空き巣や強盗やストーカー、フィッシング詐欺やロマンス詐欺などなど…。私たちは常に犯罪に巻き込まれる危険がある。防犯意識が高まる中で、今回の『Fromプラネット』 (第231号)は、防犯対策に関する意識調査(対象4,000人)のアンケート調査を公表した。人ごとと思わず、各々に対策方法を再確認していただきたい。
自宅にいるとき、玄関に鍵をかけているか、という質問(図表1上)に対して、「常にかける」は74.5%、「常にかけない」人は8.2%だった。2年前の調査と比較すると(図表1下)、「常にかける」割合が2ポイント低下。「常にかけない」と答えた人を性年代別に見ると、「男性・20代」は13.1%から17.6%に上昇、「女性・20代」も10.5%から15.9%に上昇した。また「女性・30代」は3.9%から12.2%と、すべての年代のなかで、最大の上がり幅となっている。
玄関に常に鍵をかける人以外に、鍵をかけない理由を聞くと(図表2)、最も割合が高いのが「鍵をかけるのが面倒だから」(35.7%)、続いて「危険な目に遭ったことがないから」(31.431.4%)、「人の出入りが頻繁にあるから」(22.1%)、「盗まれて困るものがないから」(14.9%)という順になった。
近所付き合いがあると、周りの異変に気が付きやすいもの。近所付き合いをしているかを聞くと(図表3)、「ほとんど近所付き合いはない」と回答した割合が43.8%と、半数近くにのぼった。
また、近所に住んでいる人の顔がわかるかという質問に対しては(図表4)、「まったく知らない」と回答した割合が23.0%。「ほぼ全員を知っている」という人の割合は14.7%だが、年代が上がるほど、顔見知りの比率も上がる傾向があり、「70代以上」では30.5%となる。この2つの質問から、「近所の人の顔を知らないわけではないが、付き合いと言えるほどの関係はない」という人が多いことが伺える。
知人以外が自宅を訪問したときに、どのように対応するかを聞くと(図表5上)、最も割合が高かったのは「インターホンやのぞき窓で確認したうえで扉を開けることが多い」(47.8%)で、次が「知人以外の訪問は無視する」(20.4%)だった。
2023年の調査(図表5下)と比べると、「インターホンやのぞき窓で確認したうえで扉を開けることが多い」や「特に確認せず扉を開ける」と回答した人の割合はあまり変化がなかった。ところが、「知人以外の訪問は無視する」と回答した人が約6ポイント増え、「インターホンやのぞき窓で確認したうえで扉を開けないことが多い」は約7ポイント減っている。
「知人以外の訪問は無視する」と回答した人は70代以上を除き、全年代で増えている。特に「男性・30代」は2年前から約15ポイント、「女性・30代」は約10ポイント上昇しており、30代の増加幅が最も大きくなった。
空き巣や強盗のほかにも、振り込め詐欺、架空請求詐欺のような新手の犯罪や、ネット上でのトラブル・犯罪も世間を騒がせている。犯罪被害を受けたことがあるかを聞くと(図表6)、「フィッシング詐欺」は7.9%が、「振り込め詐欺・特殊詐欺・架空請求詐欺」は6.0%、「SNSなど、ネット上でのつきまとい」は3.3%の人が経験していた。
なお、「SNSなど、ネット上でのつきまとい」については、性年代別で最も経験した割合が高いのは、「男性・20代」の11.8%だった(図表不掲載)。「男性・20代」は「フィッシング詐欺」と「振り込め詐欺・特殊詐欺・架空請求詐欺」のどちらも10.5%が経験しており、ほかの年代と比べて割合が高くなっている。
SNSでの乗っ取り被害を受けたことがあるかを聞くと(図表7)、「被害を受けたことはない」が62.3%、「被害を受けたことがある」は8.1%でした。「SNSを利用していない」と回答した人は29.6%いたが、逆に言うと、約7割の人はSNSを利用していることになる。70代以上においても、利用している人の割合は半数を越えている。
SNSを利用している人に、スパムと思われるアカウントから友達申請を受けたり、フォローされたりした経験があるかを聞くと(図表8)、「経験がある」が32.0%、「経験はない」が68.0%だった。男女ともに「経験がある」人の割合は40代をピークに山なりとなる。対策をしっかりしているからか、使っているSNSなどの種類によるものかは不明だが、年代が上の人たちの「経験がある」割合は、40代と比べると低くなっている。
ネットやSNSにまつわるトラブルから身を守るために、どんな対策をしているのか。「怪しいメールは全て廃棄」「怪しい投資の話は着信拒否」と、「完全に遮断」という人もいれば、「怪しいものは調べる」という人も。ただ、手口がどんどん巧妙になっているので、自分で調べるのにも限界があるかもしれない。周りから見れば詐欺だとわかっても、「自分が巻き込まれるはずはない」という油断が被害を生むこともありそうだ。
【嫌な思いがトラウマに……。】
● SNSで有名人に成りすました人が、「本当の連絡先を教えたい」といってかなり怪しいサイトを紹介されたことがある。(サイトの使用料金としてお金も請求してきた。) 完全に無視をして被害はなかったが、妙な連絡が届く恐怖がまだ残っている。(女性・20代)
● 中学生の頃、クリック詐欺のサイトから退会メールを送ってしまったり、面識のない男性から性的な画像やメッセージが送られてきたりしたことがある。(女性・20代)
【詐欺被害に遭った人、寸前で回避した人】
● 普段使っているクレジットカードの更新が近いとメールが来て、間違えてクリックした結果、被害にあった。使われた金額は少額だったし、返金もされたが、今は気をつけるようにしている(女性・40代)
● 園芸サイトで植物の苗を注文したが、架空のものだった。決済後にサイトにアクセスできなくなり、詐欺とわかって警察に通報した。金額が千円程で済んだのが不幸中の幸いだったが、海外から作っているサイトで「何もできない」と言われ、悔しい思いをした。(女性・30代)
● 同居している70歳の父親がXに趣味の絵を載せていたところ、海外のアカウントから買い取りたいとDMがあった。父親は全く疑わずテレグラムや暗号資産のアプリなどをスマホにインストールさせられた。暗号資産のアプリに急に700万円が振り込まれ、「現金化のために15万円を振り込んで欲しい」と言われたあたりで、母親がさすがにおかしいと疑い始め、その段階で初めて自分に相談された。急いですべてアンインストールさせ、Xも退会させた。幸い金銭的な被害などは発生しなかったが、あからさまな詐欺に父親が簡単に騙されてしまったのがショックだった。
(女性・30代)
【SNSで被害に遭った!】
● SNSがきっかけですごく大変なストーカー被害にあいました。その方は逮捕されました。(女性・40代)
● 友人がネットストーカーの被害に遭い、警察に相談しているが、解決のきざしがなかなか見えないのでとても心配している。(女性・40代)
● 国際ロマンス詐欺と思われるメールやマッチングが毎日のようにたくさん届く。(女性・50代)
● ロマンス詐欺で500万円程度の大被害に遭った。(男性・40代)
● ラインのアカウントを乗っ取られたことがあり、それ以降、あまりSNSには熱心でない。(男性・60代)
【SNSでの防犯対策】
● 近所の写真などあげない。リアルタイムでどこにいるかなどは投稿しない。(女性・40代)
● 写真を載せる時は加工を外せないように加工した写真をさらにスクショして上げるようにしている また、反射して背後がわかるような写真を上げないようにしている。(女性・30代)
● 見たことのあるようなアカウントからのメールでも怪しいと感じたら開かずに、プロバイダへ報告している。 SNSでもDMやリプライなどで知らない相手からのアクションは無視して、運営会社へ報告している。(女性・50代)
● X以外のSNSは非公開にして閲覧のみ。暗証番号やクレジットカード番号を聞いてくるメールには答える前に企業に確認する。セキュリティソフトをPCとスマホで使用。知らない電話番号には出ない(女性・60代)
● スパムと思われるアカウントは、何もコンタクトを取らずにすぐ通報するようにしている。(男性・20代)
調査機関:株式会社プラネットによる調査企画をもとに、株式会社ネオマーケティングにて「防犯対策」に関する意識調査を実施。
期間:2025年3月4日~3月5日、インターネットで4,000人から回答を得ています。
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