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【帝京平成大学】「第2回 健康茶房」に87人が参加【地域連携部】

「タンパク質」「フレイル予防」テーマに食事&運動体験を実施

 9月7日(土)に、帝京平成大学中野キャンパスでなかのヘルスケアコミュニティ主催の「第2回 健康茶房」が開催された。区民を中心に前回を上回る87人が参加し、「健康茶房」の定着を感じさせる第2回は、メーカーによる「タンパク質の必要性」やアカデミアによる「フレイル予防」をテーマに講演が開かれ、プロテイン飲料の試飲や、その場でできる運動、タブレットを用いたクイズなどが催され、より参加者との接点を広げる会となった。2回目の開催ながら〝ご指名〟を受ける薬学生もおり、帝京平成大学および薬学生の存在感が中野区を中心に盛り上がりを見せている。(記事・写真=中西陽治)

薬学生と健康茶を飲みながら〝たのしくまなぶ〟

健康茶はおかわりの声が途切れない

 「健康茶房」は、多世代による地域支援事業として「薬学生とまなぶ!楽しむ!」をテーマに、中野区による「令和6年度中野区区民公益活動推進基金からの助成」を受けた事業で、帝京平成大学の地域連携部主体のなかのヘルスケアコミュニティが実施している。第2回となる健康茶房は〝タンパク質〟と〝フレイル予防〟をメインテーマとし、高齢者を中心とした区民を対象に、薬学生と懇談しながら穏やかに開催された。会場の帝京平成大学中野キャンパス「ComoRevi(こもれび)」には前回を上回る87人が参加。子どもづれから90代の高齢者が集まり、開場は朗らかな空気に包まれた。

(参考記事)【帝京平成大学】「第1回 健康茶房」に多くの区民集う【地域連携部】

 健康茶房は各テーブルに健康茶とお茶請けが用意され、薬学生と会話をしながら進む。会話の内容は、健康はもちろん近所の様子や昔話、お茶の美味しさや学生の悩み事まで多岐にわたり、開場はさながらサロンの様相を呈している。

 第1回から参加している人もおり「前回飲んだ『ごぼう茶』がとっても美味しくて、お店で探しているの」「今日のために勉強してきた」といった声が聴かれた。

森永製菓がタンパク質の重要性伝えプロテイン活用の選択肢を提案

森永製菓の前田和彦氏

 第一部ではメーカーによる「ヘルスケア講座」が開かれ、森永製菓の東京支社営業一部の前田和彦氏より「高齢者の方のタンパク質摂取の必要性について」が披露された。

 前田氏は「フレイルは健康な状態と要介護状態の間にある段階を指します。高齢者が特に気を付けたい身体的フレイル予防にはタンパク質の摂取が欠かせません」と説明。高齢者のタンパク質不足の原因として「食事量の減少」「栄養バランスの偏り」「咀嚼機能の低下」を挙げ、「1回の食事で手のひらサイズのタンパク質のおかずを食べることをお勧めします」と前田氏はアドバイスを送った。

熱心にメモをとる参加者

 それでも毎回の食事でタンパク質をとるのは難しい、という参加者に対し前田氏は「間食などでタンパク質を補うのも良い方法です。例えばコーヒーに牛乳や豆乳を加えたり、おやつにヨーグルトを食べることでタンパク質が得られます。それでも難しい方にはプロテインを活用するのも選択肢のひとつです」と語り掛けた。

 その一例として森永製菓の「おいしい大豆プロテイン(コーヒー味/ビターカカオ味)」を紹介。実際に試飲した参加者からは「初めて飲んだけれど美味しい」「プロテインがいいのは聞いていたけれど、こんなに飲みやすいとは知らなかった」と〝茶房〟ならではの試飲のコメントが挙がった。

山元准教授「プラス10分の身体活動でフレイル予防を」

帝京平成大学の山元健太准教授

 第二部では、帝京平成大学薬学部准教授の山元健太氏による「健康とフレイル予防」が講演された。フレイル予防には「運動(身体活動)」「食事(栄養)」「咀嚼と嚥下(口腔)」「社会とのつながり」が重要だと説明したうえで、「運動というと大変なイメージがありますが、体を動かす〝身体活動〟として捉えていただければ、取り組みやすいと思います」と語り掛け、買い物や散歩、掃除などにプラス10分の運動を取り入れる方法を紹介した。

 そして上半身だけでできる運動を参加者と一緒に体験。参加者は隣の人と笑いながら運動体験を行い、「ちょっと難しいけれど、これが運動になるなら続けられると思う」とまずは挑戦してみることの大切さや楽しさを感じていた。

 山元氏は「まずは興味のあることから始めてほしいです。急にハードな運動をするのではなく、体を動かす時間や強度を少しずつ増やしていくことが大切です。また皆でやることでコミュニケーションが生まれ、社会参画につながり運動・食事の目標も達成しやすくなります」と話す。

頭も体も使う上半身運動

タブレット使用しコミュニケーションに幅を持たせたセミナーも

 第三部では薬学生から「健康茶について知ろう!~お茶の特徴について~」が開かれ、ドクダミなど健康茶に含まれる生薬のルーツや効能を紹介。タブレットを使って動画紹介やクイズを表示した。

タブレットを見ながらクイズに挑戦
帝京平成大学の小原道子教授

 帝京平成大学薬学部教授の小原道子氏は「健康茶房の根幹は『助けあい』『支えあい』『学びあい』、そして『AI(エーアイ)』にあります。スマホやタブレットに慣れていない方に、健康茶房でデジタル機器に触れていただき、『難しい、怖い』といった心理的ハードルを少しでも和らげていただきたいと思っています。またその資料を薬学生が主体になって作成することで、デジタルに詳しくない人にどうやって利用してもらえるか、使いやすいインターフェースとは、ということを考えてもらっています」とタブレット利用の意図を説明してくれた。

来場者から〝ご指名〟「健康茶房」のファン増加中

87人が集まる会場

埼玉県川越市から来たという高齢者は「以前の健康茶房に参加してとてもよかったので第2回の今日を楽しみにしていました。前回お話してくれた薬学生の福原さんはいますか?その後のお話とお礼を言いたくて」と第2回にして〝ご指名〟も誕生し、帝京平成大学の薬学生ファンが増えていることを証明した。

各講演が10~30分程度の内容ながら、今回も資料にメモを取る人が続出。参加者の〝知りたい〟に応える内容だったことが伺える。

健康茶はお代わりが続出し、特に「黒豆茶」「ごぼう茶」が人気。健康茶を楽しむ参加者は「健康茶は体に良いことは知っているけれど、買っても合わなかったり余ってしまうことが多かったから、こうやって試飲できるのは楽しい。お友達と『私はこれが好き』『もう少し濃いめがいいかも』と話せるのも安心できました」と話してくれた。

〝ご指名〟を受けた福原さん(左)
見て、聞いて、触れてコミュニケーションが生まれる

また「大学キャンパスに憧れがあったけれど、あまり縁がなかった。お茶を飲みながら学んだり運動したり、いつまでも勉強できるのは楽しい」という高齢者や、「日頃、高齢者と交流する機会がないので、全ての人の共通言語である〝健康〟をテーマに集まるのは足を運びやすかった」と話す子供連れもいた。

地域連携部「『正しいことをしている』という自信につながった」

 「第2回健康茶房」を終えたなかのヘルスケアコミュニティの薬学生は「日々勉強していることが地域の方々の役にたつ、ということを実感した」「顔と名前を憶えてもらって嬉しかった。次は私も指名してもらえるよう積極的に関わっていきたい」「先輩から誘われて初めて参加しました。先輩や友達と一緒に来場者をおもてなしするのは、楽しかったしやりがいを感じました」「地域連携部の部会員ではないのですが、友達に誘われて参加しました。自分よりはるかに年上の大人が喜んでいる姿を見て、帝京平成大学の学生として認められたようでうれしかったです」といった感想を伝えてくれた。

ミーティングで「第2回健康茶房」を振り返る米倉代表
進行を務めた栗田副代表

 地域連携部の米倉代表は「地域活動を通じて人と密接に関わり課題に取り組む『健康茶房』は帝京平成大学ならではのチャレンジです。人と人の間に入っていき課題を顕在化するのは薬剤師として挑むべき領域だと思います。第2回は、その課題をくみ取る余裕が生まれたので成長を感じられました。そして皆さんの笑顔を見ると『正しいことをしている』という自信につながりました」と振り返った。

 進行を務めた栗田副代表は「開始10分前まで来場者がまばらだったので不安だったが、そこから満員になったのでほっとしました。学生は、緊張からか壇上に登るとまだ硬さがあるので、山元先生のように聴講している方々の心をほぐすようなポップな進行を真似したいと思います」と次なるステップを示してくれた。

「自信」と「成長」を感じさせる「第2回健康茶房」

 残暑厳しい9月の中野キャンパスで「第2回健康茶房」は大盛況のうちに幕を閉じた。取材で感じたのは主催する学生たちの「自信」と「成長」だ。
 子どもから高齢者まで「健康茶房」を楽しみに来てくれたこと、誰一人が途中離籍することなく穏やかな時間が過ごせたこと、そして自分たちに悩みや楽しかったことを投げかけてくれたこと、名前と顔を覚えてくれたこと、いずれも簡単なようで大人ですら実践するのは難しい。それを自らが日々積み上げている学びや、若者ならではの朗らかさを通じてクリアしていく。この努力と挑戦が「自信」に繋がり、もっとよい会にするべく小さな疑問や課題を解決しようとする「成長」を感じさせてくれた。
 茶房に参加したアカデミアおよび区関係者、メーカーや報道関係者も、帝京平成大学の学生に期待を込めてサポートに回ってくれている。これからの薬剤師、あるいは薬学生に求められる姿勢の一つの答えを「第2回健康茶房」は示してくれた。

「第2回健康茶房」に参加のみなさん

次回 11月9~10日の帝京平成大学学園祭で拡大バージョンで開催

 なお次回の「健康茶房」は11月9日(土)、10日(日)に開催される帝京平成大学の学園祭「四季祭」で拡大バージョンにて実施される予定。地域連携部としては「健康茶房」のほか、生薬ハ―バリウム教室やバスボム作成体験、健康測定会やこども薬剤師体験等、様々なイベントと併催で行われる。

 お祭りの中で開かれる茶房は、通常開催とはまた違った切り口での内容になることが予想される。区民はもちろん、薬学・ヘルスケアに関わる業界人も、ぜひ学生の活躍をその目で確かめてほしい。