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協励会が6月8・9日に大阪で第75回全国大会を開催

国民の健康維持・増進と健康寿命延伸に向けて
協励会が6月8・9日に大阪で第75回全国大会


薬局を取り巻く環境は厳しいが会員が結束し
地域住民から信頼される薬局を目指したい


3000人の仲間が結束し地域住民から信頼される薬局を目指そうー“最大よりも最良の薬局たらん”を基本理念に掲げる協励会(一般社団法人日本薬局協励会)の佐野智会長ら幹部が5月16日に記者会見し、6月8.9の両日に開催される第75回全国大会の概要を明らかにした。佐野会長は、「新型コロナウイルス感染症によりずいぶんと変わってしまい、薬局を取り巻く環境は厳しい。われわれは、変革する医療の流れに対して対応していかねばならない。同じ環境下にある協励会3000人の仲間が、こんな時だからこそしっかりと叡智を絞りあい、力を合わせて地域住民から信頼していただける薬局を目指したい」と述べている。協励会には、カウンセリングに長けた薬局が多く参画し他店との差別化ができる商品の提供を受けているが、近年ではドラッグストアの入会が見られるようになった。競合が激しくなる中、ドラッグストアや調剤薬局の間に、差別化への武器(差別化利益商品の提供と研鑽と販売事例)を持つ協励会に関心が寄せられているからだ。(流通ジャーナリスト・山本武道)


■利益商品として選定品の販売と相談事例など話し合う


大会は、1950年4月に第1回が3日間にわたり神奈川県箱根湯本で開催されてから今年で75回目。佐野会長は、「多忙な日常業務の中、国民の健康維持・増進と健康寿命延伸に向けて、健康サポート薬局、かかりつけ薬局・薬剤師として研鑽し、国の施策にあるセルフメディケーションの推進、未病対策、健康相談と、今まで以上にお客様、患者様との関わりが深く求められる」として、大会への参加を呼びかけている。

全国大会は、『一念通天〜協励の原点、そしてこれからも』をテーマに大阪国際交流センターで行われる。『一念通天』とは、「強い信念をもって一心に努力を続けていれば、必ず成し遂げられる〜一生懸命取り組めば必ず実現させることができる」という意味。「全国大会では、仲間の力の再認識と店頭で日々取り組んでいることに、さらにブラッシュアップさせたい」と佐野会長は語った。


5月16日に会見した協励会幹部(中央が佐野智会長)


大会初日には、総会に引き続き毎回多くの会員が参加する人気イベントの混合協励会が、利益商品として会員が推奨販売する選定品ベスト3と伸ばしたい選定品について、店頭での販売事例を中心に意見交換や情報共有などグループ形式によるディスカッションが行われる。

二日目は、『協励会式ケースレポート』、『在宅医療』、そして会員企業に利益商品を提供する『日邦薬品、日邦商事は私たちが愛して育てる会社』のテーマで三つの分科会が次のように企画された。

◇協励会式ケースレポート:会員同士が利益確保への選定品の推売事例など3名の会員が選定品を用いた治験例・改善症例などの報告とQ&A…店頭での相談応需の参考となる
◇在宅医療:薬剤師、経営学修士(MBA)で薬局コンサルタントの鈴木素邦氏の特別講演(薬局コンサルタントの目線から在宅医療の重要性、ゼロからのはじめ方)と静岡支部会員の石川友康氏の指導講演…経営者や在宅を始めようとしている会員、在宅に興味のある会員に向けた講演
◇日邦薬品、日邦商事は私たちが愛して育てる会社:OTC販売における実践的な選定品活用方法、症状ごとの効果的な組み合わせなどを商品開発委員が発表する傍ら、会員が取り組む日常の調剤業務に関わる日邦商事取扱いジェネリック医薬品の魅力、パネルディスカッションなどもある。


■西川ヘレンさんが『大家族、支え愛、見守り愛、励まし愛』テーマに特別講演


大会で毎年、著名人が招かれ行われる特別講演の演者は、漫才界の大御所、西川きよしさん夫人のヘレンさんは、『大家族、支え愛、見守り愛、励まし愛』をテーマに話す。

二男一女の母として家族を支え、実母・義父母と40年以上に渡り同居した多重介護を経験したヘレンさんは、女性の愛、嫁の立場、母の役割、妻の責任など生きざまを通して語る体験は、高齢社会が到来し核家族が増える今、貴重な講演だ。

そして4世代同居の大所帯を切り盛りするなど家族愛を大切にするするヘレンさんは、きよしさんが前立腺がんに罹患した際に医療機関への受診を勧め、きよしさんが健康体を取り戻したことが多くの共感を呼んだことで知られる。


特別講演の演者として全国大会に招かれた西川ヘレンさん(中央)、右が西川きよしさん、左が長男の忠志さん(『週刊がん もっといい日』の温もりインタビューで撮影)


協励会は、同会の生みの親といわれる薬局コンサルタントとして活躍された松香雄二さんが主宰する自家製剤研究会が前身。1949年に設立された。現在3000名を超す会員が地域住民の健康コンサルタントとして活躍する“粒よりの薬局集団”。初代会長に佐々浪正典さん(佐々浪ファーマシー)が40年間に渡り活躍。以後、白木太一郎さん(薬局白十字)前納秀夫さん(マエノ薬局)小田美良さん(小田薬局)、そして佐野智さんは第5代会長(2022年6月に就任)。

国民の健康創造に貢献する商品を開発し会員の利益商品として提供し、現在の売上高98億円(選定品+取次品A82億円、取次品B17億9000万円)から104億円を目指す日邦薬品工業の中田雅之代表取締役社長は、「超高齢化社会を迎え、若い世代や高齢者の間に自身の健康を気遣う傾向が強まり、セルフメディケーションに対するニーズが高まっている。引き続き会員の店舗力のアップと選定品の販売強化を軸として目標を達成したい」と話している。