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地域と生きるDgS〜北陸・中部編〜Genky DrugStores
節約志向のニーズを取り込み成長継続

画像は北陸、飛騨・高山エリアの物流網の強化を目的に今年7月に富山県小矢部市に開設した「 ゲンキー富山小矢部RPDC」

人口減や少子化、過疎化等を念頭に付加価値型のビジネスへと転換するドラッグストア業界にあって、一貫してチェーンオペレーションによる経営効率を追求し成長を続けている企業がある。その名はGenky DrugStores。1988年に福井県福井市で創業したドラッグストアである。株式の上場は2003年(JASDAC)で、2010年に東証二部上場、2011年に東証一部に指定替えと後発組だが、中部地区進出を機に高速出店で右肩上がりの成長を実現し、2023年6月期連結の売上高は1,690億円、経常利益率は4.2%と、業界内での存在感が増している。(文責=八島充)


徹底度が違うローコスト運営

創業者で社長の藤永賢一氏は、チェーンストア先進国のアメリカに倣い、一貫したチェーンオエレーションを追求したビジネスを志向。経営コンサルティングの老舗組織「ペガサスクラブ」の指導を、今も愚直に遂行している。

早くからアメリカ・チェーンストアの巨人・ウォルマートをベンチマークし、2000年より店舗面積900坪の郊外大型店「メガドラアッグストア」の出店を開始。当時は外観もウォルマートと同じカラーを用いて注目された。

中部地区を侵攻する中で、2015年から300坪型の小商圏フォーマット(レギュラー店)を主軸に据える。アメリカで定着したダラーゼネラルを手本に「生活消耗品満載ストア」を名乗り、2019年からディスカウント戦略も再強化している。

時代に合わせてフォーマットの変更はあったが、その思想にブレはない。レギュラー店舗は全て11本の通路と21台の連結ゴンドラに統一されている。オペレーションや品揃えも標準化され、物流から陳列、販売までの省力化を実現している。

核となる食品は生鮮品から弁当を含む惣菜までを広く扱い、食品の売上比率は67%と同業の中でダントツだ。価格政策はEDLPが基本で、2020年より日替わりのハイ&ローも廃止した。チラシも月1回から四半期に1回に変更し、浮いた経費をさらなるディスカウントの原資に振り向けている。売上比率22.4%のPBも大きな武器で、節約志向が強まる中で若い夫婦層を中心に支持を集めている。


非食品の再強化も伸び代に

特筆すべきは、PB開発、店舗開発、生鮮品の仕入れに至る全てを自前で行なっていること。徹底したローコスト経営で安さを演出するとともに、機動力のある出店で成長を加速させる狙いである。

M&Aを選択肢に入れる大手同業との違いもここにある。異文化を取り込んで多様性を身に付けるよりも、自主独立で我が道を直進することが、目標達成に有利との考えを持つ。藤永社長は「直営のプロセスセンターで加工される惣菜や精肉は、店内加工に匹敵する鮮度、SM以上の品質を実現している」と胸を張る。

その一方で藤永社長は、「他店で医薬品や化粧品を購入し、食品のみを目的に来店するケースが見られる」という悩みも打ち明ける。SMとの真っ向勝負で地域生活者の支持を勝ち取った同社の今の課題は、非食品の再強化となる。

裏を返せば、食品で培った強力な集客力を非食品に振り向けられるのが、同社の強みであり伸び代。自慢の機動力でそれをどこまで実現できるのか、藤永社長の手腕に注目である。(了)