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食を通じて社会課題を解決、アサヒグループ食品が「多刀流体験会」開催

社長・スタッフが商品に込めた想い伝える

「多刀流体験会」の模様(2025年2月28日)

アサヒグループ食品は、その前身となるアサヒフードアンドヘルスケアと、ベビーフード老舗企業の和光堂、さらに日本で初めてブロック型フリーズドライ味噌汁を販売したアマノフーズの3社を統合し、2015年に設立された。2021年にはカルピスの機能性食品群を扱うアサヒカルピスウェルネスを合併し業容を拡大。本年は設立10年の節目となる。

同社事業は大きくBtoC(コンシューマ)事業とBtoB(食品原料)事業に分かれる。前者は「菓子」「フリーズドライ」「ベビーフード」「ヘルスケア」「シニアケア」「通販」の領域でNBの製造販売を行い、後者は業務用と食品原料の営業活動を展開している。

国内グループのアサヒビールが酒類、アサヒ飲料が飲料に特化しているのに対し、アサヒグループ食品は原料を含む食品群を網羅的に扱う会社となる。上記の事業領域の1つ1つを「刀」に見立て、各々の刃を磨き上げることで安定的かつ持続的に成長するビジネスモデルを「多刀流」と表現している。

川原社長

マスコミを対象に開催した「多刀流体験会」は、半年前から準備を進めていたという。その狙いについて川原社長は、「新商品の存在を(各媒体の)読者に知らせるだけでは、ビジネスに込めた想いまでを伝えることができない」「私たちの商品がどのような背景で作られたのか、当社が社会に存在する価値は何かを、見て、食べて、感じていただく場としたかった」と語っている。

自社の存在価値について川原社長は、「社会課題の解決」というワードを挙げて説明している。「気候変動や人口増に伴う食糧難などの世界的な課題から、ストレスや食生活の乱れといった身近な課題まで、さまざまな社会の課題に対し、食を通じて私たちなりの答えを提供することが多刀流の目指す姿となります」という。

具体的に、「健康」「おいしさ+α」の追求と「グループの技術力」を強みに、目前にある社会課題を解決する商品とサービスの提供を行っている。これらを通じ「体調の自己管理」「余裕時間の拡大」を実現し、最終的に「健康寿命の延伸」につなげていくものである。

「多刀流体験会」では、その想いと狙いを表現した新商品やサービスを一堂に集め、5部門からなるテーマに基づき担当スタッフがプレゼンを行っている。以下にその一部を紹介する。

シリーズサプリメント「ディアナチュラスタイル」からは、近年注目される亜鉛を配合した「ビタミンD×亜鉛+ビタミンC・B1・B6 60日分」と「35種の国産野菜+1日分不足分のビタミン 60日分」を3月3日に発売した。特に「35種の国産野菜〜」は、なめても食べられる風味と味わいにこだわり、価格が高騰する野菜の代わりに気軽に摂取できる仕様となっている。

左から「ディアナチュラスタイル D×亜鉛+ビタミンC・B1・B6 60日分」
「同 35種の国産野菜+1日分不足分のビタミン 60日分」
「スリムアップスリム イート バナナヨーグルト味」「同 抹茶味」

ダイエットサポート食品の定番「スリムアップスリム」は「スリムアップスリム イート」をシリーズ化。「バナナヨーグルト味」「抹茶味」の2品を投入した。「とろっと食感」「食べて満足」を追求した「食べるダイエット食品」として市場を開拓する。

主力の「ミンティア」は、今月7日から新CMを放映する。歌に役者に幅広く活躍する浜野謙太氏を起用し、「いい今日を、ポケットに。」というキャッチコピーのもと、いつでもどこでもリフレッシュができる商品特性を伝えていく。

ベビーフードの和光堂ブランドが展開する「わこちゃんアプリ」「ベトナム母子保健改善事業」を紹介。「わこちゃんアプリ」は授乳・睡眠・排泄や食材の記録管理や離乳食レシピの検索ほか、栄養士によるマンツーマンの栄養指導までを無料でできるサービス。累計DL数は12万件に登り、今年度は20万件を目標にしている。

「ベトナム母子保健改善事業」は昨年8月に掲載したHoito!「川原浩社長インタビュー〜生活者に望まれる商品をつくり続ける」(https://hoitto-hc.com/14939/)を参照のこと)

ベビーフード(和光堂)、介護食(バランス献立)、フリーズドライ(アマノフーズ)の摂取で創出される「ゆとり時間」を紹介。例えば、通常は調理に20分かかる茄子の味噌汁も同社商品を用いれば1分で提供できる。その差(この場合は19分)を販売個数から算出した『ゆとり時間』は、2021年実績で7000万時間となった。2030年には1億時間を目指すという。

ビール由来の酵母素材とカルピスが保有する乳酸菌素材を紹介。ともに100年以上の研究の成果を新たな領域に活用していく。酵母素材は別々の工程で産出した「酵母エキス」と「酵母細胞壁」がある。前者は調味料、健康食品、飼料などに利用を促進し、後者は豊富で良質な食物繊維やタンパク質を用いた次世代の食として提案する計画。

川原氏が社長に就任した2021年は、コロナ禍で主力製品「ミンティア」の売上が激減し全体の利益額及び率を落とした時期だった。これを受け新社長は「原点回帰」と「社会課題の解決」という姿勢を打ち出し社内に浸透させた。その後はミンティアのV字回復とその他事業の底上げで4期連続の増収増益を果たしている。ここまでの取り組みについて川原社長は、次のように語っている。

「世界的な情勢不安を背景とする原材料の高騰と円安を受け、当社製品も2022年に値上げを余儀なくされました。ただし、(原材料の)値上げ分全てを転嫁する考えは全くなく、消費者の負担を最小限にとどめながら、将来の成長の原資となる利益の確保に努めてきました。例えば、原材料の調達が困難になった際も、代替えとなる素材を探し出し、従来品より高品質かつ値頃感があり、さらに美味しい食品の研究などを、部門間の垣根を超えて進めてきました。

部門間の連携は、「運動神経を高める」という表現を用いて強化してきた部分です。部門間の連携がスムーズになれば、ピンチをチャンスに変えることが可能です。この作業が実を結んだ結果が業績に反映されたと感じています。引き続き「運動神経」を高めることで多刀流の刃に磨きをかけ、社会に価値を認めていただける活動を追求してまいります」