
公益財団法人流通経済研究所が、食品小売業の企業111社を対象に、サステナビリティの取り組みに関するアンケート調査を実施。その結果、取り組みランキング1位はファミリーマートとなり、上位3位がコンビニエンスストアが占めた。ドラッグストアでのトップは4位のスギホールディングスで、次いでバローホールディングス。6位からは生協が多くランクインしている。今年度の調査で最も特徴的だったのは、サステナビリティ推進の最大の課題として「専門知識を備えた人材がいない・育っていない」が約6割(58.6%)と最も多く挙げられた点。この傾向は「多忙」(43.2%)や「予算不足」(38.7%)を上回り、専門人材の不足が施策の継続性・体系化を妨げる大きな要因となっていることを示している。

公益財団法人流通経済研究所は、食品小売業を対象にサステナビリティへの取り組み状況を調査した。その結果、ランキング1位ファミリーマート、2位セブン&アイ・ホールディングス、3位ローソンとなった。全体として、企業の約7割が「サステナビリティへの取り組みが経営に良い影響を与えている」と回答しており、環境対応のみならず、従業員や顧客との関係強化、地域との連携拡大など、多面的な成果が広がっている。

サステナビリティへの取り組み推進に「とても力を入れている」のは22.5%、「どちらかというと力を入れている」のは36.9%であり、合わせて59.4%と取り組みが広がっていることがうかがえる。ただし、「とても力を入れている」だけ見ると2割強にとどまっており、依然として積極的に取り組んでいる企業は限られている。

今後、サステナビリティへの取り組みを「拡大する予定である」と回答した企業は62.2%にのぼり、多くの企業が取り組みの強化を進めていることがわかる。

「とても力を入れている」と「どちらかというと力を入れている」の回答を合計すると、「地域社会への貢献」(85.6%)が最も多く、それに次いで「食品ロス削減とリサイクル率の向上」(73.8%)が続き、どちらも7割を超えている。
一方で、「サステナビリティへの取り組み推進の体制整備」、「イノベーションと技術の活用状況」、「持続可能な物流への貢献」に関しては、回答率が3~4割にとどまり、今後の改善や推進が求められる領域といえる。

サステナビリティへの取り組みが事業や経営に良い影響を与えていると感じている企業は、「とても感じる」「どちらかというと感じる」と回答した企業を合わせて67.5%にのぼり、多くの企業がその効果を実感している。
具体的な良い影響としては、「リサイクル率の向上」「プラスチック使用量の削減」「CO2排出量の削減」「顧客満足度の向上」「従業員満足度の向上」「自治体やNPOなどからの連携要請の増加」などが挙げられた。

サステナビリティへの取り組みを推進する上での障壁や課題として、「専門的な知識・能力を有する人材がいない/育っていないこと」(57.7%)が最も多く、専門性に課題を感じている企業が多いことがわかる。次いで、「業務が忙しく、対応が難しいこと」(55.0%)、「予算や資金の不足」(44.1%)が挙げられており、人手やコストの面でも課題が存在している。
近年、サステナビリティをめぐる企業の取り組みは、気候変動対応や人権尊重、地域共生など多岐にわたり、その経営戦略上の重要性が一層高まっている。特に2024年には、ISSB基準(国際サステナビリティ基準審議会)に基づく情報開示が日本でも本格的に導入され、企業のサステナビリティ経営が一層問われる時代となっている。また、Z世代をはじめとする消費者層の意識変化により、環境・社会への配慮が日常の選択基準の一つとなりつつある。