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感染症を防ぐ 口腔ケアと“唾液力”の最新トピックス

歯周病治療の第一人者若林健史氏(歯学博士)が語る

今冬における新型コロナとインフルエンザの同時流行が懸念されるなか、唾液の働きにあらためて注目が高まっている。オハヨーバイオテクノロジーズ(本社:東京都千代田区)のプレスセミナーで、歯周病治療の第一人者でもある医療法人社団真健会理事長の若林健史氏(歯学博士)が、感染症を防ぐ口腔ケアの大切さと“唾液力”についての最新状況を語った。マスク生活が3年近くも続く中で、若林氏は患者の多くで虫歯や歯周病が進行している可能性があるとし、実際、口の中がネバネバしているケースが多いと言う。その理由として、常時マスクをしていることで口呼吸をし、口腔内が乾燥することや、口を動かさなくなり、唾液の分泌が減っているためではないかと指摘する。


歯周病による新型コロナのリスク
一方、新型コロナウイルス感染リスクは、歯周病によって激増すると言われる。日本歯科医師連盟によれば、歯周病が起こす新型コロナのリスクは、「人工呼吸リスク4.6倍」「集中治療リスク3.5倍」「死亡リスク8.8倍」とされる。
若林氏は、感染症予防には口腔ケアと唾液力がカギだと強調する。
唾液の働きは多岐にわたるが、感染症など外敵から守る主な働きには、抗菌・殺菌、免疫機能、粘膜保護、保湿機能がある。


唾液中にコロナ感染を防ぐタンパク質が
さらに唾液に関する最新トピックスとして、唾液中に新型コロナウイルスの感染を防ぐタンパク質が発見されたことを挙げた。
大阪公立大学大学院の研究チームによるもので、唾液中にACE2受容体に結合する4種類のタンパク質があるとし、唾液の濃度が高くなるほど、スパイクタンパク質とACE2が結合しにくくなることが確認されているという。


口腔環境を整える三種の神器
バクテリアセラピー代表「ロイテリ菌」

マスク生活が長引く中で、いかに口腔ケアに取り組むか。
若林氏は「口腔環境を整える三種の神器」として「プロケア=医師による検診など」「セルフケア=歯みがき・フロス、唾液分泌の促進など」「バクテリアセラピー=プロバイオティクスの摂取で口腔内細菌叢のバランスを整える」を挙げる。
バクテリアセラピーの特徴としては大きく①効果持続性:善玉菌を増やして体内の菌バランスを整える、②耐性フリー:薬剤耐性を持つことがない、③安全性の3つ。
中でも、バクテリアセラピーの代表「ロイテリ菌」は元々母乳にあった乳酸菌で、世界では110を超える国と地域で使用実績がある。副作用がないことでバクテリアセラピーには欠かせないとしている。