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【吉野家HD】持続可能な未来のため“ダチョウ〟事業を開始

美と健康で機能を発揮する高付加価値素材を多角的に展開

 8月28日(水)、吉野家ホールディングスは都内で「吉野家ホールディングス新規事業発表会」を開催し、「持続可能な未来のためにオーストリッチ(ダチョウ)に関する事業を開始」することを発表した。美容と健康の領域で優れた機能を発揮する高付加価値素材〝オーストリッチ〟の研究および美容分野の事業を担うのは、吉野家HDの子会社であるSPEEDIA(スピーディア)が担う。吉野家グループが〝第4の肉〟、そして化粧品の機能性素材として扱うオーストリッチの魅力とは。(記事・写真=中西陽治)

河村社長「社会的・事業的な課題に対し、2000年から抱いていた思いを形にした」

吉野家HDの河村泰貴代表取締役社長

 新規事業発表会に登壇した河村泰貴代表取締役社長は、吉野家ホールディングスがオーストリッチに関する事業に本格的に参入するに至った2つの観点を説明した。

 一つは社会的な課題に対応すること。
河村社長は「人口増加、気候変動、食糧問題などさまざまな社会課題がある中で、食料に用いられる動物の種類の集中化を防ぎながら、多様な食料により健康を維持する選択肢を選ぶべきではないか、するとどういった食料が最適か、という観点に立った」と説明した。

「オーストリッチ丼 ~スープ添え~」

 二つが、吉野家HDの事業課題について。
これについて河村社長は「同社の基幹事業である牛丼チェーン『吉野家』は、今年創業125年、チェーン展開を開始して56年目を迎える。しかしその道のりは、牛肉を巡る情勢に常に左右され続けてきた。牛丼の品質を守りながら、事業の持続性を保つためにはどのようなリスク分散が必要なのかという視点に立った」と述べ、近年、牛丼に続く第2の柱として進めている「から揚げ」メニューも、リスク分散・畜種分散の観点から進めてきたものだと示した。

 そのうえで河村社長は「私は、これらの課題を2000年代前半から感じてきました。そこで出会ったのが『オーストリッチミート』です。実際にオーストリッチミートを食べてみると素直に『これはうまい!』と感じました。牛肉の赤身にも似た味わいです。この『うまい!』という感覚は当社が最も重要視している価値観です。この価値観に合致し、かつ飼料効率が高いオーストリッチミートに興味を持ちました。またお客様の『うまい』の価値観も変化しています。今の食事の価値はエビデンスのある健康にあります」と消費の変化とその対応を紹介した。

 河村社長は「企業化されている飲食業にとっての社会的価値および役割は何か」という企業ビジョンに基づき、「オーストリッチ」の素材活用に至った経緯を説明し125年守り通してきた牛肉の価値を維持していくことは主軸であることを強調しながら、新規事業のオーストリッチを次の美と健康につなげていく方針を表明した。

 同社が持続可能な豊かな暮らしの多様な選択肢として提案する〝オーストリッチ〟は、同社が2000年代から注目し、2017年よりオーストリッチの可能性について研究を続け、美容と健康の領域で新機能を発見した。今回、吉野家で販売されるオーストリッチミートを使用した「オーストリッチ丼 ~スープ添え~」は全国400店舗で展開する「C&C」にて数量限定で発売。河村社長は「第四の肉として、飲食業態に卸販売をしていく」とオーストリッチの供給も手掛ける姿勢を明らかにした。

日本調剤のオンラインストアでの取り扱いもスタート

辻執行役員「全身が美と健康に役立てられる素材」
ダチョウ博士も吉野家の姿勢を支持

辻智子執行役員

 そしてオーストリッチの新機能を研究し、オーストリッチに関する事業を本格化させるため、同社100%子会社で、オーストリッチの飼育から研究・商品開発・販売を行う株式会社SPEEDIA(スピーディア)の存在が発表された。SPEEDIAはオーストリッチ研究のみならず、化粧品事業も担う。

 同社の研究からオーストリッチのオイルは肌へ美容成分が浸透する効果を促進し、特にナイアシンアミドに関してはオイルを塗布する前後では23倍の浸透効果があることが判明している。さらに研究では、ミートやオイルに留まらず、羽や骨などすべての資源が有効に活用される可能性を秘めている。

セッションでは飼育現場の動画も
(右)塚本康浩学長

 発表会ではオーストリッチの可能性についてのトークセッションも開かれた。登壇した吉野家HD執行役員で農学博士の辻智子氏は「SPEEDIAは『世界で最も早く走る2足歩行動物であるダチョウ』と同じように、そのオイルが『素早くお肌に馴染む』ことをイメージして名づけられました」と社名に込めた思いを明らかにした。そして「オーストリッチは牛、豚、鶏のいいとこ取りをしたようなお肉で、お肉だけでなく体全体を価値あるものとして、機能性研究を進めてきました」と説明。

【参考記事:ウェルネスフード・キャラバン 吉野家ホールディングス 執行役員 辻智子氏

 セッションに登壇した京都府立大学学長で獣医師・獣医学博士の塚本康浩氏は「オーストリッチは飼育しにくい点がある。一時期、畜産分野で注目があつまり国内で飼育ブームが起こりましたが現在では半分ほどに飼育頭数が減少しているそんな中、オーストリッチの価値を深耕する吉野家さんの姿勢は素晴らしいと感じます」と、オーストリッチ研究の第一人者として吉野家を支持した。

 なおSPEEDIAの「グラマラス ブースターオイル」「グラマラス エイジングクリーム」などのスキンケア商品は、日本調剤やヨドバシカメラのオンラインストアで販売を開始。店頭においては定期的なポップアップストアを開催し、販路を拡大していく。

宇垣さん「乾燥肌に嬉しいオイル」「ジューシーなミート」に太鼓判

オーストリッチミートに舌鼓を打つ宇垣さん

 その後、フリーアナウンサーで俳優の宇垣美里氏がゲストに登壇。オーストリッチのオイルを実際に体験し「私にとって基礎化粧品は結果につながる美容の基本だと思っています。乾燥肌の私には嬉しい新発想のスキンケアです。オーストリッチのオイルを使った『グラマラス ブースターオイル』と「グラマラス エイジングクリーム」を使うだけで、ワンランク上のスキンケアが行えるのはうれしいし、新しい選択肢にワクワクしますね」とオーストリッチの可能性に目を輝かせた。

 健康の秘訣は〝タンパク質をとること〟で、マイブームは鶏ハム作りという宇垣さんは「オーストリッチ丼 ~スープ添え~」を実食。「とても美味しい。固いイメージだったのですが、とってもジューシーでやわらかい。朝でも食べられますね」と太鼓判を押した。

 発表会の会場となった東京都・表参道の商業施設「スパイラル」の1階イベントスペースでは、発表に合わせてポップアップストアがオープン。実際に使用感を試したいインスタグラマーや新規素材に感度の高い女性を中心に、サンプリングを試していた。

(赤)「グラマラス ブースターオイル」、(青)グラマラス エイジングクリーム