科研製薬と楽天モバイルが、人が歩くうえで大切な足に注目し足の健康に関する生活習慣の改善へ提携――両社は、楽天モバイルが提供する健康寿命延伸サポートサービスを活用して、足の健康に関する情報発信の強化を目的として『満足プロジェクト』を発足し専用サイトを新設したことを明らかにした。プロジェクト開設に合わせ、両社主催による、人生100年時代に向けて『満足プロジェクト』発足記念セミナーが開催された。
科研製薬と楽天モバイルは、足の健康維持がフレイル予防にもつながることから、健康寿命延伸に欠かせない重要な要素の一つとして、これまでセミナー開催や『楽天シニア』内でのコラム掲載などを通して、“歩く健康”をテーマとした足に関する様々な疾患の啓発活動に取り組んできた。
同プロジェクトは、楽天モバイルの健康寿命延伸サポートサービス『楽天シニア』内に3月14日に開設された。足の生活習慣の改善を目指し、コラムを読んで正しい知識を学び、ロコモ度テストをして自分の現状を知ったり、足の健康に関わる知識を楽しく得ることができるプラットフォームだ。
ロコモチャレンジ推進協議会委員長でNTT東日本関東病院の大江隆史院長、埼玉県済生会川口総合病院皮膚科の高山かおる主任部長(足育研究会代表理事)がナビゲーターとして、「知識を楽しく学び、足の健康を維持しよう」と呼びかけている。
プロジェクト開設の当日、両社主催による、人生100年時代に向けて『満足プロジェクト』発足記念セミナーが開催され、ナビゲーターの大江、高山両医師が登壇し講演した。
大江医師は、「ロコモとは運動器の障害により、移動機能が低下した状態。進行すると要介護になる危険性が高い」と前置きして、ロコモの仕組みやロコモの評価法、ロコモ度テストを紹介。
『楽天シニア』の“40〜50代でもロコモに!あなたの足腰、ひざ大丈夫ですか”コラムアンケート結果(2024年12月26日〜2025年1月25日)を引用しながら、「コラムを読む前からロコモを知っていたか」では、「はい」と「いいえ」がほぼ同数字だったこと、1日の歩数が「4000〜6000歩」が最も多く34%で、1日の歩数が6000以上歩く人では年齢によるロコモ度の差がなくなっていること、筋トレやスポーツなど、やや強めの運動を1週間に合計どれくらいしているかでは、1時間20分以上の場合、年齢によるロコモ度の差がなくなっていることがわかった。
大江医師は、「階段の昇り降り、急ぎ足で歩く、休まず歩き続ける、スポーツや踊りのうち、一つでも困難という自覚が出てきたら要注意(ロコモサイン)」と結んだ。
一方、高山医師は、『中高年の足の悩みの傾向と対策〜皮膚(爪)と足の健康との関係』と題し、足爪のトラブルと転倒との関係、特に地域在住高齢者における足部に関する問題と転倒経験・転倒不安との関連について、「足に何らかの問題を抱えていると、過去1年間に転倒しているリスクが高い」と指摘すると共に、「母趾爪甲の変形や肥厚は、下肢機能低下をもたらす。足は感覚器(入力)でもあり運動器(出力)でもあり、爪は小さな運動器である」と言及。
『楽天シニア』アプリが実施した“足爪の健康を守ろうコラムアンケート”(2024年9月26日〜2024年10月25日)で、「自身の爪に異常あり」との回答者は50%を占め、その15%が「水虫にかかったことがある、もしくは今かかっている」、「爪が厚くなっていたり、ボロボロとかけたりする」14%、爪が白色や黄色に濁っている」11%、「靴を履いたり歩いたりするときに爪の部分が痛い」7%。約半数が医療機関へ受診中、もしくは「受診したい」としており、なぜ治療したいのかでは「自分の爪をキレイにしたい」が最も多く29%だったが、「転倒リスクを軽減したい」との声も9%あった。
『楽天シニア』に掲載された記事で一番興味を持ったのは、「足爪は健康寿命の鍵」が最も多く26%。
「高齢社会時代の高齢者たちの転倒予防は、まずは足爪を治療して手入れをすること」が高山医師の結論だった。
歩行測定やイベント参加で楽天ポイントが貯まる「楽天シニア」
なお、楽天モバイルが提供する健康寿命延伸サポートサービス『楽天シニア』は、専用の健康生活応援アプリで日々の歩数測定や健康管理、各種イベントの予約や参加、歩数を達成し、対象施設へのチェックインやスタンプを集めることで楽天ポイントを貯めることができる機能を搭載するほか、健康コラム、健康体操動画、スマホ教室動画など、様々なコンテンツを発信する。
さらにイベントプラットフォームも提供しており、ITリテラシーの向上を目的としたスマホ教室をオンライン上や楽天モバイルショップなどで定期的に行い、プラットフォーム加盟店が主催する様々なイベントも案内している(URL: https://senior.rakuten.co.jp/)。
楽天モバイルと提携した科研製薬の小関智之営業部長は、コラボした経緯について次のように語っている。
「今から37年前の1987年に、間接機能改善剤を発売以来、下肢の痛みやしびれを含めた薬を患者さんに届け、これまでは足の疾患啓発という形で活動してきましたが、患者さんの最終目的である〝健康に歩く〟ということが達成できているのかとの課題として浮き彫りになってきました。そこで歩くことの健康にフォーカスを当てて、様々な団体ともに取り組みをさせていただいた中で、昨年、“健康寿命の延伸とコミュニティの創出”をミッションとして掲げ、シニア世代が楽しく健康に安心して歩ける社会の実現を目指すサービスを提供されている楽天モバイル様と出会いました」
科研製薬は1948年3月に創立されてから、“1人でも多くの方に笑顔を取り戻す”ために医薬品の提供を通じ、患者のQOLの向上実現を目指し、医療担当者が医薬品や医療情報を含めて届けてきてから77年目。同社の経営理念に、“三つの喜び”(社会の喜び・患者さんの喜び・社員の喜び)があり、その達成のために楽天モバイルと協議し提携した。
楽天モバイル楽天シニア事業長の平山優氏は、「『満足プロジェクト』の目的は、ロコモ予防を疎かにすると、歩いても逆にけがしたり、転倒したり、痛くなったら歩けなくなってしまいますので、そうしたコンセプトのページを作って正しい知識を身につけていただき、早い段階で病気かもしれないと思ったら、医者さんに行ってもらうことです。
正しく処置をしてもらって、正しくその薬を使えば、また元に戻ることができますが、これが病院に行くのが遅れて処置が遅れるとどんどん重症化して、介護が必要になってしまいます。人生100年時代において、栄養や運動、そして生活習慣に関わるすべての要素が重要になりますので、われわれとしてはトータルでサポートし啓発していきたい」と語る。
科研製薬と楽天モバイルでは、今後も足に関する情報発信を強化する傍ら、協働で健康寿命の延伸を目的とした実証事業も検討するなど、『満足プロジェクト』開設を機に、足の健康に関する情報発信を強化していく。さらに、寝たきりのリスクが高くなるロコモ予防や、フットケアの方法などに関する情報を発信し、足の疾患に関連する啓発活動や受診の推奨を含めたトータルサポートを行い、シニア世代の健康寿命延伸を目指す。