皆さん、こんにちは。今日は今期より活動を開始した「健康茶房」のことについて少しご紹介したいと思います。まずは、「健康茶房」ってなあに?という事からご説明しましょう。
健康茶房は、帝京平成大学 地域連携部 が学園祭で行った「健康茶の利き茶カフェ」がベースになっています。学園祭でカフェをやろうと学生たちが話をしていた時に、
「薬局で売っている健康茶って美味しそうだけど、味が分からないよねー。何種類か利き茶をして、自分の好きな味を見つけてもらったらどうだろう?」
ーーと学生達が言い出したことがきっかけです。
「折角来ていただくのだから、学生とおしゃべりをしながら、健康茶について知ってもらおうよ」
「お茶の説明用のチラシを作成しよう」
ーーなど、学生ならではの発想に溢れた展開となり、2023年の学園祭でデビューすることになりました。
「健康茶があるのだから、できれば健康を応援するようなお菓子もあるといいよね」
「健康茶房という名前だから、健康をテーマにした製品を、学生目線で紹介したいよね」
ーーなどと学生の夢は膨らみ、ついにコンセプトに共感した企業の心を動かします。榮太樓総本舗様やUHA味覚糖様、森永製菓様などヘルスケア食品を扱う大手のお菓子会社が賛同してくださいました。
地域連携部は2021年、コロナ真っ盛りの中にサークル活動として小さな産声を上げました。「薬育」を行うためにスタートした活動が、学園祭でカフェをできるようになるまでに成長を遂げたのは、純粋に地域住民の健康を願う学生のひたむきな力が大きかったと思っています。
学園祭当日は、2日間共に雨が降りました。集客が危ぶまれましたが、健康茶房には「いつも学生さんにお世話になっているから」「みんなを応援したいから」「健康茶を飲んだことがないから」などと言いながら、地域の方が家族やお友達とともに途切れることなくお越しくださいました。同時に本学の教員や、日頃より地域活動でお世話になっている中野区行政の方などもお立ち寄りいただき、接客を行う学生の目はキラキラと輝いていました。
気づけば、会場内は年齢、性別、職業など属性を超えた方の集いの場となっており、実は「健康茶房」という居場所は、産官学民連携型の多世代交流モデルと成りうる可能性があるように思いました。お越しいただいた皆様からは、「健康茶が思っていたより飲みやすくておいしいことが分かった」「普段学生さんと話すことがないので、とても楽しかった」など多くの温かい言葉を頂きました。
学園祭が終了後、「健康茶房を学園祭以外でも活動してほしい。」という話も行政や地域住民からちらほらと聞かれるようになりました。一方で、学園祭では学生を応援する企業や地域住民など、陰ながら支える大人の存在もありました。
このようなことを鑑みると、健康茶房は学生だけの活動では社会資源としての継続は少し難しいのではないかと思いました。そこで、今後継続した地域住民の健康を願う居場所つくりのために、学生の活動を応援することが出来る大人にも参画してほしいと思い、地域連携部から派生した、「なかのヘルスケアコミュニティ」という産官学民が連携した団体を立ち上げました。
この団体は、運営スタッフとして学生は勿論のこと、地域の町内会長や民間企業の方、行政の方や地域連携活動を行う専門職などで構成されています。通常は、産官学までは連携することが出来ても、実際に町内会の方などを巻き込んだ活動にはなかなか至りません。ここは、日頃より地道に地域活動のお手伝いを行う学生の底力が発揮されました。また、地域にとってはあくまで「地元住民ではない」学生などを受け入れてくださった地域の皆様方にも、本当に感謝したいところです。
実際の活動を行うにあたり、継続するにはボランティア運営だけでは難しいのが現状です。そこで今回は中野区が行っているチャレンジ基金という助成金を頂き、部活動から派生した地域住民向けの社会活動として「健康茶房」が立ち上がりました。
文面をご覧いただくと簡単に活動が開始できたかのように感じるかもしれませんが、実は地道な地域活動の集大成が一つの形になったと感じています。ここまでに至る3年間は、学生とともに区役所や社会福祉協議会等で配布するチラシを握りしめ、地域活動に参加していました。
セミナーの講師や薬育、地域サロンに子ども食堂、地域のごみ拾いから高齢者の見守り訪問、餅つきのお手伝いやお祭りの応援など色々な場面で学生が活躍しました。その甲斐があり、顔が見える関係が出来、地域で実際に紡いだご縁や出会いのタネが、少しずつ芽を出してきた成果が、現在に至っていると思います。
(後編に続く。次回は健康茶房の熱量が民間企業に届いた事例と、健康茶房の先にある未来の社会活動について語ってもらいます)
小原 道子さん プロフィール
<主な学歴>
1989 東北薬科大学薬学部薬学科卒業
2020 岐阜薬科大学 博士「薬学」取得
<主な職歴>
1989~仙台赤十字病院入局
1995~宮城県栗原地区にて在宅訪問薬剤師業務を開始
2009~ウエルシア関東(現ウエルシア薬局)株式会社入社
2017~岐阜薬科大学地域医療薬学寄付講座 特任教授
2019~日本ヘルスケア協会理事(現任)
2021~帝京平成大学薬学部 社会薬学教育研究センター 実践地域連携ユニット教授
帝京平成大学大学院 薬学研究科薬学専攻教授(何れも現任)
2021~日本臨床栄養協会 評議員(現任)
2022~日本口腔ケア学会 評議員(現任)
2022~日本老年薬学会 評議員(現任)
著書:地域包括ケア タネの撒き方・育て方
専門分野:在宅医療、地域包括ケア、臨床介護学
タグクラウド
25周年記念企画 DX Fromプラネット JACDS JAHI OTC医薬品 PB SDGs アサヒグループ食品 イオン ウエルシア ウエルシアホールディングス キリン ケアマネ福田英二 サプリメント サラヤ スギ薬局 チルロッチ ドラッグストア ファンケル フェムケア プラネタリーヘルス プラネット マツキヨココカラ マツキヨココカラ&カンパニー ロート製薬 中野区 佐藤製薬 化粧品 卸売業 地域包括支援センター 富士経済 富士薬品 小林製薬 山本武道 市場動向 意識調査 日本ヘルスケア協会 日本調剤 日登協 桐村里紗 機能性表示食品 決算 薬剤師 薬学生 調剤薬局 調査 連載 食と健康 食と健康アワード2024