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【レポート】第24回JAPANドラッグストアショー3日目【9月1日】

日本チェーンドラッグストア協会(JACDS)が開催した「第24回JAPANドラッグストアショー」の最終日(3日目)レポートをお届けする。台風10号による関東圏への影響もやや落ち着いた9月1日(日)は、一般来場者を中心に40,978人が会場に足を運び、昨年最終日の15,355人を倍以上上回った。夏休み最終日はステージ、セミナーともに一般来場者を意識した〝ドラッグストアの魅力〟を発信するイベントが多く催された。各出展ブースでも終了時間間近まで、サンプリングおよび体験・セミナーが開かれ、閉会後もその熱は会場に残ったまま。「第24回JAPANドラッグストアショー」のフィナーレまでを記事と写真で紹介する(記事・写真=中西陽治)

 

開場を待つ来場者の列

一般来場者ターゲットのセミナー&イベントが目白押し

ヤマキのセミナー「塩を減らしておいしい食事」

「第24回JAPANドラッグストアショー」の最終日は、夏休み最終日ということもあり、開場前から多くの来場者が入場待機に列をなした。3日目は、東3ホールが一般来場者向けにレイアウト変更され、ターゲットを絞ったことにより〝お祭り感〟がさらに高まり、セミナーも一般消費者を意識したものに集約された。

 セミナールームでは、「塩を減らしておいしい食事」(ヤマキ)、「年齢と共に痩せにくくなる体に向けて、内臓脂肪への新アプローチ」(大正製薬)、「理想のクローゼットを叶えるタイパ術」(エステー)、「入浴剤を元気に選んで、もっとゲンキ。」(バスクリン)、「日本の夏のスキンケア・ヘアケア・ボディケアのコツ」(ファイントゥデイ)など、出展ブースとリンクした実践的なセミナーが集う。

 「ドラッグストアになぜこの商品があるのか」「具体的な商品の活用術」が披露され、一般来場者は「愛用している商品・メーカーの担当者から直に話を聞ける機会はそうないので、商品がもっと好きになった」とショーならではの感想を伝えてくれた。

 東3ホールのイベントステージは、家族向けの「こども薬剤師体験」「JAPANドラッグストアショーお祭り広場」「JACDSテーマブース2024」「ワールドグルメフェスタ」が引き続き活況。テーマブースでは、管理栄養士によるアドバイスコーナー、セルフチェック測定体験(「疲労ストレス」「脳健康」「野菜摂取度」「血管年齢」)を用いて楽しく簡単にセルフチェック体験し、それを基に管理栄養士がアドバイスを実施。体験回数は約1,600回を超える盛況ぶりだ。

「ドラッグストア管理栄養士アドバイスコーナー」

関委員が伊調馨さんと「フェムケアとドラッグストア」についてトーク

イベントステージでは、特撮ヒーローのショーやビンゴ大会などが繰り広げられた。その中でも多くの賑わいを見せたのが、女子レスリングの金メダリスト伊調馨さん(ALSOKレスリング部所属)と関颯伎実行委員(セキ薬品取締役調剤本部本部長)による「女性トップアスリート伊調馨さんが語る~フェムケアとドラッグストア~」だ。

(左より)伊調馨さんと関颯伎実行委員

 東京オリンピック開催前に子宮筋腫を患ったことがある伊調さんは「まだまだスポーツ界は男性社会。徐々にですが、男性の理解も広がってきたと思います。生理中はもちろんその前後もパフォーマンスに合わせてトレーニングを変えていきましょう、という風に変わってきました」と変化を伝え、「それでもまだ女性にとって産婦人科はハードルが高いので、ドラッグストアがフェムケアを知るきっかけになってほしいです」とドラッグストアへの期待を語った。

 関実行委員は「フェムケアの悩みは千差万別で〝自分のモヤモヤや痛みは悩みじゃない〟と抱え込んでしまう傾向にあります。まずは自分を知って〝自分はこうしたい〟という考え方が大切です」と前向きな考え方が重要であることを示した。

 伊調さんは「スポーツ選手にはアンチ・ドーピング規定で禁止成分が指定されていて、OTC医薬品、特に鎮痛剤を簡単には使えないのです」とアスリートならではの悩みを語った。関実行委員はその悩みに理解を示しながら「中高生でも生理痛の時に鎮痛剤を使いたくない、という人がいます。今回のドラッグストアショーでは、メーカーさんからフェムケアに役立つ食品が提案されていますから、試してほしいですね。また、ホルモンバランスの乱れによる体調のアップダウンの時は漢方やサプリメントもおすすめです」と医薬品以外の選択肢があることを紹介した。

フェムケアゾーンに参加する女性の数が増加

 このイベントプログラムのテーマである「フェムケア」が、今後ドラッグストアに期待される領域であることを示すように、特別企画のフェムケアゾーンには会期日多くの女性が集った。
 「女性の健康は社会の未来~ありのままの私へ、Love Your Own Choice!~」と題したゾーンでは、ホルモン補充の塗り薬やフェムケア食品、女性の抜け毛悩みからお灸まで幅広いプレゼンテーションがメーカーから発信された。またドラッグストア業界からは「緊急避妊薬を薬局でプロジェクト」や「生理を快適にするためのドラッグストア商品ガイド」なども披露された。

 昨年と比較して特徴的だったのが、フェムケアゾーンに足を運んだ女性たちがオープンに自分の悩みに向き合っている姿だ。月経をテーマにした「タッチ&トライコーナー」で実際に商品に触れ、自分に合っているかをスタッフに相談したり、女性用ウィッグを展開する企業ブースに行列ができている模様から、フェムケアへの心理的ハードルは一歩前に進んだように感じられた。

ショー終了直前まで出展社ブースのアピールが続く

 最終日、開催から終了時間まで熱気にあふれていたのは出展社ブースだ。各企業がセミナーや体験会、サンプリングを来場者の列が途切れるまで開催。開場を〝巨大なドラッグストア〟と見立てるならば〝閉店時間〟まで各社がアピールを繰り広げた。ある出展社ブースでは閉場まで残り1時間となっても約200人が体験会に列をなしており、スタッフは「ショーが終わってもSNSで拡散されたりアプリで繋がるので、最後まで商品の魅力を伝えたい」と走り切る姿勢を見せてくれた。

 筆者が一般来場者にインタビューをしたところ、子供連れの家族が多い中「午前中は、東京ビッグサイト西ホールで開催の『東京おもちゃショー』に行って、午後からはドラッグストアショーに来た。おもちゃは持ち帰れないけれど、やっぱりドラッグストアの新商品も持って帰りたかった」と話す若い母親や、「『こども薬剤師体験』で学んだり、『お祭り広場』でいらなくなったおもちゃを回収する取り組みなど、子どもの教育にも良いイベントだった」という父親がいた。一方で「サンプル配布もいいけれど、商品の良さや社会的価値をもっと知りたかった」という感度の高い人もいた。

テーマブース大賞を獲得したシオノギヘルスケアのブース

何より多かったのはコロナ禍や災害対策に貢献してきた経緯もあり、「ドラッグストアがより身近な存在だと感じるようになった」という声。「化粧品や食品を買う場所だと思っていたけれど、移動販売やデリバリーなど積極的に地域に関わろうとしていることに驚いた」「オーバードーズが問題になっているけれど、登録販売者という人がいて、濫用を防ぐために頑張っているのを初めて知った」「スーパーやコンビニとは違った食品が珍しくて、試食すると美味しい。健康食品も進化しているんだ」というドラッグストアに対する見方の変化を多くの方が伝えてくれた。


【編集後記】

最後にインタビューに答えてくれた群馬県在住の高齢女性は「健康になれるイベントはいいですね。心も晴れやかになるし、なんだか元気になった」と笑顔で答えてくれた。一般消費者のショーへの思い・期待はそのまま店頭に引き継がれるだろう。
「第24回JAPANドラッグストアショー」に関わるアジア最大級のドラッグストアの祭典は、ドラッグストアに関わる団体、企業、個人を含めたステークホルダーの力によって3日間を走り終えた。業界発展に込めた思いが9万7,000人を会場に足を運ばせる原動力となった。
そしてドラッグストアショーの成功の裏で、台風の中、店頭で生活者の美と健康を支え続けてくれた全国のドラッグストア従事者に、3日間のレポートとともに感謝の気持ちを伝えたい。