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酷暑の夏、暑さ対策に何を使う?/Fromプラネット第235号より

~ 男性にも〇〇がじわじわ浸透、今年のクーラー設定は何度? ~

今年は、本格的な夏を迎える前の5月から東京都心で最高気温が30℃超の真夏日が過去最多の12日を数え、7月も35℃以上の猛暑日を含む真夏日が連日続くなど厳しい様相となっている。日用品流通の情報基盤を運営する株式会社プラネット (坂田政一社長) が好評公開中の『Fromプラネット』 の今回(第235号)は、夏の暑さにどう対処している・しようとしているのか、心配していることなど、“暑さ”をテーマにいろいろとたずねた。

まず、今年の暑さへの心配度をたずねたところ(図表1)、「非常に心配」44.6%、「心配」31.3%と、合わせて75.9%が夏の暑さに不安を抱いていた。「あまり」と「全く」を合計した「心配でない」人は7.9%と1割に満たない結果に。調査を行った6月下旬時点で、梅雨の降雨量が少なかったこともあわせて、すでに今年の暑さに対しての心配度を高めた人が多かったようだ。

地域別では、「非常に心配」が50.1%、「心配」も30.3%にのぼったのが“北関東”というのも興味深いところ。2018年7月に埼玉県熊谷市で当時の国内最高気温41.1℃を記録したように、「北関東=暑い」と連想する人が多そうだが、実際に住んでいる人の8割が今年の暑さを心配していた。「非常に心配」が27.6%と最少の北海道でも、「心配」との合計は6割にのぼり、暑さへの懸念は全国的のようだ。


表1

夏の暑さや猛暑について、具体的にどういったことを心配、あるいは困ると思っているのか(図表2)。57.8%と最も多くの人が挙げたのが「電気代がかさむ」。熱中症予防でクーラーの使用が推奨される一方で、電気料金も上昇していることが数字を押し上げた一因だろう。これに3.7ポイント差で続くのが「寝苦しい、寝不足になる」。寝苦しさで何度も目覚めてしまう、眠りが浅くて疲れが取れないなど、夏の睡眠事情について。以下、「熱中症」49.8%をはじめ、「日差しの強さや高温で危険を感じる」「農作物の価格上昇、不作」「汗をかく」が4割超となった。男女別では、1~3位は同じ顔触れだが、4・5位は男性「ゲリラ豪雨の発生」「農作物の価格上昇、不作」、女性「日焼け、UV対策」「日差しの強さや高温で危険を感じる」と差が出ており、特に「日焼け、UV対策」は女性が34.7ポイント上回っていた。


表2

具体的な暑さ対策アイテムについて、日常の場面別にたずねてみた。外出時では、暑さ対策の基本ともいえる「帽子」が45.1%で最多となり、これに「日傘」37.3%、「扇子、うちわ」30.8%が続いた(図表3)。男女別のトップ3(図表非掲載)は、男性が「帽子」40.0%、「扇子、うちわ」27.4%、「サングラス」23.1%、女性が「日傘」62.9%、「帽子」50.3%、「扇子、うちわ」34.1%となり、「帽子」で10.3ポイント、「扇子、うちわ」でも6.7ポイント女性が上回っている。

いくつかのアイテムについて、詳しくデータをみてみる。女性トップの「日傘」は女性の全年代で半数以上、特に70代以上では7割超と圧倒的な支持を得ている。“日傘男子”という言葉が生まれるなど、近年は日傘を差した男性の姿を見かけるようになったが、全体では1割強、最高の40代でも15%台どまり。とはいえ2023年の前回調査と比べ、女性との間に依然大きな差がありながらも6.1%→11.8%と倍増している。

同じく街中で使っている人をよく見かける「携帯扇風機など」は男性9.5%・女性21.4%と、こちらも女性が圧倒、特に女性20代28.7%を筆頭に50代以下で2割超となった。男性は20・30代でも12%台にとどまり、意外と少ない印象。男女差が6.2ポイントと、前述の2アイテムと比べて性差が小さい「ネッククーラーなど」は、女性40代20.6%など壮年・シニア層で高値となった。長時間の外出では冷却効果が低下することはあるものの、首を直接冷やして冷涼感を得られることにメリットを感じるのだろう。「若者は携帯扇風機」「壮年以上はネッククーラー」の傾向が見て取れ、興味深いところ。


表3

在宅時と就寝時の暑さ対策アイテムを見てみると(図表4)、両シーンともに「クーラー」「扇風機、サーキュレーター」「窓を開けて換気」がベスト3となった。上位の顔ぶれは2年前の前回調査と同じだが、比率に着目すると変化を読み取ることができる。「クーラー」と「扇風機、サーキュレーター」の差は、前回が在宅時3.9ポイント・就寝時10.3ポイントだったが、今回は在宅時13.8ポイント・就寝時21.2ポイントと、ともに10ポイント以上拡大しているす。クーラーと扇風機を併用する人も一定数いるだろうが、従来は扇風機のみで過ごしていた人が今年はクーラーを使うケースが増えているのかもしれない。前回と比べ、「窓を開けて換気」が在宅時7.1ポイント・就寝時6.8ポイント、また在宅時の「扇子、うちわ」が6.0ポイント、就寝時の「冷感素材などのシーツや寝具」が6.4ポイントそれぞれ低下しているのも、クーラー使用が増えたことに伴うことかもしれない。


表4

図表4で2年前と比べてクーラーの使用率が上昇していたが、自宅でのクーラー設定温度は変化しているのか。日中と就寝時の温度を2023年の前回調査と比較したのが図表5。今回調査で日中24.4%・就寝時27.8%と最多だったのは「27℃」となり、前回調査の「28℃」(日中26.0%、就寝時28.4%)より1度低下していた。

27℃を中心に前後の3温度帯(26~28℃)の合計をみると、前回が日中62.0%・就寝時64.6%だったのに対し、今回は日中68.9%・就寝時70.2%と約6ポイント上昇している。片や25℃以下の合計をみると、前回の日中33.9%・就寝時28.9%から、今回は日中26.1%・就寝時22.7%へと低下している。熱中症のリスクを考慮してクーラーの設定温度を下げたいと思う一方で、電気料金も気になる…というせめぎあいのなか、2年前には設定温度を低めにしていたが、今年は26℃以上に設定を変えた、という人も少なからずいると思われる。


表5

ここで少し視点を変えて、夏バテ対策としてこの夏に実行しようと思っていることをたずねた結果が図表6。63.5%と最多だったのが「こまめな水分補給」。これに「十分な睡眠」54.0%、「栄養バランスのよい食事」37.6%が続いた。「冷房を積極活用」30.5%に対し、「冷房に当たりすぎない」は21.7%と8.8ポイントの差がついたのは、猛暑を警戒してのことだろうか。

夏に避けがちな「入浴時に湯船につかる」や「温かい飲み物」「温かい食べ物」も、各23.5%・12.1%・10.9%と一定の支持を集めた。冷房による冷えや自律神経の乱れを防止・改善するために実行している人も多そうだ。男女別では、ほぼすべての項目で女性が上回るなか、「適度な運動」は0.6ポイントと僅差ながら男性が上回った。また、各項目で50代以上の女性および70代以上男性が高値を示したが、20代女性が「低めの冷房設定温度」が全年代で最高になったのは、冷えすぎ対策を含めてということかもしれない。


表6

以下は、暑さ対策や最近の暑さについて思うことなどの自由解答となる。クーラーは我慢しすぎず適度に使うほか、さまざまな工夫やアイテムが寄せられた。行動パターンを変えたり、近隣の公共施設や商業施設で涼をとる人も今年は増えそうで、猛暑・酷暑に対する懸念の声も多くみられた。

調査機関:株式会社プラネットによる調査企画をもとに、株式会社ネオマーケティングにて「暑さ」に関する意識調査を実施。
期間:2025年6月26日~27日、インターネットで4,000人から回答を得ています。


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