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SDGsを諦めないで!

SDGsを諦めないで!
〜次代を担う子供達のために〜 Hoitto‘s eye

 2015年9月の国連サミットで採択されたSDGs(Sustainable Development Goals)。目標達成期日まで10年を切った今日、なお猛威を振るうコロナやロシアのウクライナ侵攻による混乱の中で、そのゴールが不透明になりつつある。

 景気後退を懸念するイギリスでは、コスト削減の候補としてM&Aの次にサステナビリティを挙げる企業が多いと聞く。回収に時間のかかる脱炭素関連投資などが、短期的な収益確保の足枷になると考える経営者は少なからずいるだろう。

 ここ日本でも、物価上昇と消費低迷の対策が急務の課題であり、ESG投資の優先度が下がるのは必然かもしれない。ただ、それらを言い訳にしてSDGsを軽く扱うようなら、この国の未来は明るくない。

 すでにSDGsは義務教育の必須科目であり、2020年に小学校、翌年に中学校の教科書に掲載され、昨年は高校において、廃止された「現代社会」に変わる新科目「公共」の中でSDGsを考えるカリキュラムが組まれている。

 今の10代にとって高度成長期などは歴史の教科書の話に過ぎない。失われた20年の喪失感しか知らない彼らは、将来の夢の描き方が昭和世代と根本から違う。貧困を無くし、性差を無くし、温暖化を抑制し、エシカルな消費を選択することが、より良く生きるために必要であると、身に染みて理解している。

 先日ファンケルが、「ファンケル 神奈川SDGs講座」の「夏休み小学生講座」として、使用済みの化粧品でSDGsポスターを作成するイベントを催した。廃棄される物を別の製品に生まれ変わらせる「アップサイクル」を学ぶイベントだ。

 完成したポスターには、「森林を守るため、紙を大切に使う」「健康なからだづくりのため、食事は残さず全部食べる」「電気を大切にするために使わない部屋のスイッチをこまめに切る」「平和な世界をつくるために、差別や不平等をなくす」など、素直な宣言が明記されていた。イベントを通じ、「アップサイクル」を実践していく子供たちも増えていくと予想される。

 この先10年を待たず、SDGsを身近に感じる世代が成人し社会に出る。そこで待ち受ける現実が、SDGsに掲げたゴールに程遠いようではいただけない。仮にゴールに届かなくとも、しっかりとした道筋を歩んできた企業なら、次代の若者の支持を受け、サステナブルな成長を実現できるはずだ。コロナや紛争といった受難の先にある未来をつくる投資を、諦めないでもらいたい。(八島)