シチリア島、ローマのトレビの泉で後ろ向きになりコインを投げ入れ、アイスクリーム専門店で長い行列に並んで食べたこと、そして旅人を受け入れて、疲れた人々を癒す修道院が世界で最も古い薬局となり、多くの旅行客が詰めかけて混雑していました。
そんな思い出が、堀さんがお亡くなりになられたことを知り、イタリアだけではありませんが、何度かご一緒させていただいた視察での笑顔が、走馬灯の如く蘇ってきました。
薬剤師職能の向上に活躍された堀さん。ご家族を愛し、薬局を愛し、薬を愛し、そして薬剤師という職業を愛した堀さん。お世話になりました。 合掌


