「エレキバン」や「スリムウォーク」などの自社開発商品の製造・販売と、メーカー商品の卸売という2事業を展開するピップ(松浦由治社長)。その同社が扱う商品と、それらを店頭で表現するための情報を提案する年に1度の祭典「ウエルネスフェスタ」※が、今年も東京流通センター(TRC)で7月9-10日に開催される。本稿では、DgSをはじめとした小売のトップやバイヤーらに、「ウエルネス領域の展示会はピップ」と言わしめる今回の見どころを紹介する。(取材と文=八島 充)
※業界関係者のみ。一般の方は来場できません
今年のウエルネスフェスタのテーマは「NEW WELLNESS〜新時代の健康にアップデートしよう〜」。過去の成功体験とらわれず、新たな価値観や技術の習得によって多様化する生活者の健康ニーズに応えていこうという意志を込め、「アップデート」という言葉を強調している。松浦社長は、「当フェスタは弊社最大のイベントかつ、活動内容をご理解いただく大きなチャンスだ。弊社スタッフが1年をかけて準備した今回の提案が店頭のアップデートに活かされることで、その先の生活者に必ずや喜んでいただけるものと確信している」と語っていた。
会場は「ヘルス」「ベビー」「コンフォート」「シニア」と、「開発(ピップ製品)」の5つのゾーンそれぞれに出入口を設け、興味のあるゾーンに直接アクセスできるようにした。
「開発」を除く各ゾーンは、「MD提案」「新商品&専売品」ならびに「メーカーブース」で構成されるが、昨年に「MD提案」と「メーカーブース」を一体化した「ベビー」が好評だったことから、今回は「ベビー」のほか、「ヘルス」と「コンフォート」も同様のレイアウトを採用し、有益な情報を1カ所で取得できるようにした。なおMD提案のパネルは画像や図解などのを多用して見やすく分かり易い仕様となっている。パネルに添えられたQRコードを読み込めば詳細情報が出てくるので、帰社後に自身の資料として活用ができる。
目的のゾーンの商品に辿り着いたらまず、各商品に添えられた「統一POP」を見てほしい。使用するユーザーが何にベネフィット(恩恵)を感じているのかが、端的な言葉で表現されている。今年は「〇〇は、〇〇で、〇〇〇〇を手に入れよう!」の○○の中に、「ターゲット・消費者」「商品名・ブランド」「機能的・情緒的ベネフィット」のキーワードが入る予定である。「単なる機能の特徴ではなく、その背景にあるライフステージや社会環境などのストーリーを感じていただきたい」(松浦社長)という。
ここから各ゾーンの「MD提案」の概要を紹介しよう。
ヘルス…Life Shift(世代チェンジ)―世代を超えて健康は進化する
まず「ヘルス」は「Life Shift(世代チェンジ)―世代を超えて健康は進化する」をテーマに、時代とともに変化するニーズに沿った提案を行う。「団塊ジュニア世代が40代から50代に引き上がっている。50代は血圧計の買い始めであるほか、筋力低下や足の乾燥が気になりだす世代。これに合わせて、既存の売場や売り方をもう一度見直していただくという試みである」(マーケティング本部MD部長・加藤浩司氏)という。また「ヘルス」の体験型イベントとして、大阪・関西万博に出展していた「健康タイムマシーン」(サラヤ提供)が登場するほか、芸能人によるトークショーも開催する。
シニア…シニアライフ革命〜positive ageの時代
「シニア」は「シニアライフ革命〜positive ageの時代」をテーマに、高齢者の昔と今の違いを示しながら、時代にあった売場づくりを提案する。食事・移動・口腔ケア・排泄を切り口としつつ、ターゲット層を要介護者からアクティブシニアに拡大し、幅広い層を取り込んでいく考え。体験型イベントとして、シルバーカーやステッキ(杖)を使って悪路を歩行するコーナーを設けたほか、シニアのVR体験も実施する。
ベビー…Baby &Kids〜ベビーに加えキッズの子育て期のママを応援!
「ベビー」のテーマは「Baby &Kids〜ベビーに加えキッズの子育て期のママを応援!」。従来のベビーからトドラー(2〜5歳の幼児)までを網羅し、成長のステージにあった切れ目のない提案をおこなう。「食育」「足育」「口育」「肌育」といった育児情報も提供し、発育状態に合わせたインソールを紹介する「ベビーフットケア」という新セグメントもお目見えする。体験型イベントでは、「子どもが大人の歩行についていくのがどれだけ大変か」を、ウォーキングマシーンを用いて実感してもらう。もちろんベビーフードの試食・試飲もあるので要チェックだ。
コンフォート…Ready to Respond―未来の防災・防犯サポート
「コンフォート」のテーマは「Ready to Respond―未来の防災・防犯サポート」で、昨年好評だった「防災」に加えて「防犯」にフォーカスした提案をおこなう。今年は「防犯ミュージアム」というコーナーをつくり、空き巣や強盗の侵入経路の1つである窓を対象に防犯フィルムや二重ロックなどのグッズを紹介する。また防災は、「無理のない備蓄品」「継続的ストック」を念頭にした商品群を提案し、防災を疑似体験できるVRコーナーも用意した。
自社ブランドを紹介する「開発」ゾーンも、他の卸売業の展示会にない魅力が満載だ。「6つの新商品を含む開発商品をしっかり体験してもらい、その情報を店頭で広く発信していただきたいという思いを込めた」(取締役 マーケティング本部・プロダクト本部・久保田達之助氏)という。
基幹商品の「エレキバン」は「肩コリ・首コリ改善の道を開く」がテーマ。今回は首コリに特化した新商品「ネックバンド」が登場する。来場者の首コリの状態を調べるコーナーを設置し、体験者に商品のサンプリングもおこなう。また、松浦社長が出演する新商品のCM動画を放映するほか、松浦社長オリジナルのLINEスタンプもゲットできるという。
「マグネループ」は「寝てる間にコリ改善。」をテーマに、イメージキャラクターのMEGUMI氏のCM動画を放映しながら、市場データを交えた情報発信を展開する。また「スリムウォーク」は、新商品「美脚あったか温ツボタイツ」のキャッチコピーにある「足先温感+5℃」を体感するコーナーや、同じく新商品「金曜日のリセットリフレ」を履いて、足裏クッションを備えた同商品を履いて使用感を感じてもらうコーナーも用意した。
「必要不可欠な定番アイテム」を提案する「ニューピップブース」では、ゴム臭がしない新商品「シリコーンタイプの指サック」ほか、好評販売中の「保湿快適マスク」、今年3月に発売した「リング綿棒320本入」などを紹介していく。
さらに、9月に統一ブランド「ソエッテ」として生まれ変わる介護関連商品群もお披露目する。「“できる”に寄りそう」というブランドメッセージを伝えるとともに、新商品「トイレ汚れ防止パッド」や、既存品「コ・ボレーヌ」を実演しながら紹介していく。
今年のフェスタは小売業のトップはもちろん、現場スタッフにも来場を促し、動員目標は前回を上回る1400人を想定している。取締役営業統括本部長の金川正明氏は、「我々の提案を店頭に反映していただければ、生活者に喜んでいただき、売上・利益も必ず上がることを証明したい」と意気込みを語っている。
また執行役員マーケティング本部長の木村徹氏は、自身の小売の経験をもとに、ピップの特徴である「ベビー」と「シニア」に改めて注目して欲しいと訴えていた。
「出生者数が減少してもベビー市場がなくなる訳ではなく、その店に求める商品があれば、ベビーの顧客はロイヤルカスタマーとなり得る。またシニアも、たとえば大人用紙おむつの売上はこの10年で倍増したのに、リアルの売場が進化していないために市場をネットに奪われている。ベビーもシニアも然り、旧態依然とした売場から脱却できれば、店頭の支持率はまだまだ上がる。そのヒントを数多く発信している当フェスタに、ぜひ足を運んでいただきたい」(木村氏)。
【ウエルネスフェスタ2025開催概要】
日時:2025年7月9日(水)ー10日(木)、9:30〜17:00(最終受付16:00)
会場:東京流通センター(TRC)第一展示場/〒143-0006 東京都大田区平和島6-1-1
(業界関係者のみ。一般の方は来場できません)
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