「長寿因子 HDL 長寿の秘訣キューバ産ポリコサノール」出版記念特別講演が11月26日(火)に、東京赤羽橋の駐日キューバ共和国大使館で開催された。講演会では駐日キューバ共和国大使によるキューバにおける医療システムの紹介から、書籍の監修を行った白澤卓二博士による講演が行われ、30人を超える関係者および記者が足を運んだ。講演では著者の白澤卓二氏から“長寿因子〟として注目されるHDL(善玉コレステロール)とLDL(悪玉コレステロール)のバランスを説明。また“なぜキューバ産なのか〟を紐解き、両国を結ぶサポートを行っているレイデルグループからキューバ産ポリコサノールとの出会いとその有用性が語られた。(取材=中西陽治)
書籍「長寿因子 HDL 長寿の秘訣キューバ産ポリコサノール」の出版記念イベントが都内の駐日キューバ共和国大使館で開催された。HDLはコレステロールの運搬役として近年注目を集めており、HDLにはたらくキューバ産ポリコサノールを用いた食品もドラッグストア店頭で取り扱いが広がっている。
開会あいさつに立った駐日キューバ共和国大使のヒセラ・ガルシア氏は「キューバ産ポリコサノールはレイデルグループとアルフレッサ ヘルスケアの皆さんにご協力をいただき、日本でも名前を知られるようになりました。今や国内約8,000以上のドラッグストア店頭でキューバ産ポリコサノールを使用した商品をお取扱いいただいています」と謝辞を述べた。
続けてガルシア氏は「キューバ共和国は経済的な制約がありつつも科学の進歩やバイオ技術の成長が目覚ましい国です。書籍をきっかけにキューバの医療についても知ってもらい、医薬品としても実績のあるキューバ産ポリコサノールの実績を知っていただきたい」と語った。
オンラインで出版のお祝いを述べた長寿因子HDL研究会で医学博士の上原吉成教授は「私はHDLの研究を30年近く行っています。いわゆる〝善玉コレステロール〟と呼ばれるHDLと〝悪玉コレステロール〟と呼ばれるLDLのメカニズムは非常に複雑で、白澤先生が分かりやすく学べる書籍を監修されることを大変ありがたいと思っています」と感謝を述べた。
HDLとLDLはコレステロールの運搬体で、両者のバランスが乱れると心血管疾病のリスクが高まるといわれている。
LDLを下げる薬はスタチンなどが代表的だが、HDLを高める薬はなかった。長寿因子HDL研究会では、キューバ産ポリコサノールにその機能があるのではと研究を重ねてきた。
上原教授は「この物質に出会えたことが幸福で、長寿に関わる研究をさらに進められることを嬉しく思います。また、100歳以上の超高齢者を対象にした臨床研究では、彼らの血中HDLが高いという結果が出ています。このことからHDLこそが長生きの秘訣なのでは、と考えています」と語った。
続いて駐日キューバ共和国参事官カティア氏よりキューバにおける医療システムの紹介が行われた。
キューバには現在451のポリクリニック(外来患者診察局)、1万1,315の地域診療所、1.229の歯科、149の病院に加え、デイケアセンターや高齢者施設などが医療施設としてネットワークを形成している。医療従事者は40万人に上り、人口1,000人あたり8人の医療従事者がいるという。
さらに、60年以上にわたりアメリカからの経済封鎖を受けていたにも関わらず、国際医療協力を実践してきた。1963年にキューバの医療団がアルジェリアに派遣されたのが国際医療協力の始まりと言われている。
キューバの医療制度を支えるバイオテクノロジー産業は、30以上の企業、61の生産施設、164の生産ラインを有し、53か国に輸出されている。さらに150件以上の発明が実用化され、世界で2,500以上の特許を取得しているという。
カティア氏は「そのバイオテクノロジー産業の柱ともいえる、キューバの国立科学研究センター(CNIC)によって開発された医薬品ppgの有効成分が『ポリコサノール」なのです」と研究の背景を語った。
「ポリコサノールはサトウキビのワックスから抽出された天然成分です。基となるppgは血液中のLDLを減少させる作用のある医薬品で、30カ国以上で販売されています」とカティア氏は語り、キューバの優れた医療システムから生まれたキューバ産ポリコサノールの価値を説明した。
講演では書籍の監修を行ったお茶の水健康長寿クリニック院長で医学博士の白澤卓二氏よりHDLの可能性について幅広く語られた。
白澤博士は30年以上、長寿因子について研究してきた。その中で、新型コロナウイルス流行後に初めて行った韓国のソウルで長寿因子HDL研究会に出会ったという。
白澤博士は年間10冊の著書を書き上げる中で、「わかりやすく。専門用語を多用せずにどう伝えるか」にこだわったという。特に博士の著書のファンには中高年女性が多く、講演会等で触れ合ううち「医療にかかるというより、食事で改めていきたい、という想いが日本人女性にあるのだな」と思うようになった。
内容については「LDLが悪者、HDLが正義、という誤解を解くべく、どちらにも役割があることを伝えたい」として「悪い環境にいると悪に染まりになり、良い環境にいれば善性を保つ、というようなことがコレステロールにもあるのです」と説明した。
そしてHDLとLDLのメカニズムを開設したうえで、HDLにはアルツハイマー型認知症にも影響を与える可能性がある、とした研究結果を解説した。
トークセッションでは白澤卓二氏とレイデルグループCEOのリ・ビョング氏が登壇した。
リ氏は「1992年に〝健康のために働く〟というビジョンを胸に豪州にわたり、レイデルを創設しました。その時、私の兄が脂肪肝を患っており、キューバにポリコサノールという素晴らしい原石があることを知り、キューバに渡ったのが長寿因子であるHDLとの出会いなのです」と振り返った。
リ氏は「27年間、長寿因子の旅(Journey)を続けてきました。このような素晴らしい本をありがとうございます」とお礼を述べると、白澤博士は「HDLが長寿因子であることは多くの論文でも証明されています。本を通じて一般の方にも広めていきたいですね。これからのJourneyも素晴らしいものになりますよ」と笑顔で答えた。
講演後は即席のサイン会と、キューバ産のサトウキビを使ったラムが振舞われ、長寿因子HDLの浸透を願った懇親会が開かれた。
SAKURA MOOK「長寿因子HDL長寿の秘訣キューバ産ポリコサノール」
発売日:2024年11月18日
出版社:笠倉出版社
監修:白澤卓二
価格:¥1,200(税抜)