美と健康と快適な生活関連商品を提供する大木ヘルスケアの春夏用カテゴリー提案商談会が好評だった。『新しい売上げをつくる』をテーマに、ドラッグストアや調剤薬局、スーパーなど1600名の来場者に、3月から4月にかけて発売予定の新製品や利益商品等々、健康寿命延伸産業の武器として“未病と予防”ニーズの高まりを受けたヘルスケア用品とサービスを提案。単なる商品展示会ではなく、そこに陳列や売り方も添える大木の商談会。小売業と生活者のための潜在需要、氷山の一角市場を掘り起こし生活者が満足して購入するヘルスケアカテゴリーとサービス提供のミッションとして、これからも小売業成長への新しい市場創造をサポートする“架け橋”となることを期待したい。(流通ジャーナリスト・山本武道)
生活者の多種多様な潜在ニーズを発掘し、考え方を共有する小売店とパートナーシップを組み利益商品を提供してきたカテゴリー提案商談会。営業スタッフが来場者に付き添い展示ブースで商品の特徴などを紹介する光景が見られただけでなく、入口には来場者にとって「今なぜ商品やコーナーづくりが必要なのか」を訴えた大木の提案に多くの視線が集まった。「日本と世界の人口の趨勢」「日本の労働人口の減少に備えて高齢者、女性、外国人が長く働ける社会の必要性」「増え続く医療費」「超高齢社会への課題と取り組み」など、市場動向を解説するコーナーの設置が同商談会の特徴である。
注目したのは、介護や認知症予防、フレイル対策、セルフチェック機器、睡眠の質改善、介護現場の悩み解消、イージーDIYなど、ヘルスケアを中心とした地域住民の快適な暮らしを実現するための「快適生活コーナー」や、大木が積極的に取り扱いを進める「園芸コーナー」。特に「園芸コーナー」では、高齢者人口の増大に伴いニーズが急増し、かつてはホームセンターで購入していた高齢者が身近なドラッグストアで購入するケース相次いでいるだけに、期待出来る分野となる。今回もアタリア農園が、“一粒のタネから始まるたくさんの喜び”のを記したポスターと共に、いろいろな種のコーナー展開を呼び掛けていた。
このほか注目商品として、ネスレが4月上旬に発売予定の1カップ66gあたりタンパク質9.5g、100カロリーの『アイソカルゼリーたんぱくプラス』)、興和が3月に発売するのがアップル風味の疲労回復と栄養補給の指定医薬部外品『Q&Pαチャージ』に加えて、女性のためのミノキシジル配合の発毛剤『リザレックコーワ for Lady』(第一類医薬品)、明治が“プロテインは次なるステージ”として、より筋肉を強くする成分を配合した『ZAVAS ADVANCED PROTEIN100』と健康寿命延伸のための栄養サポート粉ミルク『MICHITAS』(3月〜4月上旬に発売)、味の素が4月から発売予定のアミノバイタルセリードリンク『ガッツギア』(サイダー味とりんご味)を紹介していた。
医薬品では、浅田飴が子供のための乗り物酔いの『トラべロップQQ』(ぶどう味とサイダー味:共に第二類医薬品)、武田薬品工業を通じ販売してきた痔疾薬『ボラギノール』は、2023年から開発元の天藤製薬(現ロート製薬グループ会社)が自社ルートでの販売をスタートさせたという。水酸化マグネシウムでつるんとすっきりと訴求していた『ボラギノールスムース』(第三類医薬品)が共に人気だった。
ユニークな商品2アイテムを出展していたのが、“愛情1本”を訴求するロングラン商品の『チオビタドリンク』、アルコールを飲む前に飲む漢方胃腸薬『ソルマック』で知られる大鵬薬品工業。その一つは、話しながらケアできる薄いフィルム状の『ピタスのどトローチ』(指定医薬部外品)。下にのせて上あごにピタッと貼るトローチで、炎症によるのどの痛み・はれ・あれ・のどの不快感・声がれ、口腔内の殺菌・消毒、口臭の除去に使用できるのが特徴。もう一つは、飲み過ぎ、食べ過ぎによる突然の下痢に対応する『ソルマックキュアールD』(第二類医薬品)。いずれも店頭での売れ行きが期待できそうだ。
近年、2138万人といわれる難聴者に対して、ドラッグストアでの取り扱いが目立ってきたのが集音器や補聴器だ。大木では“聞こえアシスト”として、デジタル集音器の需要増とを踏まえ普及に取り組んできた。展示会で集音器の必要性を来場者に説明していたのは、株式会社日健の橋本道明代表取締役。9900円の耳掛け型(左右兼用)、耳穴型(両耳用)、そして大木ブランドの『聞こえアシスト』(両耳用)(22000円)。「聞こえにくくなったかなと思ったならば、最初は集音器を使用して、聞こえることが必要ですが、当社では補聴器が必要になったら紹介をしています。大切な事は、難聴を放置した場合、認知症のリスクは高くなります」と語る橋本代表。『聞こえアシスト』は、3月中旬からドラッグストア店頭に登場する予定だ。
大木C&Vヒット商品の一つとして紹介されたのが、2023年3月1日に発売されドラッグストア店頭に導入2か月で29個を売上げた洗い流すパック『mai pair しろたまスクラブ2000G』(1540円)。老舗酒造メーカーの日本盛が開発したお米の力で潤いながら古い角質を除去する、コンニャクイモ由来で弾力のあるスクラブ剤(グルコマンナン)を配合したユニークな商品。発売以来、販促物を設置し視認率をアップさせる傍ら、インフルエンサー投稿と露出が重なり売上げ増に結びついたという。「伝統のある酒造メーカーが、お米で古くなった角質層を除去してくれるパックは、とてもユニークです。当店でも取り扱いを検討したい」と来場したドラッグストアの女性スタッフは語っていた。
会場では、美容QOL注目の若返り美容〜消費者ニーズを満たす売り場提案で顧客満足度アップ、季節ごとのニーズに合わせたエンド、髪の悩みに合わせた年齢別ヘアケアで売上げ創造、大人になりたい世代に向けたアプローチ、特に出産後から更年期前の“ゆらぎ代”の身体の悩み解決に、ドラッグストアが果たす役割は大きいだけに、フェムテックコーナーに対する来場者たちの関心は高かった。
「フェムテックという言葉は、わかりにくい」といった声が少なくないフェムテック市場の課題は、誰もが「女性のための健康コーナー」とわかるように、店独自の展開も必要ではないだろうか。そしてフェムテック分野に、外見の変化に起因するがん患者の苦痛を軽減するアピアランスケアも加えてほしい。Hoiitoに連載中の『進化から真価へドラッグストア ストーリー』で、スギ薬局の事例を紹介しているが、アピアランスケアの取り組みは、今のところドラッグストアに限定すればスギ薬局唯一というのが現状だ。
カテゴリー提案商談会について大木ヘルスケアの松井秀正代表取締役社長は、「今回は実施提案数69、共同提案出展メーカー79、商品協力メーカー233社で需要創造型の新しい中間流通業の実現を目指し開催し、ドラッグストア、調剤薬局、一般薬局に加えてスーパー、コンビニ、通販、ホームセンターなどの関係者に来場していただいた」と前置きして次のように述べていた。
「改めて小売業にとってヘルスケアは、絶対に欠かしてはいけないカテゴリーであることを再確認した。高齢社会の到来に伴い生活者の健康維持と向上への意識を高めるための商品にサービスを添えて、さらにヘルスケア分野を進化させたい。これからは物販だけでなく快適な日常生活に役立ち社会貢献も重要なキーワードとなる。近年、市場の拡大が続く女性のためのフェムケア関連は徐々に認知されており、今後も大きく取り上げていく」