キリンホールディングスは、電気の力で減塩食品の塩味やうま味を増強する「エレキソルト スプーン」を用いた〝減塩ラーメン先行体験会〟を都内で開いた。減塩ラーメンは、力の源カンパニーが展開する「一風堂」とキリンがコラボレーションし、定番メニュー「白丸元味」から塩分を30%オフした「減塩白丸元味」を共同開発したもの。体験会では通常の「白丸元味」と「減塩白丸元味」の食べ比べが行われ、「エレキソルト スプーン」を用いた「減塩白丸元味」の試食では、減塩ラーメンとは思えない味の奥深さとしっかりとした塩味に報道陣から驚きの声が挙がった。減塩ラーメンは「一風堂 浜松町スタンド」で12月13日(金)より限定販売される。(取材=中西)
キリンホールディングスは12月3日(火)に都内の「一風堂 浜松町スタンド」で「エレキソルト スプーン」の体験試食会を行った。
「エレキソルト スプーン」は〝おいしい食事のある人生をすべての人に。〟を基本理念とし、塩分の摂りすぎという社会課題と生活者の減塩食に対するニーズに向き合うために開発された食器型デバイス。
スプーンに内蔵された電極パネルから微弱な電気を通すことで口に含んだ際の塩味やうま味を引き出すことができる(参考記事:キリンHD「エレキソルト発売発表会」)
体験会に登壇したヘルスサイエンス事業部 新規事業グループの佐藤愛氏は「5月のローンチ以降、体験会やECサイトでの予約販売を通じ『思った以上に塩味を感じられる』『塩味だけでなくうま味も強く感じる』『医療現場などでも役立つと思う』といったお声をいただいています」と話す。
これまでリゾットやカレーで試食会を重ねてきたが、「やはり減塩に取り組まれている方は〝ラーメンや汁物を濃い味で食べたい〟という声が多かった」(佐藤氏)という。佐藤氏は「最もニーズの高い〝ラーメン〟をエレキソルト スプーンを使って食べてほしいと考えていたところ、一風堂を展開する力の源カンパニーさんからお声をいただき、共に減塩ラーメンの開発を行ってきました」と経緯を伝えた。
一風堂のラーメンとのコラボでは「汁物であるラーメンはレンゲのようにすくって麺を食べる、という喫食方法の特徴に注意しました」と語った。
一風堂を展開する、力の源ホールディングスの力の源カンパニーからは、執行役員商品本部副本部長の冨田英信氏が登壇した。
冨田氏は「一風堂は1985年に福岡県で創業し、〝食を通して新しい価値を創造し『笑顔』と『ありがとう』とともに世界中に伝えていく”という理念のもと、国内外でラーメンを柱とした外食産業を展開しています。現在では世界15カ国274の地域で、地域のニーズに合わせた〝プラントベース〟や〝グルテンフリー〟のラーメンを開発しており、世界で食の可能性を広げる挑戦を続けています」と語る。
そのうえで今回〝減塩ラーメン〟に挑んだ背景について「〝人の健康とラーメン〟を考えた時、ラーメンの肝でもある塩分を下げつつも美味しさを両立できるラーメンに挑戦したいという思いがあったのです」と冨田氏は語る。
減塩食品を創る上で課題なのが「ただ塩分を減らすだけでは美味しさが保てない」という点がある。この塩味はラーメンにとって生命線であった。ただ両社の共同開発で〝減塩はおいしくない〟という概念を覆すラーメンが誕生した。それが「減塩白丸元味」だ。
冨田氏は「塩分を30%オフにしながら、塩味も甘みを感じられるラーメンを開発しました。塩味の基となるナトリウムをカリウムに置き換え、かつ甘みとうま味を引き出して全体のバランス設計を整えました。減塩食の課題である〝物足りなさ〟を他の味で補いあう、単体でもラーメンの奥行が感じられるラーメンに仕上がっています」と開発に対する並々ならぬ努力を語った。
体験会では通常の「白丸元味」と減塩ラーメンの「減塩白丸元味」が用意され、通常のラーメン、減塩ラーメン単体、減塩ラーメン+エレキソルト スプーンの食べ比べが行われた。
筆者がまず驚いたのは、エレキソルト スプーンを使った減塩ラーメンがしっかり「ラーメン」であることだった。
減塩ラーメン単体でも、スープを口に含んだ瞬間、穏やかに塩味が感じられ、その後に甘みとうま味がやってくる。エレキソルト スプーンで食べると、その感覚が研ぎ澄まされ深みを帯びていくように感じた。よほど塩辛いものが好きな人でなければ普通のラーメンのように食べられるだろう。これは以前、エレキソルトで試食したリゾットやカレーとは違った感覚だった。(参考記事:ハンズ「エレキソルト スプーン」先行体験会)
さらに食べ方としても、左手にエレキソルト スプーンを持ち、右手で麺をすする、という自然なスタイルで食べられる点も適していると感じた。スプーンの電力パネルを介して塩味を増強させる構造のため、ややゆっくり食べることが求められるが、食事制限などで塩味を渇望する人にとっては、むしろじっくりと味わえる利点だろう。
体験会を終えた冨田氏は減塩ラーメンについて「店舗でも一部、〝塩分控えめのラーメン〟に対する問い合わせがあります。インバウンドを含めたお客様の食の多様性に貢献する一風堂でもこういった減塩への挑戦は絶対に必要だと思います」と力を込めた。
佐藤氏は「多くのお客様からご要望が多かった〝ラーメン〟とエレキソルトのコラボができたことは達成感があります」と実感を語り、「エレキソルトは塩味を増強し甘みやうま味・コクを引き出すデバイスです。例えばご利用いただいているお客様で、お汁粉やゼリーなどに含まれる少量の塩味を楽しんでいる方もいらっしゃいます。エレキソルト スプーンはその意味では減塩を越えた〝食の可能性を広げるツール〟と言えます」と語った。
キリンHDでは現在ECサイトでエレキソルト スプーンの予約抽選販売を実施。12月8日までHPで受け付けている。(公式HP:https://electricsalt.shop.kirin.co.jp/)
今後事業を拡大し2030年までに100万人への体験、2028年には10万台の販売を目指している。
なお、「一風堂 浜松町スタンド」では12月13日より限定で「減塩白丸元味」と「エレキソルト スプーン」のコラボレーションの提供が約600食を用意し行われる。詳細は以下。