化粧品部門とヘルスケア部門が貢献し、売上高は前期比5.3%アップの104億7100万円、営業利益31%増の15億2900万円を達成――新日本製薬(本社:福岡市中央区)の後藤孝洋代表取締役社長(CEO)は、先ごろ開催した2025年9月第1四半期決算発表会で、機能性表示食品の「W(ダブル)の健康青汁」と「スリムアコーヒー」などヘルスケア部門が、前年同期比23%増と大幅に貢献したことを明らかにした。化粧品部門では、8年連続国内売上げ1位を続けるスキンケアブランド「パーフェクトワン」と育成ブランドの毛穴ケア対策「FOCUS」が好調に推移し前年同期比2.4%の増収となるかたわら、卸売販売についてはドラッグストアが、顧客データベースや広告を活用した販促の取り組みを推進し、1店舗当たり売上高アップを重視した店舗数拡大戦略を展開。店舗数も920店舗から1250店舗に増え、「2025年9月末までには2000店舗に拡大する」(後藤代表)。同社では、2025年9月期の売上高420億円、営業利益45億円、2027年度には、それぞれ520億円、60億円を目指す。
後藤代表が公表した事業ハイライトによれば、カテゴリー別では前年度同期比23%アップしたヘルスケア部門の「Fun and Health」ブランドは、エラグ酸とGABAを配合し肥満気味で体脂肪や血中中性脂肪、高めの血圧減少をサポートする「Wの健康青汁」の定期顧客の増加に加えて、成長余地の高い食事代替ダイエット市場(283億円:2022年実績)拡大へ売上げアップを目指す「スリモアコーヒー」(機能性関与成分のコーヒー由来クロロゲン酸類を配合)の新規顧客獲得で営業利益は計画を大幅に上回り、今後も新商品の発売を予定しラインアップ拡充の取り組みを推進・加速させるという。
化粧品部門では、「パーフェクトワン」シリーズの売上げにおいて、国内で冬季限定の高単価商品「SPナイトクリーム」販売のLTV(LIFE TIME Value=顧客生涯価値)最大化への取り組みが想定通りに進捗し、ミドル世代(40〜50代)獲得に向けて発売した「クリアクレンジングバームオイル」も好調に推移し2.4%の増収となった。
さらに「パーフェクトワン」ブランドの「FOCUS」シリーズは、クレンジングバーム「ディープブラック」や人気キャラクターとのコラボ商品が好調だったことや、〝美容液顔用保湿ジェル〟市場売上シェア世界ナンバーワンとして、2年連続でギネス世界記録に認定されるなど、国内の売上高は前年同期比59%増だった。
今後、10種の厳選ビタミンや毛穴ケア成分などのトレンドを活かした新商品「VCチャージ スムースマスク」を4月1日から発売するなど、毛穴の悩みをケアするブランドの成長加速とヒット商品を創出する。
卸売販売チャネルを強化している同社では、「店舗数を拡大し1店舗あたりの売上高は着実に上昇している」として、ドラッグストア、バラエティショップ、総合スーパー、免税店(空港・市中)におけるミドル世代獲得に向けた取り組みを推進してきた。
特に1店舗当たり売上高が前年比超えを継続するドラッグストアルートでは、2024年9月時点に920店舗だった店舗数は同年12月末に1250店舗、2025年9月には2000店舗に増やし、自社の顧客ベースや広告を活用した販促の取り組みを強化し、卸販売の1店当たりの売上拡大へ店舗数をさらに増やす方針だ。
ドラッグストアルートの取り組みついて同社の後藤代表は、「『パーフェクトワン』のイベントを実施し、ミドル世代獲得へ認知度拡大への取り組みを進めており、インバウンドの需要獲得では、各国に対応する店頭の販促取り組みを強化し、多言語対応の店頭POPなど戦略的マーケティングを行った。店頭では顧客層に応じた販売スタッフを配置することで、『オールインワンジェル』を中心とした限定セット商品の販売が進んでいる」とした。
また今後のドラッグストア展開について次のようにコメントしている。
「ドラッグストア展開は、1店当たりの売上げを拡大していくことが基本的な方針にありますので、面を広げていく前に店舗での売上拡大や認知度を高めることが最優先です。
これからは、『パーフェクトワン』ブランドをドラッグストアに展開しているという部分を、広くユーザーに認知を高めていくことが今後の非常に重要な取り組みになると思っています。店舗数の拡大ですが、それぞれの売り場で売上げが成長してきたモデル、集客、そして販促のアプローチ、インバウンドに需要の店舗もありますので、そうした実績を着実に生かして広げていきたいと考えています。
ドラッグストアでのインバウンド需要は地域によって地域性が異なりますが、増えてくるであろうと捉えておりますので、ターゲットを広げた販促を展開していくことが重要なのではないか…」
2025年9月期の売上高は420億円、営業利益45億円を見込み、2024年11月に発表した中期経営計画の成長目標としている。2027年9月期を見据えた計画では、2024年9月期に301億円だった「パーフェクトワン」が330億円に成長(3%増)したことに加え、売上高98.3億円だった育成ブランド(FOCUS/Fun and Healthなど)の新商品を成長ドライバーとして、両ブランドで売上高520億円、営業利益60億円を計画している。
後藤代表は、「ヘルスケア部門は、引き続き『Fun and Health』ブランドの『Wの健康青汁』の安定成長に加え、好調な『スリムアコーヒー』の販売拡大。化粧品部門の『FOCUS』や『パーフェクトワン』といった商品拡販では、SNSマーケティングや効果的なクリエイティブ制作の成功体験を積んだ若手人財を育成し、今後ローンチ予定の『メンズコスメ』『オーラルケア』展開に登用しヒットを創出するなど、大幅増収を見込み長期ビジョンの実現を目指したい」と話していた。
新日本製薬は、1992年に生活用品の企画・販売会社として設立された新日本リビングが前身。2年後の1994年に健康食品、2000年に基礎化粧品を開発し、それぞれ通販ルートに参入。2002年に新日本製薬となってから今年で23年目を迎える。創業以来、“新たな価値創造”をテーマに化粧品とヘルスケア、医薬品事業に取り組んできた。
同社では、広告投資や新商材開発による継続的な新規獲得によって蓄積した約670万人の顧客データベースを活用し、ミドル・シニア世代を中心にトータルケアの提案、高機能商品へのアップセル、季節限定商品などのクロスセル、コールセンター提案による購入頻度の引き上げ、再購入促進によるデータベースの活性化、新規事業とのシナジー創出といったマーケティング戦略を展開することにしている。