世界情勢の変化で小麦粉の価格が上昇し、パン食を好む生活者には受難の日々が続く。主食の米の消費量が減少を続ける中にあって、小麦粉の値上がりでパン離れが起きるのか、また、米食への回帰が始まるのかは、食を生業とする事業者の気になるところだ。先頃プラネット(田上正勝社長)は、意識調査「fromプラネットvol.188」にて、「おにぎり・パンに関する意識調査」(https://www.planet-van.co.jp/shiru/from_planet/vol188.html)を公開した。パン・おにぎりが世代や食シーンによって棲み分けられていることや、パンの値上げ率の許容範囲が示されるなど、興味深いデータとなっている。
「普段の生活のなかで米とパン、どちらを食べる機会が多いか」と聞いたところ(図表1)、「米が多い」と回答した人は全体の64.4%。性年代別に、「男性・20代」を除けば男女ともに年代が上がるほど、「米が多い」の割合は下がった。「若者の○○離れ」というが、米を食べる機会はそれが当てはまらないようで、性年代別で最も割合が高いのは「男性・30代」の75.0%、最も低いのは「女性・70代以上」の56.1%となっている。
次におにぎりとパンを比べ、「1週間にどのくらいの頻度でおにぎりやパンを食べるか」という問いに、「毎日」と回答した人は、おにぎりは7.8%、パンは29.6%だった。
性年代別に、「おにぎりを毎日食べる」人は若いほうが割合が高く、「1週間に一度も食べないことがある」人の割合は年齢が上がるほど高くなる。一方でパンは、年代が上がるほど「毎日食べる」割合が高くなり、「男性・70代以上」は、ほぼ半数がパンを毎日食べているという結果が出た。
「どんなときにおにぎりやパンを食べるか」(図表3)では、おにぎりの場合に最も割合が高いのは「昼食」(65.7%)で、パンは「朝食」(62.6%)となった。
「おにぎりを朝食で食べることが多い」と回答した「20代」「30代」は3割近いが、「70代以上」では10%未満だった。同様に「おにぎりを昼食で食べることが多い」という人は、最も高い「70代以上」が74.4%で、最も低い20代が52.3%と大きく開いた。一方、「パンを朝食で食べることが多い」と回答した割合は20代が最も低く(56.5%)、最も高いのが70代以上(68.0%)だった(図表4)。
「おにぎりやパンをどこで買うことが多いか」の問いでは、おにぎりはもっとも多いのが「コンビニ」(57.2%)で、2位が「スーパー」(24.9%)の順だったのに対し、パンは、「スーパー」(54.1%)、「コンビニ」(22.7%)と、逆転している。おにぎりの即食性が反映した結果と言える。
「これから先もパンが値上がりするとしたら、あなたはどの段階までパンを買い続けるか」(図表8)の問いで、最も多かったのは「現在の値段の1.3倍まで」(25.7%)だった。ここから先の値上がりで「パン離れ」が起きる可能性があるが、「現在の値段の2倍以上でも買い続ける」という人も13.3%いた。
また「パンの値上げによって、この1年でパンや米を食べる頻度に変化があるか(あったか)」の問いには、「変わらない」という人がパン(78.7%)とおにぎり(83.8%)の両方で最も多かった。
頻度が「減った」との回答はおにぎりは6.5%、パンは10.9%で、パンのほうが「減った」という人が多かったが、現時点では食生活が変化するほどの影響はない模様である。
このほか今回の調査は、「最も頻繁に購入するおにぎりの具は」「おにぎりやパンと一緒にどんな飲み物を飲むか」などに対する回答が、いずれもグラフとともに紹介されている。詳しくはこちら(https://www.planet-van.co.jp/shiru/from_planet/vol188.html)を参照していただきたい。
調査機関:株式会社プラネットによる調査企画をもとに、株式会社ネオマーケティングにて「おにぎり・パン」に関する意識調査を実施
期間:2022年7月27日~31日、インターネットで4,000人から回答を得ている