読者の皆さんは、「短鎖(タンサ)脂肪酸」という物質をご存知だろうか?
ビフィズス菌などの腸内細菌が、水溶性食物繊維やオリゴ糖などをエサにして作る腸内細菌代謝物のことで、大腸粘膜組織のエネルギー源となり、ミネラルの吸収を促す働きがある。また腸内を弱酸性の状態にすることで悪玉菌を減らし、結果として腸内環境を整える。近年の研究では、体脂肪の低減と基礎代謝の向上といった抗肥満作用をはじめ、免疫やストレス反応にも関与することがわかっている。
江崎グリコは、「短鎖脂肪酸」の、体脂肪の低減と基礎代謝の向上に寄与するという働きに注目し、腸からの健康生活習慣の啓発を目的とした「タンサ脂肪酸プロジェクト」 を推進している。その一環として先頃、ヨーグルトの喫食実態調査をおこない、「タンサ活」※の実情について考察しているので、一部紹介しよう。(※「タンサ活」とは腸内でタンサ脂肪酸を生み出すための活動を指した造語)
まずは調査結果を見ていただきたい。(調査期間は2022 年8~9 月、調査対象は首都圏・関西圏の20代〜60代の男女3,000人)
普段食べているヨーグルトを聞いたところ、 「ビフィズス菌入りヨーグルト」は 49.4%、「乳酸菌のみ」は 78.1%だった。 「ビフィズス菌入り」の喫食者は女性に多く、特に首都圏女性 30~60 代は 6 割を超えている。
ヨーグルトを日常的に食べている人でも、「乳酸菌とビフィズス菌の働きに違いがあること」を知っている人は23.8%にとどまっている。
「ビフィズス菌入りヨーグルト」と、ビフィズス菌のエサになってタンサ脂肪酸をつくり出す「水溶性食物繊維」を含む食物を合わせて喫食している人、すなわち「タンサ活」実践者は 19.1%(男性13.1%、女性 25.1%)となった。日常的にヨーグルトを食べている人の5人に 1 人、女性では 4 人に1人が「タンサ活」を実践していた。
短鎖脂肪酸について知識がある人はまだ少なく全体では 22.0%。「タンサ活」実践者でも 31.6%で、残りの人は意図せず、「タンサ活」を実践しているという結果となっている。
20 代・30 代男性の喫食目的は、「ダイエット」「内臓脂肪を減らす」「代謝をよくする」が全体より高かった。さらに「タンサ活」実践者の 20 代・30 代男性では、この3項目が全体より 14.9~34ポイント高い割合となり、またコロナ 禍前に比べて「ダイエットのためにヨーグルトを意識して摂取するようになった」は全体より 20 ポイント以上高くなっていた。
日常的(週1回以上)にヨーグルトを食べる人の 5人に1人(女性では4人に1人) が、ビフィズス菌入りのヨーグルトと水溶性食物繊維を合わせて喫食し、短鎖脂肪酸を生み出す活動「タンサ活」を実践している。ただ、実践者の約7割はタンサ脂肪酸の有用性を知らずにおこなっているのが実情である。
「タンサ活」実践者の 20 代・30 代男性は、摂取目的に「ダイエット」「内臓脂肪を減らす」「代謝をよくする」を挙げた割合が高く、健康になることを期待して、ヨーグルトを習慣的に喫食していることも明らかである。先にも述べたように、短鎖脂肪酸は体脂肪の低減と基礎代謝の向上に寄与する働きがある。つまり、「なんとなく」実践しているこの活動は、実に理にかなった行動なのだ。
短鎖脂肪酸の有用性を知ったうえで「タンサ活」を実践することが、読者の健康法をもう1段ステップアップするものと心得ていただきたい。
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